滴下数の計算式がわからない!計算式の解説と練習問題



シンママナースの マリアンナ です。

 

新人看護師時代は、点滴の「滴下数合わせ」でとっても苦労しました。

 

  • ケースバイケースな医師の指示。臨機応変に滴下速度が合わせられない
  • 成人用と小児用の点滴セット、使い分けの判断がわからない。

 

点滴速度が合わせられなくて、よく先輩に怒られましたよー。苦い思い出。

それもそのはず。

滴下計算って慣れてないとすぐできないんですよ、

使い慣れていない「公式」を記憶できてないから。

 

滴下計算は公式をしっかり覚えていないとできない計算なんです。

 

看護のなかでも輸液管理は大事な看護業務のひとつ。

継続的に輸液管理する職業は、看護師といっても過言ではありません。

だから看護師である以上、この公式を覚えるのは必須課題

 

国家試験で出てくる滴下計算と、臨床での滴下計算の覚え方は違います。

 

この記事では、どんなひとでも臨床で点滴の滴下計算ができるよう、

現役ナースの筆者「マリアンナ」が滴下計算について解説しています。

 

 

滴下計算式、成人用・小児用ルートの使い分け、

実際の臨床でよく出る滴下指示の練習問題などなど

臨床で必要な点滴管理の知識をまとめて紹介します。

 



点滴の計算方法

点滴の滴下速度を計算するとき、

成人用ルート小児用ルートによって計算式が変わります。

参考:成人用と小児用の違いと使い分けの根拠

 

成人用でも小児用でも、滴下計算の目的は同じ

指示された輸液量を、指示された速度で滴下することです。

 

つまり、

輸液管理では指示された輸液量と速度(時間)をもとに、

  • 1時間あたりの輸液量
  • 1分あたりの 滴下数
  • 1秒あたり(もしくは3秒あたりとか)の滴下数

を割り出していきます。

 

1秒あたりの滴下数計算のイメージ図

滴下計算のやり方はひとによって違いますが、結果求める数字は同じなんです。

最終的に「1秒あたり何滴落とすか」を求めているだけです。

 



かんたんな滴下数の計算式

例として、

1時間あたり60mlの点滴を、成人用のルートでおとすとしたら、

60ml ÷ 60分 × 20滴(成人用)  ÷  60秒

1秒あたりの滴下数を求める式になります。1秒あたりの滴下数計算イメージ

滴下数の具体的な計算式は以下です。

 

1時間あたりの輸液量(ml) ÷ 60分 ×  20滴(成人用) OR  60滴(小児用) = 1分間の滴下数

1分間の滴下数 ÷ 60秒 = 1秒当たりの滴下数

 

 

つまり、1秒あたりの滴下数を求める公式は、

1時間あたりの輸液量(ml) ÷ 60分 × 20滴(成人用)OR 60滴(小児用) ÷60秒=1秒あたりの滴下数

です。

 

点滴の計算で出てくる数字と意味

点滴の滴下計算でポイントになる数字は3つ

滴下計算で最終的に求めたいのは、1秒あたり落とす滴下数

1秒におとすべき滴下数がわかれば、どんな輸液でも指示された速度で輸液量を管理することができます。

 

滴下計算「3つの数字」

1秒あたりの滴下数を求めるためには、ある3つの数字が必ず必要。

以下の3つの数字さえ割り出せれば、どんなひとでも滴下計算はできるようになれる。

  • 1時間あたりの輸液量
  • 1分あたりの滴下数
  • 1秒あたりの滴下数
点滴計算のポイント3つ

ひとによって滴下計算の方法が違っても、求めている数字は同じ。

滴下計算しているひとはみんな、1時間あたりの輸液量、1分あたりの滴下数、1秒あたりの滴下数「3つの数字」を求めているんです。

 

滴下計算に必要な3つの数字の計算方法

 

①総輸液量÷輸液時間=1時間あたりの輸液量(ml)

②1時間あたりの輸液量(ml) ÷ 60分① × 20滴÷60秒=1秒あたりの滴下数

 

 

①では、医師指示の輸液量と時間から、「1時間あたりの輸液量」を割り出します。

 

②では、①で割り出した「1時間あたりの輸液量」から「1分あたりの滴下数」をもとめて、60秒で割ることで「1秒あたりの滴下数」を割り出しています。

 

滴下数の計算は、結局この3つを割り出す作業にすぎないのです。

滴下数の計算は、この3つを割り出せれば誰にでも計算ができます。

 

1秒あたり0.3滴じゃ合わせられない?

