シンママナースの マリアンナ です。
シングルマザーの貧困率は80%を越えています。その原因はなぜでしょうか。日本の母子家庭における福祉制度や雇用制度にも原因はあります。母子家庭の貧困から抜け出すには具体的にいつ、何をしたらいいのか、筆者の体験とともにまとめています。
なぜ日本のシングルマザーは貧困に陥るのか
日本におけるシングルマザーの貧困率は13.7%。(OECD(経済協力開発機構)の貧困率のデータ(2008年)より)
世界からみてワースト12位。先進国なのに、です。
家計については「大変苦しい」(52.8%)・「やや苦しい」(27%)との回答割合、
母子家庭の約80%が家計が苦しいと感じています。
シングルマザーが貧困に陥る原因
https://www.youtube.com/watch?v=64LGtx1gDZY
日本のシングルマザーが貧困に陥る原因は、いろいろあります。
養育費
本来子どもは父親と母親のお互いに、養育の責任があります。
しかし日本において、別れた父親が払う養育費の割合は30%ほどにとどまっています。
この地点であほかという思いにかられますが、
日本のシングルマザーは他国のシングルマザーと状況が違い、日本は養育費について強制的な制度がありません。
子どもの貧困率が低い国では、夫婦が離婚した場合、国の法律が父親から養育費を強制的に没収したり、
養育費を立て替えて国が払い、父親に請求するといった、こどもの養育費が守られるような制度がたくさんあります。
日本には子どもの養育費が守られる制度はないのです。
したがって、子どもの生活費・教育費の多くは、片親である母親に依存することになります。
母親の就労の難しさ・収入の少なさ
子どもがいる母親の就労状況はとても厳しい状態にあります。
また、母子家庭の平均年収は全世帯の平均所得の37.8%しかありません。
妊娠したから退職をすすめられたり、熱がでた子どもをむかえにいくためにしょっちゅう休んだり、早退したりする母親を雇用することをいやがる企業はたくさんあります。
またどうしても子どもとの時間を必要とする母親が就労できる時間は制限されるため、
必然的に母子家庭の収入は貧困状態になりやすいのです。
教育費・生活費の高さ
日本は教育費・生活費がとても高い水準にあります。
生活費においては家賃の高さや税金、食費など、他国と比べても非常に高価です。
教育費において、大学や専門学校は非常に高額な学費であるにかかわらず、
日本は教育への公的支出(いわば国が教育を支援すること)はOECD参加国中、世界最下位になっています。
つまりシングルマザーの子どもの教育費は、半数以上がその母親だけの収入に頼るかたちになるのです。
ですが前述でも述べたとおり、母子家庭は収入が少ないため、母子家庭の子どもの教育費はとても十分に支払える状況にはないのです。
シングルマザーの収入や貯金の現状
![シングルマザーの収入](http://nurse-singlemother.jp/wp-content/uploads/2016/08/PAK85_kakuteishinkokupen20140312231341_TP_V_thumb.jpg)
一般的な子育て世帯の収入とシングルマザーの収入の比較
前述で述べた通り、母子家庭の平均年収は全世帯の平均所得の37.8%です。
世帯平均所得は約542万円と言われているので、母子家庭の平均年収は約204万円になります。
月にして約17万円。
2~3人家族の平均的な家賃が5~7万円なので、家賃を引いた母子家庭の生活費は10万円前後になります。
そこから光熱費や通信費、食費など必ずかかる出費を差し引けば、ほとんどといっていいほど手元にお金は残りません。
シングルマザーの子どもが貧困に陥る可能性は非常に高い環境にあるのです。
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母子家庭のための助成金・シングルマザーが受け取れる手当一覧
シングルマザーには、受け取れる手当や助成金、援助金制度があります。
子供の年齢や、人数、母親の年収等の条件によって、受け取れる手当は違います。
シングルマザーが受け取れ |
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子どものためにも貧困から抜け出さないといけません
母子家庭だろうが、なんだろうが、子どもを貧困にあわせないよう、親は努力しなければならないものだとわたしは思っています。
わたしは幼少期、母子家庭で育ち、非常に貧しくて辛くみじめな思いをしたことをまだ覚えています。
それが原因でひねくれたこともあるし、今でも辛い思いでとして残っています。
勉強する意欲もなくなるし、自分の生活が十分満たされていないから、変な方向に走りやすい。
