【メラサキューム】仕組みと使用方法~胸腔ドレーン時の看護ポイント~



シンママナースの マリアンナ です。

胸腔ドレーンによく使用される低圧持続吸引器「メラサキューム」の仕組みや使用方法、胸腔ドレーン時のポイントについて紹介しています。

 



メラサキュームとは

メラサキューム(製造元:泉工医科工業)とは、 胸腔、胸腔内に貯留した分泌物等を持続的に体外へ誘導する低圧持続吸引器です。主に胸腔ドレナージに使用されますが、他の疾患に使用するケースもあります。

メラサキュームの写真

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メラサキュームの仕組み

メラサキュームの各名称は下図の通りです。

 

メラサキュームの名称

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  • 排液槽

メラサキュームの排液は、持続的に吸引され排液槽に貯留されます。

  • 圧設定

圧は圧設定で調整できます。

  • ウォータートラップ

ウォータートラップでは水封室に入っている蒸留水が排液槽に逆流しないように調整されています。

  • 水封室(オォーターーシール)

水封室内に滅菌蒸留水をいれることで、排液と外界が接触しないよう遮断される仕組みになっています。

水封室の仕組みについてはこのサイトがわかりやすくまとめられていました。

  • オーバーフロート防止弁

オーバーフロート防止弁は排液がメラサキューム本体へ逆流することを防止しています。

 

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メラサキュームの使用方法

胸腔ドレーンでよく使われるメラサキュームの取り扱いと使用方法について説明します。

組み立てと設置

※メラサキュームの組み立て及び設置は、患者側ドレーンチューブ又はコネクター付接続管がクランプされている状態で行います。

  • 水平な場所で、患者より低い位置に垂直に設置する。
  • 排液バッグの吸引ポート(青)から滅菌蒸留水(24mL)をウォーターシール注入線まで注水した後、バッグを本品のバッグハンガーに取り付ける。
メラサキュームのバッグ取り付け
  • 器械側接続チューブ(ブルーPチューブ)を排液バッグの吸引ポート(青)に接続する。

 

吸引圧設定

メラサキュームの吸引圧設定の各名称は以下の通りです。

 

メラサキュームの圧設定
  • 1:電源ON/OFFスイッチ
  • 2:バッテリー運転表示器
  • 3:バーグラフ
  • 4:消音スイッチ
  • 5:一時消音スイッチ
  • 6:リーク表示器
  • 7:高陰圧表示器
  • 8:設定吸引圧
  • 表示器
  • 9:UP/DOWNスイッチ
  • 10:ロックスイッチ
  • 11:ライトスイッチ
  • 12:間欠連続:吸引選択スイッチ
  • 13:休止時間表示器
  • 14:休止時間選択スイッチ
  • 15:サキューム表示灯
  • 16:吸引時間選択スイッチ
  • 17:吸引時間表示器

 

電源の入れ方と設定方法

  • 電源 ON/OFF スイッチを 0.5 秒以上押し、ON にします。操作パネルが 1 秒間全点灯後、スタンバイ状態になります。
  • 吸引圧は医師の指示に基づいて設定します。UP/DOWN スイッチで吸引圧を設定します。(設定吸引圧は、設定吸引圧表示器にデジタル表示されます。(表示単位:cmH2O))
吸引圧設定の表示例
  • 患者ドレーンチューブに接続したコネクター付接続管と排液バッグの吸引回路にエアーリークがないことを確認したのち、患者ドレーンチューブのクランプを徐々に解除します。

 

エアーリークのチェック方法

メラサキュームで吸引中にエアーリークのエラーが鳴ったら、閉鎖しているはずの回路のどこかで、リーク(漏れ)が起こっている可能性があります。

漏れがあると正しく吸引をかけれないと当時に、感染等のリスクもあるので、すぐに対応が必要です。

エアーリークのチェック方法には以下のチェック方法があります。チェックを行いエアーリークを確認できたらトラブルを改善したのち、患者からの吸引を開始して、正常に吸引できるか確認してください。

患者のドレーンチューブをクランプし下記の確認を行います。

  • 発泡が止まる時:クランプ部より患者側にリークがある。
  • 発泡がある時:吸引接続回路(排液バッグ、コネクター付接続管)にリークがある。

 

コネクター付接続管をクランプし下記の確認をします。

  • 発泡が止まる時:コネクター付接続管とドレーンチューブとの接続不良または損傷等によるリークがある。
  • 発泡がある時 :コネクター付接続管と排液バッグの接続不良または損傷等によるリークがある。
コネクター付接続管

背面の器械側接続チューブ(ブルーP チューブ)をクランプして、下記の確認を行います。

水封の気泡の発生は止まる場合

  • バーグラフが設定圧と一致する時:動作は正常。
  • バーグラフが設定圧と一致しない時、またはリーク警報機能が動作する時:装置内部にリーク箇所があるので、下記の確認をする。

 

エアリークチェック事項を行ってもエアリークが改善しない場合

上記チェックを行っても原因不明ならドレンタンクのキャップに緩みがないことを確認します。
それでもリークがなくならない場合、速やかに他の吸引装置に交換する必要があります。

 



メラサキューム使用中の看護

胸腔ドレーン等で使用するメラサキュームの機械的な管理と、よく疑問に思われる使用上の注意点について以下に説明します。

ドレナージを主体としたドレーン管理の基礎知識については以下の記事を参考にしてください。

ドレーン管理の看護~基礎知識と看護のポイント~ ドレナージとは、治療や予防のために貯留する体液を排出することです。この記事では外科手術に共通しているドレーン管理のポイントについて紹介しています。 ドレーン管理とは 浸出液や膿瘍等浸出液が貯留した

 



メラサキューム:エアリークの原因

持続的に胸腔ドレナージドレナージを行っていると「エアリーク」という問題が起こることがあります。エアーリークのチェック方法についてはこちらに記載しています。

上記リンクにも記載している通り、メラサキュームで吸引中に漏れがあると正しく吸引をかけれないと当時に、感染等のリスクもあるのですぐに対応が必要です。

エアリークの原因の多くは、接続はずれが多くみられます。

 

 



メラサキューム:移動時・体動時はクランプすべきか

移動するとき、体動があるときでも基本的にクランプは行いません。

メラサキュームよりドレーン刺入部が下もしくは同じ位置(ベッドから転落した等)になる場合があれば、一時的にクランプして逆流性感染を予防する必要もあるかもしれませんが、体位交換や起き上がり動作、トイレくらいのADLであれば特にクランプする必要はありません。

 



メラサキューム: 呼吸性移動(フルク)とは

呼吸性移動(フルク)とは、患者の呼吸に合わせて水封室の水面が上下する動きのことを言います。メラサキュームにより胸腔ドレーンを行っている場合にみられます。

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正常に回路が接続されていて、エアーリークや閉塞等がなければ、この呼吸性移動(フルク)がみられます。