輸液量によっては計算上1秒あたり0.3滴など、実際の臨床で合わせずらい滴下数になることがあります。

そんなときは、以下の計算方法が便利。

3秒に1滴、2秒に1滴など臨床で合わせやすい秒数と滴下数に調整できます。

1秒あたりの滴下数  × 合わせたい秒数 = 合わせたい秒数あたりの滴下数

 

 

成人用と小児用の違いと使い分けの根拠

点滴ルートには、成人用小児用があります。

小児用と成人用の違いは、

  • 成人用1mlを20でおとす
  • 小児用1mlを60でおとす

です。

成人用と小児用ルートの違いは1mlを20滴で落とすか、60滴で落とすか。イメージ

 

 

成人用は滴下する水滴が大きいので、少ない滴下数で早く落とせるし、

小児用は滴下する水滴が小さいので、少しずつ点滴を落としたいときに向いています。

 

成人用と小児用のルートを使い分ける基準は、

基本的に滴下速度が1時間あたりの40ml以上以下か、

です。

  • 1時間に40ml以上おとすなら成人用
  • 1時間に40ml以下の滴下なら小児用

が使い分けの基本。

 

その根拠となるのは以下のような理由があります。

  • 小児用で40ml/時間以上の速度で点滴を落とす際、1秒あたり1滴以上になって、輸液コントロールが難しくなる。
  • 成人用で40ml/時間以下の速度で点滴を落とす際、1滴あたり3秒以上の時間をかけないといけなくなるので、輸液コントロールが難しく、ルートが詰まりやすくなる。

などのデメリットがあるから。

 

だから、

 

40ml/時間以上の速さで点滴を落とすなら、

少ない滴下数でより多い輸液を落とせる成人用のほうが良い。

 

 

逆に

 

40ml/時間以下のゆっくりした速さで点滴を落とすなら、

滴下する1滴がより小さい小児用のほうが良い。

 

ってことになるんです。

(使い分けは大抵40ml/時間を基準にしますが、病院によって規則はまちまちです。病院の規則や医師指示にはしたがってください)

 

 



点滴計算問題~よくある医師指示の点滴指示の想定問題~

臨床でよくある滴下計算の問題集です。

以下の問題がとけたら、臨床でも滴下合わせは十分できるようになります!

 

看護師としての点滴計算における目標到達レベルは、

指示を見てから実際の滴下数の割り出しを「10秒で計算できること」。

 

臨床ではそれぞれ指示が違う何十人もの患者の点滴を、間違うことなく滴下合わせしないといけません。

看護業務の時間配分を考えれば、滴下計算は10秒以内に割り出せるのが理想。

ちなみに現役ナースのわたし含め同僚のナース全員、10秒くらいで滴下計算をします。

どれだけ複雑な医師指示の点滴でも10秒くらい。

 

難しそうにみえる滴下計算ですが、医師指示が違っても公式がずっと同じ。

滴下計算は、ケースバイケースに応じた計算式への「慣れ」が重要になってくるんです。

滴下計算を早く確実に習得するためには、計算に慣れることがポイント。

 

以下の問題集を1問10秒で計算できるようになるまで、繰り返しトレーニングしてください。

できれば実際に臨床で使う電卓を使って、数字の位置にも慣れながら練習するのがGOOD。

電卓によって記号や数字の位置って違うので、計算式覚えたてのときに電卓が変わると、混乱してしまうことがあります。

 

滴下計算はどんな医師指示であっても、公式が同じだから結局「慣れ」て覚えるのが一番です。

慣れるためには、繰り返すことが一番。

ケースバイケースな滴下計算の事例問題を7問用意しました。

もちろん解説もついています。

何度も繰り返して、滴下計算を身につけてください。

 

滴下計算:練習問題1

医師指示:1日合計1000mlの輸液を、持続点滴で24時間かけ滴下する。

以下の問いに答えてください。

  • ①使用する輸液量ルートは成人用?小児用?
  • ②何秒あたり何滴の滴下速度で調整しますか?

 

練習問題1の「解説」を見てみる

臨床でよくある指示です。500mlの点滴を2本持続で落とすケース。

この場合、1時間あたりの輸液量が

1000ml ÷ 24時間=41.66…ml

になります。

 

だいたい1時間あたり40mlをおとすので、

①のルートの選択は「小児用」を使用します。

 

成人用だとゆっくりすぎて、調整が難しくなりますからね。

 

②の計算式で①秒あたりの滴下数を求めましょう。

41.6ml ÷ 60分 × 60 ÷ 60秒 = 0.69滴/秒

 

0.7滴とか、このままだと整数じゃないから合わせにくい。

滴下調整しやすいように、整数にしたい。

 

0.7って、3をかけたらだいたい2になるよね?

