「世界がもし100人の村だったら」子どもが数字をわかるようになってから読ませたいと思った絵本



シンママナースの マリアンナ です。

「世界がもし100人の村だったら」って知っていますか?わたしが初めてこの本に出合った時、反抗期真っ盛りの10代でした。自分というアイデンティティを作りあげる思春期に、この本を読んですごく感銘をうけ、価値観がかわったことを覚えています。この記事では「世界がもし100人の村だったら」とは何か。子どもに読ませたい理由とともに紹介しています。



子どもが数字をわかるようになったら読みたい絵本

子どもが数字の概念をわかるようになったときに、すぐ買い与えた本があります。

世界がもし100人の村だったら

わたしがこの本を知ったのは10代のときで、すっごく感銘を受けたことを今でも覚えています。

動画も出てるんですよ。ワンピース版とかも出ていて余計わかりやすい。

自分が思春期で、複雑な家庭で育つ中、どうしても自分と同世代の幸せそうな子と自分を比較してしまい、「どうして自分だけ、こんな家庭に生まれたんだ!」とか、「もっと金持ちの家に生まれていれば・・」なんて変えようのない自分の生まれてきた環境をよく呪ったものです。(器が小さい)

発達心理学でも思春期は人格を形成するすごく重要な時期だといわれています。現実の自分と、憧れる人やなりたい人との「差」に悩み、将来に悩み、生まれて初めて「自分」というものに向き合う時期。自分の思春期を振り返っても、中学から高校くらいまでの「思春期」って難しい時期だと思いますが、初めて自分という存在を意識し始める思春期こそ、たくさん葛藤をもっていろいろ悩んだり、考えたりするのって大事なんじゃないかと思います。将来の自分の人格を作り上げる最終段階ですからね。

わたしは10代のとき「世界が100人の村だったら」を読んで、価値観が変わったんです。

だいたい子どもって小学校高学年くらいから、自分と周りの人を比較するようになります。「あの子のほうが可愛い」とか「あいつはスポーツができるけど、自分はできない」とか、なんか自分の中で「人と違うこと」を意識するようになるんですよね。その中でわたしみたいに「なんでわたしだけこんな不幸なんだ!よそは幸せな家庭なのに!」とか人生に悲観的になる子どももいれば、「あのアイドルみたいな顔になりたい!どうしてわたしってこんなにブスなの!」なんて見た目に対する人との差を意識する子どももいます。

人と違うことを意識し始めると、自分がまるで「充分でない人間」みたいにかんじてしまうことがあるんです。

「見た目がよくない」とか、「スポーツができない」とか、「家が貧乏だ」とか、まだまだ学生の狭い範囲の人間関係や価値観の中で、自分より優れたひとと自分を比較してしまい、「自分なんか」みたいな葛藤にさいなまれてしまうんですよ、思春期って。だからこそ思春期の子どもほど拒食症になったり、ひどいイジメが勃発したりするんでしょうか。情緒が不安定なんですよね。狭い世界のなかで自分の価値観を作り上げるから、余計に。

わたし自身思春期は反抗期がひどかったし、自分が生まれた環境が周りとあまりにも違うことに葛藤がありました。

でもこの本を読んで感じたことは「自分がすごく恵まれた環境にいたこと」と、「自分は人生を良い方向にもっていくチャンスがある」って思ったことです。自分は最低な家庭環境に生きているんだって思っていたのに、世界を見たら自分はすごく恵まれた環境にいたこと、仮に不遇な環境にいたとしても、福祉が充実したこの日本で生きているなら、自分の家庭環境を変えるチャンスがたくさんある。まだ高校生くらいだった幼心にこの思いが強く残りました。

自分の人生に悲観的に感じがちだった思春期に、少し希望の光が入ったような気がしました。

全ては「知る」ことから始まります。感性の高い子どもこそ、自分の置かれた環境を客観的に見る機会があるべきだと思います。「世界がもし100人の村だったら」は、まだ幼い子どもが世界という大きな領域で、自分がどんな立場にあるのか、客観的に知れる、考えることができる機会になると思います。

 



「世界がもし100人の村だったら」の原作は1通のメールから始まった

「世界がもし100人の村だったら」は、世界の人口を100人に縮小して、様々な視点からその人口の統計をわかりやすい言葉と数字で説明したものです。100人中の男女の人数や高齢者の人数など、身の回りにある当たり前の人口の数字から、戦争や飢餓にあう割合などシビアな内容まで多様な視点で世界人口を捉えています。

今は絵本として販売されていますが、原作はどこかの先生が生徒に送ったメールから始まったもの。それが世界中で本にまでなって販売されるようになるなんて、なんてすごい先生だ。先生、賢すぎだろ。

100人という数字だからこそ、数字がわかるようになった子どもでもイメージしやすい。小学校高学年くらいからなら「世界がもし100人の村だったら」に描かれている内容が理解できてくると思います。

 



