シンママナースの マリアンナ です。
心不全とは何か、心不全の観察項目や看護計画、アセスメントのポイント等を紹介しています。
心不全とは
心不全とは、心臓のポンプ機能障害のために、必要な血液量を全身に供給できなくなった状態のことです。
心不全には大きく分けて右心不全と左心不全があり、右か左かによって生じる症状や問題はかわってきます。
右心不全
右心の心筋収縮機能が低下することで、静脈系の血液がうっ滞し、浮腫や肝腫大を起こす。
左心不全が影響して起こる場合と、肺疾患で肺血管抵抗が高くなり、右室拡大やう心不全になる場合があります。
左心不全
左室の心筋収縮収縮能が低下し、拡張期終末期圧が上昇します。左房、肺静脈系に血液がうっ滞し、肺うっ血、重症になると肺水腫を起こし、PaO2低下、呼吸困難を呈します。
心不全の症状
呼吸困難、SPO2低下、下肢浮腫および全身の浮腫、動作時の息切れ、体重の増加、動機など
心不全から考えられる看護問題
心不全は長期にわたり罹患することで、入退院を繰り返すことが多いです。
心不全が進行するとともにつれて、今まで自分ができたことができなくなったり、食べたいものを食べられなくなったりと、本人の積み上げてきたそれまでの生活習慣が失われていきます。
心不全患者は、進行とともに消極的になっていく日常生活の行動力や、食事制限に伴う食思の低下が問題になってきます。
一般的に考えられる看護師問題は、
- 心不全に伴う倦怠感による活動の低下
- 食事制限によるストレス
です。
心不全患者は、これまでの生活習慣を維持しつつ、QOLを維持できるような援助が必要になります。
心不全のアセスメントと看護展開
心不全患者のアセスメント
心不全の患者をアセスメントするときのポイントは、心不全の症状によって、その患者のQOLや毎日の食習慣に影響を与えていないか、です。
その患者の生活習慣を知り、その患者の日常生活で特に心負荷がかかっているところはどこなのか、どうしても患者が自分でしたいと思っていることは何なのか、食事制限が患者のQOLに影響をきたしていないか等の視点から情報収集し、どんな看護が必要なのかアセスメントします。
心不全患者の看護展開と看護計画
心不全の患者の看護展開展開では、まず以下のふたつの看護目標にフォーカスして、看護展開を行なっていきます。
- 自覚症状に伴って活動と休息のバランスを保ちながら、自身のQOLを保つことができる
- 味付けや摂取方法を工夫することで、減塩食をおいしく摂取することができ、食事の満足感を得ることができる
- 水分のIN/OUTを管理する
看護ケア介入のポイントと看護計画
1:自覚症状に伴って活動と休息のバランスを保ちながら、自身のQOLを保つことができる
- 活動と休息のバランスをとることができる
- 活動と活動に間に休息をいれるようにする
- 倦怠感や呼吸苦が生じない程度に、自分でできることは自分で行うよう促す
- 面会等で会話する時間が長くなるときは、休息を取り入れる
- 本人が望む活動を日常生活に取り入れられるよう、他職種と連携し調整していく
- 心負担の少ない入浴の工夫
- 浴槽の湯温は38〜40度、入浴時間は5〜10分くらいに調整する
- 浴槽と脱衣所の温度差を減らす
- 体調に応じてシャワー浴や清拭を取り入れる
- 浴槽に入る前は足元から湯をかけ、心窩部までの入浴にする
- 入浴前後に水分補給を行う
- 入浴後は休息をとれるよう配慮し、疲労感や血圧変動が生じていないか観察する
- 食事直後の入浴は控える
- 心負担の少ない排泄の工夫
- トイレまでの移動距離の調整を行う
- 腹圧をかけやすいよう排便姿勢の調整を行う。その際いきみすぎないよう注意する
- 便意を訴えたときすみやかにトイレへ行けるよう、排便リズムを把握し、トイレ誘導を行う
- 排便、排尿を促すための食事内容や水分補給の工夫
2:味付けや摂取方法を工夫することで、減塩食をおいしく摂取することができ、食事の満足感を得ることができる
- 塩分制限の食事に対する工夫と、おいしく摂取できるための環境作り
- 味付けの工夫
- 食事以外に食べたいものがあるときは、塩分制限の範囲内で摂取する
- 菓子類をたべるときは一緒に塩分表示をみるようにする
- 食欲が出る環境作り
- 患者の目線から見て料理が見えるようにテーブルと椅子の高さを調整する
- 綺麗な食器、盛り付け、テーブルの整理整頓等を調整する
3:水分のIN/OUTを管理する
- 水分のIN/OUTを管理し、体重の推移を管理する
- 浮腫、脱水、発熱、発汗の有無と程度を観察する
心不全の観察項目
- 浮腫の有無と程度
- チアノーゼの有無
- 呼吸状態、呼吸苦の有無
- 皮膚色や顔色の変化
- 動作時、安静時の呼吸状態の変化
- 頸動脈に怒張はないか