0.69滴/秒  ×   3秒= 約 2滴 / 3秒

答えは 3秒に2滴 です。

 

滴下計算:練習問題2

医師指示:100mlの抗生剤を1時間かけて滴下する。以下の問いに答えてください。

  • ①使用する輸液量ルートは成人用?小児用?
  • ②何秒あたり何滴の滴下速度で調整しますか?

 

練習問題2の「解説」を見てみる

①1時間に100mlの輸液だと、1ml=60滴の小児用では滴下が早すぎて不向き。

40ml/時以上の速度なので、1ml=20滴で滴下できる成人用を使用します。

 

②成人用ルートで滴下計算をします。

100ml ÷ 60分 × 20滴 ÷ 60秒 = 0.55滴/秒

0.5滴だと滴下合わせできないので、整数にするために2をかけてみましょう。

0.55滴/秒 × 2秒 = 1.1滴/2秒

 

答えは、

成人用ルートを使い、2秒に1滴の早さで滴下する。

になります。

滴下計算:練習問題3

医師指示:500mlの輸液を3本、24時間持続点滴で滴下する。以下の問いに答えてください。

  • ①使用する輸液量ルートは成人用?小児用?
  • ②何秒あたり何滴の滴下速度で調整しますか?

 

練習問題3の「解説」を見てみる

①1時間あたりの輸液量を割り出して、ルートを選択しましょう。

500ml × 3本 = 1500ml

これを24時間で滴下するわけだから、

1500ml ÷ 24時間 = 62.5ml/時

になります。

 

1時間に40ml以上の輸液を行うので、成人用ルートで滴下します。

 

②62.5ml/時から、1秒あたりの滴下数を計算していきます。

62.5ml/時 ÷ 60分 × 20滴 ÷ 60秒 = およそ0.35滴/秒

0.35滴/秒では滴下を調整できないので、

数字をかけて0.35滴/秒を整数にしていきます。

0.35滴/秒 × 3秒 = 約1滴/3秒

だいたい3秒に1滴で滴下調整します。

 

滴下計算:練習問題4

状況設定問題:

現在18時。

成人用ルートで患者につないでいる点滴が400ml残っている。

この点滴を0時まで持続的につなぐためには、何秒何滴で滴下したらよいか?

 

練習問題4の「解説」を見てみる

臨床でよくある滴下計算の場面です。

今残っている点滴を決まった時間まで調整します。

臨床では患者さんの手の動きや角度で滴下速度がかわるので、設定していた滴下数が変化することはよくあること。

 

どんなシーンでも滴下計算の公式は同じです。

  • 1時間何ml滴下するのか
  • 1秒に何滴落とせば良いのか

を計算していきましょう。

 

まず1時間におとすべき輸液量を計算する。

残りの400ml18時から0時の6時間で落とします。

 

400ml ÷ 6時間 = 66.7ml/時

 

1時間に66.7mlを滴下するので

ルートは成人用用ルートを使用。

 

滴下数を割り出す計算式は以下のようになります。

66.7ml/時 ÷ 60分 × 20滴 ÷ 60秒 = 0.37滴/秒

 

0.37滴/秒では調整できないので、3秒をかけておよそ整数の滴下数にしましょう。

0.37滴/秒 × 3秒 = 約1滴/3秒

 

成人用ルートでおよそ3秒に1滴で滴下すれば、0時くらいに点滴が終わるくらいになります。

滴下計算:練習問題5

状況設定問題:10時から21時まで持続で1000mlの点滴指示がある患者。この患者の点滴計算について、以下の問いに答えてください。

  • ①1時間あたりの輸液量は?
  • ②使用する輸液量ルートは成人用?小児用?
  • ③何秒あたり何滴の滴下速度で調整しますか?

 

練習問題5の「解説」を見てみる
①総輸液量から滴下時間を割って、1時間あたりの輸液量を計算します。

10時から21時だと11時間なので、

1000ml ÷ 11時間 = 91ml/時

1時間あたりの輸液量は91mlです。

 

②1時間あたりの輸液量が40mlを超えるので、成人用ルートで滴下します。

 

③1秒あたり何滴落とせばよいのか計算していきましょう。

91ml ÷ 60分 × 20滴 ÷ 60秒 =0.5滴/秒

0.5滴/秒では滴下調整できないので、滴下しやすい整数にします。

0.5滴/秒 × 2秒 = 1滴/2秒

だいたい成人用で2秒に1滴落とせばOKです。

 

滴下計算:練習問題6

1日持続で1500ml輸液を行なっていた患者。

今日から輸液の指示変更があり、1日1000mlの持続点滴に変更となった。

指示変更後の患者の点滴管理について、以下の問いに答えてください。

  • ①1時間あたりの輸液量は?
  • ②使用する輸液量ルートは成人用?小児用?
  • ③何秒あたり何滴の滴下速度で調整しますか?

