シンママナースの マリアンナ です。
入院患者にありがちな「感染リスク状態」。
ドレーンやカテーテル挿入中、寝たきりで誤嚥などのリスクがあるとき、インフルエンザやノロウイルスなど流行性感染症がはやっているとき、ケモや放射線治療中、HIVや白血病などの免疫低下状態など、入院患者は様々な側面から感染リスク状態にさらされます。
この記事ではスタンダードな感染リスク状態の看護計画とその原因、看護計画の書き方などを紹介しています。
- スタンダートな看護計画はほとんどこれで網羅できる。
- 患者によく起こる症状とその看護が根拠とともに書かれていて、わかりやすい。
感染リスク状態とは
感染とは、病原微生物が人体の組織や体液、表面に定着して増殖すること。
本来なら人間に備わる免疫機能で感染を起こすことはありませんが、治療や疾患を起因として免疫力が低下したりすることで、感染しやすい易感染状態になることがあります。
この時患者は感染リスクにさらされることになり、感染を起こした場合、治療がスムーズにいかなくなったり苦痛が生じたりするので、感染を起こさないようにすることが重要。
看護者として患者が感染を予防できるよう、看護介入する必要がありますね。
感染リスク状態の看護の焦点は、「感染源の侵入を最小になるよう努めること」と「患者自身の抵抗力を高め、免疫力を極力引き出すこと」が重要になります。
感染リスク状態の看護問題があがる事例
感染リスク状態の看護問題が考えられる事例として以下のようなものが考えられます。
- 化学療法(ケモ)、放射線治療、ステロイド治療中の患者
- 中心静脈カテーテル(CV)、ドレーン類(胸腔ドレーン、腹腔ドレーン等)、尿道カテーテルン等侵襲的なチューブ類が挿入されている患者
- 術後感染が予測される患者
- 解放骨折等の開放創がある患者
- クリーンルーム使用中の患者
- 広範囲に熱傷がある等皮膚バリア機能が低下している患者
- 低出生体重児で免疫が低下している患者
注意点
HIVや白血病等の易感染にある状態の患者で、かつ他者にも感染源をうつしやすい状況にあるひとは、「感染リスク状態」と「感染仲介のリスク状態」の看護問題・看護計画立案が必要です。
またすでに感染を起こしている場合は「感染リスク状態」の看護計画とともに、「合併症の潜在的状態:敗血症」「感染増悪のリスク」などの看護計画が必要になることがあります。
患者の状態に応じて看護計画を同時に立案してください。
感染リスク状態の原因~○○に関連した「感染のリスク状態」~
感染リスク状態の看護計画をあげるときは、何に関連した(ようは何を原因とした)感染リスク状態なのかをあげるようにしましょう。
○○に関連した感染のリスク状態の、○○の部分が感染リスク状態の原因になります。
っていうのも原因によって具体的な看護計画の内容(OP・TP・EP)の内容が変わってくるからです。
○○に当てはまるような原因は、以下のようなものがあげられます。
- 化学療法後の免疫力低下による白血球の減少
- 放射線療法による免疫力低下
- 長期ステロイド治療に伴う免疫力の低下
- 侵襲的チューブ(胸腔ドレーン、腹腔ドレーン、尿道カテーテル、中心静脈カテーテル)の留置
- 気管切開口と創部が隣接していること
- 唾液や尿、便で創部が汚染しやすい状態
- 新生児のため目根木機能が未熟であること
- 口腔内の開放創
- 不適切な個人衛生
- 尿の停滞、繰り返す尿道カテーテルの挿入
- 疾患の経過による免疫力低下
- 意識障害・麻痺による身体不動性や嚥下障害
- 経口摂取不十分による低栄養状態
- 妄想、幻覚、うつ状態によって衛生に対し関心がないこと
- 広範囲な熱傷
感染リスク状態の看護目標
- 感染の危険因子について理解し、感染予防の方法が実施できる。
- 感染を起こさない。
- スタンダートな看護計画はほとんどこれで網羅できる。
- 患者によく起こる症状とその看護が根拠とともに書かれていて、わかりやすい。
感染リスク状態:看護計画OP(観察項目)
- 発熱の有無と熱型
- 悪寒戦慄の有無、チアノーゼ、冷感、頭痛、嘔気などの随伴症状
- 検査データの結果
- 皮膚穿刺部の発赤や腫脹等の皮膚トラブルはないか
- 呼吸器感染兆候の有無(咳嗽、喀痰、肺雑音)
- 口腔粘膜や歯肉発赤、腫脹、疼痛の有無
- 創部の状態
- 尿の性状、尿混濁や浮遊物の有無、陰部の状態
- 誤嚥やムセの有無
- 肛門の発赤、亀裂や出血、痔核の有無、排便の状態
- 腹部症状の有無
- 全身黄体の発赤や発疹等皮膚トラブルはないか
- リンパ節腫脹の有無
- 疾患及び治療に関する本人や家族の認識や理解度
- 治療内容や抗生剤の使用状況
- 既往の感染症、予防接種の状況
- 各チューブやドレーンからの排液状態や刺入部の状態
- 家族や友人の伝染性疾患既往の確認
- 食事摂取量や体重増減
- 観戦媒体との接触の有無
- 海外渡航歴
- 昆虫や動物との接触の有無
- 職業
- (可能なら)性的活動や性感染症の恐れがあるかどうか
感染リスク状態:看護計画TP(ケア項目)
- 感染の原因をアセスメントする
- 感染源の侵入をふせぐために手洗い・うがいを行う
- 身体の清潔の保持
- 体位変換や口腔内、気管内吸引を清潔操作で行う
- 食事や経管栄養注入中は半坐位や座位で行い、誤嚥を予防する
- 抗生剤を適切に与薬する
- 定期的な中心静脈皮膚穿刺部の消毒のガーゼ交換
- カテーテルやチューブの交換は清潔操作で行う
- 気切ガーゼの交換を行う(各勤務および随時汚染時に施行)
- 生ものの摂取を控える
- 便秘指示に従い排便コントロールをはかる
- 処置には滅菌手袋を使う
- 食事形態や嗜好を考慮し、食事変更を行う
- クリーンルームで隔離が必要な場合、マニュアルに沿って実施する
感染リスク状態:看護計画EP(教育項目)
- 感染症の原因、危険性、予防方法に関して本人と家族に指導する
- 家族と本人に面会制限の必要性を説明する
- スタンダートな看護計画はほとんどこれで網羅できる。
- 患者によく起こる症状とその看護が根拠とともに書かれていて、わかりやすい。