シンママナースの マリアンナ です。
ENBD、ERBD等、
胆道系の検査や処置は、略語が似ていて覚えにくい。
わかりやすくするページがあったらいいな、ってことで、作ってみました。
この記事では
ENBD、ERBD、PTCD、ERCP、EST、EPBD、ERCPなどの
「胆道系の各検査及び処置」の概要や違いについて解説しています。
各名称の正式名称は以下の通りです。
ENBD=内視鏡的経鼻胆道ドレナージ
ERBD=内視鏡的逆行性胆道ドレナージ
PTCD=経皮経肝胆道ドレナージ
EST=内視鏡的乳頭切開術
EPBD=内視鏡的バルーン拡張術
ERCP=内視鏡的逆行性胆管膵管造影
胆汁ドレナージ処置
胆汁ドレナージが必要な理由
胆汁とは、肝臓で作られ胆嚢に蓄積されます。
食べ物を摂取し十二指腸に食べ物が届くと、
胆嚢が収縮して胆汁が胆管を経由して十二指腸内へ分泌されます。
分泌された胆汁は、脂肪の消化吸収を助け、
一部が排泄物と一緒に排泄され、それ以外のほとんどはまた吸収されて肝臓へ戻ります。
したがって、
胆汁の正常な機能は、
食事摂取とともに十二指腸へ排泄され、消化を助けることです。
ここで、
胆管がんや胆石が原因で胆管が狭くなり、
本来分泌されるべき胆汁が排泄されないと、どうなるか。
血液中にうっ滞するようになったり、胆管炎、胆嚢炎等の合併症を引き起こすことがあります。
そうならないために、
胆汁が溜まらないよう排泄を手伝う「ドレナージ」処置を行うことがあります。
主に胆汁ドレナージで行われるのは、主に以下の3つです。
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ENBD(内視鏡的経鼻胆道ドレナージ)
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ERBD(内視鏡的逆行性胆道ドレナージ)
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PTCD(経皮経肝胆道ドレナージ)
各ドレナージ処置の違いについて、解説していきます。
ENBD=内視鏡的経鼻胆道ドレナージ
ENBD(endoscopic nasobiliary drainage)は、内視鏡的経鼻胆道ドレナージの略です。
nasobiliaryは「経鼻的」という意味で、鼻を経由することがわかります。
内視鏡下で鼻から胆管までチューブを挿入し、胆汁の排液をはかります。
挿入したチューブは、挿入時の固定位置をしっかりマーキングし、テーピングなどでしっかりと固定しましょう。
認知症などの危険行動リスクがある患者には、自己抜去に注意が必要です。
ERBD=内視鏡的逆行性胆道ドレナージ
ERBD(endoscopic retrograde biliary drainege)とは、内視鏡的逆行性胆道ドレナージの略です。
内視鏡下で、胆管から十二指腸にチューブを出して、胆汁の排泄を助ける処置です。
ERBDのメリットは、鼻からドレナージするENBDと違って、体内に胆汁を排液するのでENBDより患者が安楽に過ごせます。
ERBDのデメリットは、体内に直接排液するため、チューブの状態や排液の状態を観察できないことがあげられます。
EBDは、内視鏡的胆道ドレナージの略。
鼻から胆汁を出すENBDと、十二指腸に出すERBDに分かれます。
EBDは、いち早く胆道内圧を下げるための第一選択として選ばれます。
胆管の下部の方で詰まる結石の場合、チューブで結石を押し上げることで嵌頓を緩和でき、詰まりを軽減できます。
合併症として、急性膵炎を生じることがあるので、検査後は膵炎の症状に注意が必要です。
PTCD=経皮経肝胆道ドレナージ
PTCD(Percutaneous Transhepatic Biliary Drainage)は、経皮経肝胆道ドレナージの略。
Percutaneousは「経皮的」という意味があり、エコー下で直接腹部にチューブを刺して、胆管からドレナージを図ります。
消化器系の手術既往歴がある等、EBD(内視鏡的胆道ドレナージ)ができない患者に適応します。