 

練習問題6の「解説」を見てみる
ちょっとひねり問題ですね。でも滴下計算の基本は同じ。

1時間に何mlおとすのか、1秒に何滴おとすのか

です。

 

①1時間あたりの輸液量は、

1000ml ÷ 24時間 = 41.7ml

 

②24時間で1000ml滴下する場合、1時間あたり滴下する輸液量は40mlくらいになるので、ルートは小児用を使用します。

指示が変わる前は1500ml/24時間の輸液量だったので、1時間あたり輸液量はおよそ62mlとなり成人用ルートで滴下しているはずですが、

この場合医師指示の変更にあわせて、ルートも小児用から成人用に変更する必要がありますね。

 

③1時間の輸液量から滴下数を割り出していきましょう。

41.7ml ÷ 60分 × 60滴 ÷ 60秒 = およそ0.7滴/秒

0.7滴/秒だったら、3秒をかけるとだいたい2滴/3秒になりますよね。

0.7滴/秒 × 3秒 = 2.1滴/3秒

 

よって答えは、

小児用ルートで3秒に2滴の速度で滴下する

になります。

滴下計算:練習問題7

症例問題:RBC2単位を3時間で滴下するよう、輸血指示がでた。

この輸血は何秒あたり何滴落とせばよいですか?

 

練習問題7の「解説」を見てみる

これは新人看護師さんには意地悪問題です。(ごめんなさい)

だけど看護師としては覚えておきたいところなので、覚えておきましょう。

コラム:輸血1単位って何ml?

画像:日本赤十字社

RBC(赤血球)の場合、精製後の実際の輸血量は1単位140mlになります。

1単位とは、血液200mlから採取した輸血製剤の単位です。

つまり、輸血の滴下計算をする際は「1単位何mlなのか」を知っていないと滴下計算ができません。

日本赤十字社のサイトには、輸血に関する情報の詳細が掲載されているので、ぜひ参考にしてください。

参考URL:日本赤十字社 輸血量一覧

輸血は各製剤によって、決められた容量があることを知っておきましょう。

 

 

医師指示では「RBC2単位を3時間」という指示がでているので、

輸血合計量

140ml×2単位=280ml

を、3時間で落とすことになります。

 

1時間あたりの輸血量は、

280ml÷3時間=93.3ml/時

になるので、

93ml ÷ 60分 × 20滴 ÷ 60秒 = 0.52滴/秒

1秒あたり0.52滴/秒だから、

0.52滴/秒 × 2秒 = 1滴/2秒

つまり、2秒に1滴の速度で滴下することになります。

 

ただし

輸血開始から最初の10分から15分は1ml/分、

その後患者の状態に応じて、5ml/分まで速度を上げていくことが推奨

されています。

参考URL:日本赤十字社 輸血手順より

(注意:多量出血などの急を要する場合は、この限りではありません。)

 

 



丸暗記しておくと便利な滴下数

臨床ではケースバイケースに応じて臨機応変に滴下計算ができることが望ましいですが、

よく使うケースの滴下数は丸暗記しておくと便利。

 

以下の滴下数は臨床でよく使うので、丸暗記しておくと時間短縮になります。

 

80ml/時=成人用でちょっと遅めの2秒に1滴

60ml/時=成人用で3秒に1滴

40ml/時=小児用で3秒に2滴

以下記事に「滴下数早見表」も掲載しているので、活用してください。

滴下早見表

 



点滴速度を管理するコツ:滴下計算のまとめ

点滴速度を調整するために、必ず計算しないといけないのは以下の3点です。

  • 1時間あたりの輸液量
  • 1分あたりの滴下数
  • 1秒あたりの滴下数

滴下計算は最終的に「何秒に何滴落とせばいいか」を割り出せればOK。

 

この「何秒に何滴落とせばいいか」を計算するためには、

必ず

 

1時間あたりの輸液量

1分あたりの滴下数

 

が必要になります。

 

ひとによって滴下計算の式は違っても、求めている数字は同じ。

 

1時間あたりの輸液量、1分あたりの滴下数、1秒あたりの滴下数です。

(ひとによっては10秒あたり、5秒あたりの滴下数などで滴下調整する人もいます)

 

滴下計算はいつも同じ数字を求めているだけ。

 

なので、慣れれば誰でも出来ます。

何度も練習問題を繰り返してみてください。

慣れてくると指が動くようになります。

 

滴下計算を上手に、早くできるようになるには、

ひたすら練習問題を反復して式に「慣れる」ことが一番のコツです。

ぜひ掲載している問題集を活用してみてくださいね。

 

以上、滴下計算の紹介でした。