(実際非行に走ったり、水商売をしたりしました。すべて貧困のせいというわけじゃないかもしれませんが)
貧困を清貧(貧しくつつましいこと。貧しいことを肯定的に捉えたことば)というひともいますが、
子育てにおいて、貧困は避けるべきことだと思っています。
これを証拠づける心理学として、
マズローの欲求5段階説が有名です。
![マズロー 欲求](http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/j/joyemon/20151002/20151002185540.png)
充分な生活が守られ、母親が近くにいて安心でき、尊厳を守れらるくらいの生活(辛いくらいの貧困状態にないこと)レベルにあって、
はじめて子どもは意欲や自己実現、いわばやる気につなげていけるのです。
お金持ちの子どもは伸びる、といわれたらじゃっかんうなずける心理学の話かもしれません。
でも極端な貧困が、子どもの心の成長に少なからず悪影響を及ぼすエビデンスともいえるでしょう。
子どもを意欲的な子どもに育てたいなら、このピラミッドの底辺は必ず親が用意しないといけないですし、
そうなると極力貧困に陥らないようにする努力が必要になるのです。
貧困が子どもに与える影響
まず貧困は、子どもの教育を受ける機会を奪います。
習い事などの教養だけではなく、見たことない景色をみて感動したり、したことない体験をして感動したりする機会も少なくなるのです。
ひとは機会がないと意欲を失います。
貧困が理由で感動や興味がとざされてしまうと、
いつの間にか「お金がないから」が理由になり、何かをしようとする意欲が出なくなるのです。
意欲がなくなると、教養がつなかくなります。
つまり勤勉さが乏しくなり、学歴や成績に影響します。
教養がなくなると、将来の収入に影響します。
低学歴や無資格のひとはそうでないひとに比べて年収が低い傾向にあります。
貧困の負のスパイラルに陥ることになるのです。
清貧は押しつけであり、貧困は不幸を生み出す
母子家庭でも誰でも、子どもに貧困=清貧の考えを押し付けるのはだめだと思います。
お金は人生に選択肢や自由を与えるツールであり、
良い人間関係を維持するためにも必要なものです。
無駄遣いをしないことは大切ですが、それを清貧とつなげて教育してはいけません。
充分な収入があることは、精神衛生的にも良いことです。
無心に収入を上げることを考えるのは決して悪い事ではありません。
親として素晴らしい心構えだと思います。
親であるわたしたちも、お金に対して学び貧困に陥らないように努めるべきなのです。
母子家庭の貧困率は高いから、わたしたちは貧乏なんだ
ではなくて、
母子家庭の貧困率は高いけど、どうしたらわたしたちは貧困から抜け出せるのか
を考えましょう。
探していくうちに答えは見つかってきます。
探し出すことが大切なのです。
タルムードでは有名な名言があります。
「人を傷つけるモノが三つある。悩み、いさかい、空の財布だ。その内、空の財布が最も人を傷つける。」
貧困がいかに怖いものかを、昔のひとは悟っていたのかもしれません。
![人を傷つけるモノが三つある。悩み、いさかい、空の財布だ。その内、空の財布が最も人を傷つける。」](http://nurse-singlemother.jp/wp-content/uploads/2016/08/INA99_saifuaketara1en_TP_V_thumb.jpg)
どうすれば貧困から抜け出せるのか
シングルマザーがどうしたら貧困から抜け出せるのか、考えていきましょう。
母親自身の「時間単価」をあげる努力をする
![お金](http://nurse-singlemother.jp/wp-content/uploads/2016/08/N695_ichimanensatu_TP_V_thumb.jpg)
時間単価をあげる。これはとても重要なことです。
これが貧困から抜け出す基盤になります。
人は貧困に陥ると、その状況から抜け出すためにとりあえず今すぐできる仕事を探します。
でも、誰でもできる簡単な仕事だと、対外低賃金がセオリーです。
低賃金ゆえに収入が少ない、足りない。
それを補うためにまた働く時間を増やします。
低賃金で長い時間働く、まさに貧乏暇なしのスパイラルに陥るのです。
ここでシングルマザーのひとに気づいてほしいことがあります。
子どもの成長とともに出費はかさんできます。
時間単価が低いまま子どもが成長すると、成長とともに働く時間を増やさないといけないのです。
そうなると子どもと過ごす時間が無くなってきます。
シングルマザーが一日で子どもと過ごす平均時間は46分といわれています。
子どもと過ごす時間が少ないと、子どもの精神的なケアが十分できなかったり、