どうして子どもに「世界がもし100人の村だったら」が良いと思ったか

「世界がもし100人の村だったら」には同性愛者の人の割合や、飢餓や戦争被害にあう人の割合など、ディープな一面も描かれているので、子どもに見せることが良いとか悪いとか、いろいろ賛否両論はあると思うんですけども。

ただ、同性愛者だ、びっくりするくらいの貧困だ、黒人だ白人だとかいう普段聞きなれないような、なかなかお会いする機会がない分野の人口の割合を知っていたら、その人たちが決して特別な存在ではない人たちであることを理解できると思うんです。つまり、そういった自分と違うひとたちがいる割合を知っておけば、そういった人たちと出会っても、差別的な目でみることはないんじゃないかっていう利点があるって考えるんです。差別は自分と違う人間を受け入れないことから始まるから、「世の中には自分と違うひとがたくさんいて当たり前」っていう考えをもってほしいと思いました。

また仮に子どもがこれから、とても不遇な、辛い経験をすることになっても、決して自分のいる環境が世界で一番辛い境遇ではないことを知れると思うからです。ひとって自分が不幸だと思い始めると、まるで世界一自分が不幸な人間のような感じる生き物だと思うんですよね。周りを見たらリア充で幸せそうなひとばかり。どうして自分だけこんなに不幸なんだろう、なんて思いがちだけど、世界に視点を向けたら、自分はとても恵まれている環境にあることに気づくんです。思春期とかになかなかそういった視点で自分の置かれた環境を客観的に見れる機会ってないですから。

 



世界がもし100人の村だったら:内容

今朝、目が覚めたときあなたは今日という日にワクワクしましたか?
今夜、眠るときあなたは今日という日に満足できそうですか?
今いるところが、こよなく大切だと思いますか?
すぐに「はい、もちろん」といえなかったあなたにこのメールを贈ります。
これを読んだらまわりがすこし違って見えるかもしれません。
世界には63億人の人がいますがもしそれを100人の村に縮めるとどうなるのでしょう。

100人のうち
52人が女性です
48人が男性です

 

30人が子どもで
70人が大人です
そのうち7人が
お年寄りです

90人が異性愛者で
10人が同性愛者です

70人が有色人種で
30人が白人です

61人がアジア人です
13人がアフリカ人
13人が南北アメリカ人
12人がヨーロッパ人
あとは南太平洋地域の人です

33人がキリスト教
19人がイスラム教
13人がヒンドゥー教
6人が仏教を信じています

5人は、木や石など、すべての自然に霊魂があると信じています
24人は、ほかのさまざまな宗教を信じているか
あるいはなにも信じていません

17人は中国語を 9人は英語を
8人はヒンディー語とウルドゥー語を
6人はスペイン語を 6人はロシア語を
4人はアラビア語をしゃべります
これでようやく、村人の半分です
あと半分はベンガル語、ポルトガル語、
インドネシア語、日本語、ドイツ語、フランス語などをしゃべります

いろいろな人がいるこの村では
あなたと違う人を理解すること
相手をあるがままに受け入れることがとても大切です

また、こんなふうにも
考えてみてください

村に住む人びとの100人のうち
20人は栄養がじゅうぶんではなく
1人は死にそうなほどです
でも15人は太り過ぎです

すべての富のうち
6人が59%をもっていて
みんなアメリカ合衆国の人です
74人が39%を
20人が、たったの2%を分けあっています

すべてのエネルギーのうち
20人が80%を使い
80人が20%を分けあっています

75人は食べ物の蓄えがあり
雨露をしのぐところがあります
でも、あとの25人はそうではありません
17人は、きれいで安全な水を飲めません

 

銀行に預金があり
財布にお金があり
家のどこかに小銭が転がっている人はいちばん豊かな8人のうちの1人です
自分の車をもっている人は豊かな7人のうちの1人です
村人のうち

1人が大学の教育を受け2人がコンピューターをもっています
けれど、14人は文字が読めません

 

もしあなたが
いやがらせや逮捕や拷問や死を恐れずに
信仰や信条、良心に従って
なにかをし、ものが言えるなら
そうではない48人より
恵まれています

 

もしもあなたが
空爆や襲撃や地雷による殺戮や
武装集団のレイプや拉致に
おびえていなければ
そうではない20人より
恵まれています

1年の間に、村では1人が亡くなります
でも、1年に2人赤ちゃんが生まれるので
来年、村人は101人になります

 

もしもこのメールを読めたなら、
この瞬間、あなたの幸せは2倍にも3倍にもなります
なぜならあなたにはあなたのことを思って
これを送った誰かがいるだけでなく
文字も読めるからです
けれど何より
あなたは生きているからです

昔の人は言いました
巡り往くもの、
また巡り還る、と

だからあなたは、
深ぶかと歌ってください
のびやかに踊ってください
心をこめて生きてください
たとえあなたが、傷ついていても
傷ついたことなどないかのように愛してください
まずあなたが愛してください
あなた自身と、人がこの村に生きてあるということを
もしもたくさんのわたしたちがこの村を愛することを知ったならまだ間にあいます
人びとを引き裂いている非道な力からこの村を救えます