シンママナースの マリアンナ です。
輸血とは、外傷や血液疾患等から、本来の血液の機能が低下した患者さんに対して、血液を補充することで、状態の改善をはかる治療方法のこと。
医療現場では頻繁に行われいてる輸血ですが、副作用も多く、少しでも間違えると大事故につながります。
そうならないためにも、輸血製剤の意味と目的をしっかり理解しておくことが大事。
この記事では、輸血の種類とその目的について紹介しています。
輸血には種類がある?
一口に「輸血」といっても、輸血には種類があります。
誰の血液を使うか | 同種血輸血・・・他人の血液を使用する |
自己血輸血・・・自分の血液を使用する | |
どの血液製剤を使うか | 成分輸血・・・成分製剤、血漿分画製剤を使用する |
全血輸血 ・・・全血製剤を使用する |
自己血輸血と同種血輸血の違い
自己血輸血
出血の多い手術を予定しているときなど、あらかじめ輸血が必要になることがわかっている場合、患者さん本人の血液を採取しておき、その輸血を術中術後に投与することがあります。
自分の血液であるため、副作用も少ないメリットがあります。
同種血輸血
献血等から集めた血液を輸血する方法です。クロスマッチで患者と提供される適合性を確認します。緊急に輸血が必要な際に活用できますが、副作用や感染のリスクは自己血輸血より高くなります。
輸血製剤に種類がある?
輸血製剤には種類があります。
多くの病院で施行されている輸血の多くは、その患者に必要な成分だけを抽出した「成分輸血」が主流です。
成分輸血とは、血中に含まれる成分を血球や血漿に分離して精製したものです。
そもそも、血液は血球と血漿に分類される
血液の解剖を思い出してみましょう。
血液は、血球と血漿のふたつの成分に分けることが出来ます。
血中の45%が血球、55%が血漿といわれています。
- 血球とは
血球とは、
- 赤血球(酸素を運ぶ働き)
- 白血球(免疫として働く)
- 血小板(止血する働き)
の3つから成り立っています。
- 血漿とは
血漿は、その成分がほとんど水分で成り立っていて、その他アルブミンや凝固因子、電解質など様々なものが含まれています。
赤血球製剤
赤血球製剤は、赤血球だけで作られた輸血製剤。
目的
- 貧血や赤血球の機能低下を補う。
- 末梢循環へ不足した酸素を供給する。
- 急性出血等で低下する赤血球機能を補う。
保存方法
- 2~6度で保存
- 採血後21日間有効
注意点
- 赤血球輸血セットを使用すること
- 急速大量輸血をする場合、急激に体温低下する場合があるため、専用加温器を用いて輸血する
血小板製剤
血小板製剤は、止血作用のある「血小板」だけを抽出した輸血製剤です。
目的
- 止血のために輸血する
- 出血予防のために輸血する
- 血小板減少を補うために輸血する
保存方法
- 20~24度で振とうしながら保存する
- 採血後4日間有効
注意点
- 血小板輸血セットを使用する
- 輸血をうけとったら、すみやかに使用する
血小板の機能を維持するためには、エネルギーとして酸素が必要です。
血小板が振とうした状態で保存されるのは、バッグを経由して、バッグ内の血小板に酸素を送り込むためです。
酸素がいきわたらなくなると、血小板のPhが低下し、血小板機能に異常が生じることがあります。
血漿製剤
血漿成分だけを抽出した輸血製剤です。
目的
- 血漿成分、複数の凝固因子を補充し、出血傾向を改善するために輸血する
- 凝固因子異常がある疾患の治療に使用する
保存方法
- -20度以下で保存する
- 採血後1年間有効
注意点
- 赤血球輸血セットを使用する
- 30~37度の恒温槽で融解し、3時間以内に使用する
- 恒温槽に入れる際は、ビニール袋に入れる
参考文献・URL