胃全摘、ビルロートⅡ再建後、胆管空腸吻合術後の症例は、内視鏡検査が難しくなることがあります。
エコー下で拡張した胆管に穿刺します。
内視鏡的治療
総胆管結石の標準的治療として、
- EST(内視鏡的乳頭切開術)
- EPBD(内視鏡的バルーン拡張術)
があります。
いずれも結石を除去する目的で行うものです。
目的は同じですが、手技が違います。
違いを見ていきましょう。
EST=内視鏡的乳頭切開術
EST(Endoscopic Sphincterotomy)は、内視鏡的乳頭切開術の略。
内視鏡下にて、EST用ナイフを用いて胆汁の出口である乳頭部を切開します。
乳頭部の出口が広がったら、ERCP下で結石を除去します。
EPBD=内視鏡的バルーン拡張術
EPBD(Endoscopic papillary balloon dilation)は、内視鏡的バルーン拡張術の略。
内視鏡下にて、乳頭部にバルーンを挿入し、乳頭部を拡張します。
拡張できたら、EST同様ERCP下で結石を除去します。
ESTとEPBDの違い
ESTとEPBDは、最終的に結石を除去する目的は同じですが、
以下のような違いがあります。
EST | EPBD | |
手技 | 乳頭部を切開する | 乳頭部にバルーンを挿入する |
メリット | 結石除去がカンタン 残石が自然排石する可能性がある |
乳頭機能を温存できる 出血や穿孔リスクが低い |
デメリット | 乳頭機能を喪失する恐れがある 出血や穿孔のリスクが高い |
結石除去が難しい 残石する可能性がある 膵炎を合併する恐れがある |
胆管と膵管を同時に観察する造影検査
ERCP=内視鏡的逆行性胆管膵管造影
ERCP(Endoscopic retrograde cholangiopancreatography)は内視鏡的逆行性胆管膵管造影の略。
内視鏡下でファ―ター乳頭からカニューレを挿入し、造影剤を用いて膵管と胆管を造影します。
胆管、膵管の様子がしっかり見えるから、結石や狭窄が一目でわかります。
胆管系処置と検査の違いを覚えるコツ
胆汁ドレナージ処置
ENBD=内視鏡的経鼻胆道ドレナージ
N=NOSE=鼻からのドレナージ、で覚えましょう
ERBD=内視鏡的逆行性胆道ドレナージ
R=リバース=戻ってくる胆汁を十二指腸に出す!
PTCD=経皮経肝胆道ドレナージ
PT=ぷりっとした肌からドレナージするイメージ
内視鏡的治療
EST=内視鏡的乳頭切開術
エロいっす、乳頭
EPBD=内視鏡的バルーン拡張術
ぷりんぷりんのバルーンでどや!
胆管と膵管を同時に観察する造影検査
ERCP=内視鏡的逆行性胆管膵管造影
CPにあたる「cholangiopancreatography」の意味は・・
Cholangio=胆管 ラパコレとかいいますもんね。
Pancreatic duct=膵管
ENBD、ERBD、PTCD、EST、EPBD、ERCPの違いと概要まとめ
ENBD、ERBD、PTCD、EST、EPBD、ERCP、胆管系疾患の検査や治療の略称です。
各治療・検査の特徴や違いのまとめは以下のとおり。
胆汁ドレナージ処置
ENBD=内視鏡的経鼻胆道ドレナージ
鼻から胆管までチューブを挿入して、胆汁をドレナージする。
ERBD=内視鏡的逆行性胆道ドレナージ
胆管から十二指腸にむけチューブをいれ、胆汁をドレナージする。
PTCD=経皮経肝胆道ドレナージ
腹部から経皮的に胆管までチューブを入れ、胆汁をドレナージする。
結石に対する内視鏡的治療
EST=内視鏡的乳頭切開術
胆汁の出口になる乳頭を切開して、結石を取り出す。
EPBD=内視鏡的バルーン拡張術
乳頭部をバルーンで拡張し、結石を取り出す。
胆管と膵管を同時に観察する造影検査
ERCP=内視鏡的逆行性胆管膵管造影
内視鏡下で胆管膵管を造影し、狭窄や結石がないか観察する。
英単語だけだとなかなか記憶できませんが、
ポイントになる英単語の意味を理解しておいたり、
ゴロ合わせで印象づけておくと、
スムーズに覚えられたりします。
胆管系の治療、検査の名前ってややこしい!覚えられないよ!
って 感じているかた、ぜひやってみてください。
以上、
胆管系の治療、検査のまとめでした。