シンママナースの マリアンナ です。
急性冠症候群(ACS)をわかりやすく説明した記事です。急性心筋梗塞(AMI)や不安定狭心症との違いや、急性冠症候群(ACS)の心電図波形などを紹介しています。
ACS:急性冠症候群とは
急性冠症候群(ACS:acute coronary syndrome)とは、冠動脈のプラーク破綻を起因として急速に血栓形成・閉塞が進行しつつある状態のことを指します。
プラークとは、血管内膜の動脈硬化による部分的な肥厚のことです。硬くなって盛り上がってきた部分ですね。(下図②~③)
そのプラークがなにかの拍子にやぶれてしまうと、それを止血すべく中から血がでてきて、血栓ができるんです。かさぶたみたいなもんです。
そしてそれが塊となり、血管に詰まってしまう。この状態が進行している状態を急性冠症候群、略してACSっていうんです。
急性冠症候群(ACS)と急性心筋梗塞(AMI)の違い
急性冠症候群(ACS:acute coronary syndrome)と急性心筋梗塞(AMI:acute Myocardial Infarction)の違いとは何でしょうか。
病態的に急性心筋梗塞や不安定狭心症と類似していますが、急性冠症候群(ACS)は心筋梗塞と同義ではなく、心筋梗塞と不安定狭心症を含む広義の診断名です。
心筋壊死まで起こす症例であれば急性心筋梗塞と診断し、明らかな心筋壊死にまで至らないなら不安定狭心症と判断されます。
急性冠症候群(ACS)と急性心筋梗塞(AMI)は同じか違うか、というよりは、急性心筋梗塞に至るまでの症状や経緯を急性冠症候群と呼ぶ、というニュアンスのほうが近しいです。
ACS:急性冠症候群の心電図波形
ACS(急性冠症候群)の心電図波形は、まだ梗塞するかしないかといった状態が不安定なため、これといった波形はないようですが、以下のような心電図波形が考えられます。
不安定狭心症(急性冠不全・心筋梗塞前狭心症・中間症候群)
一過性でST低下、ST上昇、またはT波の逆転などの心電図変化がみられることがあるが、状態は不安定であり心筋梗塞や不整脈、心停止等による突然死の前兆となる。
非ST上昇心筋梗塞(NSTEMI・心内膜下心筋梗塞)
急性ST上昇もしくはQ波を伴わない心筋壊死である。
ST低下、T波逆転、またはその両方などの心電図変化が現れることがある。
ST上昇心筋梗塞(STEMI、貫壁性心筋梗塞)
ニトログリセリンでも回復しないST上昇、もしくは新しい左脚ブロックを表す心電図変化を伴う心筋壊死。Q波が現れることがある。
急性左室前壁梗塞(発症から数時間以内に得られた記録)
Ⅰ,aVL・V4・V6誘導で著明な超急性ST上昇と、その他の誘導で相反性低下を認める。
急性左室前壁梗塞(24時間後)
ST上昇が軽快する。Ⅰ・aVL・V4・V6誘導でQ波の発達やR波の消失を認める。
急性左室前壁梗塞(数日後)
顕著なQ波、R波電位の消失が継続。STは本質的に等電位。心電図は今後数カ月、緩慢にしか変化しない。