シンママナースの マリアンナ です。
子どもが起こす肺炎の症状と特徴、その原因について年齢別にまとめています。救急診療を受けるべきかどうか「小児呼吸器感染症診療ガイドライン」を参考にした症状表を記載しているので、土日祝日や夜間に救急診療をうけるべきかどうかの参考としてお使いください。(診察を受ける判断については自己責任でお願いします)
子どもの肺炎:小児肺炎とは
小児肺炎は、1歳くらいの乳児から小学校前の幼児、15歳までの学生などに良くみられる肺炎です。呼吸器が未発達であったり、免疫力もまだ乏しい子どもは肺炎にかかやすいです。風邪っぽいけど、いつもと違う。変な咳や発熱、ぐったりが続いて何かおかしいと思うなら、肺炎かもしれません。
子どもの肺炎:症状と特徴
小児肺炎と普通の風邪を見分けるには、主に以下のようなと特徴と症状があります。
4日以上続く発熱
普通の風邪や腸炎程度であれば、2~3日で解熱していきます。肺に炎症を起こす肺炎を起こしている場合、炎症が広範囲で強いため、適切な治療を行っていないなら4日以上発熱が続くことがあります。体の小さい子供が肺炎で長期間発熱を起こしている場合、脱水や栄養低下などの二次的影響も考えられます。発熱が続くようであれば、しっかり水分をとらせたうえですぐに診察をうけるようにしましょう。
長く続いて悪化していく咳や痰
喉あたりまでの炎症による風邪であれば、咳や痰があっても一定期間すれば症状は軽くなっていきます。肺炎を起こしている場合、4日以上過ぎても咳や痰は継続的かもしくは症状が悪化していきます。呼吸するたびに胸のあたりで雑音のような音も聴取できます。この場合、肺炎を起こしている可能性が高いです。
その他の症状
その他症状と症状別の救急診療をすべきかどうかの判断基準については事項「子どもの肺炎:救急で診察すべき?症状でわかる重症度判断基準」に詳しく記載しています。
子どもの肺炎:救急で診察すべき?症状でわかる重症度判断基準
子どもが肺炎かもしれなくっても、医療知識がないと救急搬送すべきか、明日まで様子を見るべきかわからないですよね。子どもの肺炎にはウイルス性、細菌性などいろいろな原因がありますが、どの肺炎においても以下のような症状ある場合緊急を要する場合があります。
「小児呼吸器感染症診療ガイドライン」では小児肺炎について、通院治療で大丈夫か、もしくはすぐにでも救急搬送して入院治療が必要かを症状・重症度別に明記しています。ガイドラインによる判断基準を以下に記載しているので、今すぐ病院にいくべきかどうか判断に迷ったときは参考にしてください。また医療の専門用語については、表の下に説明書きを添えています。お子さんの症状にこのような症状がないか観察してみてください。
症状 | 軽傷 | 中等症 | 重症 |
全身状態*1 | 良好 | 不良 | |
チアノーゼ*2 | なし | あり | |
呼吸数*3 | 正常 | 多呼吸 | |
努力呼吸 (呻吟*4,鼻翼呼吸*5,陥没呼吸*6) |
なし | あり | |
レントゲン結果 | 一側肺の 1/3以下 |
一側肺の 2/3以上 |
|
胸水*7 | なし | あり | |
SpO2*8 | 97%以上 | ★90%未満 | |
循環不全*9 | なし | ★あり | |
人工呼吸管理 | 不要 | ★必要 | |
判定基準 | 上記 すべてを 満たす |
軽症でも 重症でも ない場合 |
★マークの いずれか 一つを満たす |
治療場所 | 通院・外来 | 一般病棟
(入院が必要) |
ICU
(緊急で入院が必要) |
小児呼吸器感染症診療ガイドライン 2011 の小児市中肺炎重症度の判定基準軽症 (表 2 )参照
上記表の症状に記載された項目は、レントゲン結果やSPO2測定結果なども含まれるため自宅ですべて判断することは難しいですが、判断基準で中等症や重症に当てはまる場合は緊急を要する可能性がありますので、すぐにても救急診察をうけるようにしてください。
ぐったりしている、呼吸が浅い、食欲がないなど全身の状態のことをいいます。
唇や手足の先などが紫色になることです。肺炎が原因で酸素が十分に取り込めずSPO2が低下しているときに起こります。
年齢別呼吸数(回/分)は以下の通りです。1分間の呼吸回数が以下の数値より大きければ多呼吸と判断できます。
新生児<60
乳児<50
幼児<40
小学校以上の子ども<30
うめくような声のことです。
呼気時に鼻翼(鼻のあなのサイド)が膨らむ動きを伴う呼吸。
陥没呼吸とは息を吸うと同時に胸の一部が陥没する症状のことです。以下の動画で説明されているような呼吸です。
胸水はカンタンにいえば肺に水が貯まった状態です。
image:resource
胸水の症状は胸の痛みや息切れ等があげられます。深呼吸や咳をした時だけおこることもありますが、胸水の症状がないこともあります。
血中の酸素の量を図るものです。正常ではだいたい97%以上維持できています。
血液が循環していない状態のことをいいます。循環不全の症状としてむくみなどがみられます。
年齢別:子どもの肺炎の原因と治療方法
子どもの肺炎には、年齢別に以下のような原因があげられます。また原因や重症度によって行う治療も変わってきます。基本的に投薬および点滴で治療を行います。状態によっては酸素投与なども行うことがあります。
生後すぐ〜生後3週間の肺炎
主な原因菌・ウイルス
- B群レンサ球菌
- リステリア菌
- グラム陰性桿菌
- サイトメガロウイルス
主な治療
- アンピシリン(またはナフシリン)
- ゲンタマイシン(またはセフォタキシム)
生後3週間から3カ月の肺炎
主な原因菌・ウイルス
- 肺炎球菌
- ウイルス感染(RSV、パラインフルエンザ、メタニューモウイルス)
- 百日咳菌
- 黄色ブドウ球菌
- クラミジア-トラコマチス(産道感染)
主な治療
通院する場合
- エリスロマイシン10mg/kg、静注で6時間毎に10~14日間
一般病棟に入院する場合
- セフロキシム50mg/kg、静注で8~12時間毎
ICUに入院をする場合
- セフォタキシム66mg/kg、静注で1日3回
- クロキサシリン50mg/kg、静注で6時間毎
4カ月から4歳の肺炎
主な原因菌・ウイルス
- 肺炎球菌
- ウイルス感染(RSV、パラインフルエンザ、インフルエンザ、アデノウイルス、ライノウイルス、メタニューモウイルス)
- マイコプラズマ-ニューモニエ(児童)
- A群レンサ球菌
主な治療
通院する場合
エリスロマイシン10mg/kg、経口で1日4回
入院をする場合
エリスロマイシン10mg/kg、経口で1日4回
セフロキシム50mg/kg、静注で8時間毎
5歳から15歳の肺炎
主な原因菌・ウイルス
- 肺炎球菌
- マイコプラズマ-ニューモニエ
- クラミジア-ニューモニエ
主な治療
通院する場合
- クラリスロマイシン500mg、経口で1日2回
入院をする場合
- セフトリアキソン50mg/kg、静注1日1回(最高用量2g)
- アジスロマイシン10mg/kg、1日1回(最高用量500mg)
メルクマニュアル参照