問題行動を起こしていても、十分な対応ができなかったりします。
母親には収入も必要ですが、子どもとの時間も必要。
だから働く時間単価を上げるしかないんです。
雇われでも、自営業でも、
自分が仕事に費やす時間をいかに減らし、単価をいかに上げるか。
月30万を時給1000円で稼ごうとするなら、月300時間(10時間/日)働かないといけないですが、
時給2000円で稼げるなら、月150時間(5時間/日)で稼げます。
ゆえにシングルマザーである母親が、
自分が働いて得る時間単価を上げる意識を持つことが、
とても重要なのです。
子どもがすごくお金がかかる大学に入ったり、
したいことが見つかってお金がかかるまえに、
この準備に手をつけないといけません。
子どもにお金がかかる時期と収入を逆算して
子どもの成長には、教育費の準備と一緒に過ごす時間のバランスがかかせません。
ちいさいうちはお金はかかりませんが、お金より親と一緒に過ごす時間のほうが重要です。
将来のことを考えて勉強やスポーツにはげむとき思春期は、意欲に見合った教育を受けさせるためにも収入のほうがウエイトを占めてきます。
ということは、子どもが3~5歳くらいまではそこまで収入を意識せず、
一緒に過ごすことにウエイトをおいてあげたらいいですが、
成長とともにその子どもにかかる教育費を逆算して、
シングルマザーである母親は、収入を確保していかなければなりません。
自分の能力をいかして自営業をするのか、
安定した収入を目指してそれなりの正社員や公務員を目指すか、
くいっぱぐれしないよう、学校へいったり職業訓練をうけたりして資格をとるか、
選択肢がたくさんあります。
何をしたらいいかわからなくても
区役所などで母子家庭の就労支援相談窓口みたいなのもありますし、
住んでいる都道府県の母子支援団体みたいなのもたくさんあります。
ハローワークでも相談にのってくれます。
母子が受けれる制度とかもいろいろ教えてくれましたよ、わたしもいろんなところへいきました。
仕事っていろんな仕事がありますよ。それを知るのにもとても良い機会になると思います。
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シングルマザーでも稼げる!おすすめ仕事ランキング10種
シングルマザーが選ぶ仕事には、子供と生活できる十分な給与・働く時間の制限・働ける曜日の制限・有給のとりやすさ等、いろいろクリアしなければならない条件があります。
見つ |
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![シングルマザーの仕事](http://nurse-singlemother.jp/wp-content/uploads/2016/08/PAK85_coding15095904_TP_V_thumb.jpg)
使える制度は使えるうちに使おう!
母子の福祉制度や支援制度はたくさんありますが、
子ども年齢制限や母親年齢制限があるもの、所得制限があるものなど、様々。
自治体や都道府県によっても制度が違ったりします。
できれば子どもが小さい間に使える制度を探して、
子どもの成長に合わせて自分がどのように収入アップを図っていくか、
プランニングするのがいいでしょう。
わたしは最終的に看護師になりましたが、
それまでもいろんな制度を使って学校へいったり資格をとったりしました。
実際に看護師になるまでに使った支援制度は以下の記事に掲載しています。
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看護学校にいる費用と準備方法:シングルマザーが看護師を目指すなら
シングルマザーの収入の現状
2016年現在、シングルマザーの平均年収は223万円、月収は約18万円と言われています。
都市部では2DK~2LDKでも家賃は7万以上するでしょうし |
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わたし自身、シングルマザーなりたての頃は、年収200万あるかないかでしたが、
いろいろ調べて看護師って安定していて、年収も高くていいなと思い、看護師を志しました。
看護師免許をとった今は年収500万を超えて、生活的にはだいぶ楽になりました。
子育ては20年しかないけど、20年もあるのです。
きっとより良い教育をするためにもシングルマザーとしてできることがたくさんあるはずです。
母子家庭での子育ては確かに大変だけど、ひとつ困難を乗り越えるたびに、自信もついてくるし、やりがいを感じます。
日本の母子家庭のママたちと、その子供たちが、
より良い生活をおくれるきっかけになれると幸いです。