シンママナースの マリアンナ です。
血圧は、いわゆる上の血圧と下の血圧に分かれており、どちらかだけが高くなることもあれば、どちらかだけが低くなることも結構あります。
なぜどちらかだけの血圧だけが高くなるようなことが起こるのでしょうか?そもそも何が原因で下の血圧だけが高くなっているのでしょうか?
この記事では下の血圧だけが高くなっている状態について、説明しています。
下の血圧が高いのはなぜ?
看護師をしていると、よく上の血圧は正常範囲内なのに、下の血圧だけが正常範囲より高い患者さんっています。
世間でよくいわれる「高血圧」とは、このような下の血圧だけが高い場合にも適応します。つまり、上の血圧が正常でも、下の血圧だけが高い状態が続くなら、それは高血圧っていうことになるんですね。
でもそもそも、なぜ血圧は上と下にわかれているんでしょうか。
なぜ上の血圧が基準値以内なのに、下の血圧だけが高血圧になるのか。
まず下の血圧、上の血圧の「本来の意味」を理解して、自分の体になにが起こっているのか理解していきましょう。
下の血圧、上の血圧の「本来の意味」
血圧とは
そもそも血圧とは何か、簡単におさらいをしましょう。
血圧とは、血液が血管内を流れるために、血管にかかっている圧力を数字で表したものです。
血管が硬くなる動脈硬化を起こすと血圧が高くなるのは有名ですね。また脱水や低栄養などを起こすと、血管内を流れる血液量が減少するため、血圧が低くなる傾向にあります。
血圧の「上」と「下」の意味
血圧とは130/80、みたいな感じで、「上」と「下」に分かれて表示されますよね。
この上と下の正式名称は、
上の血圧:収縮期血圧
下の血圧:拡張期血圧
っていいます。
ひとことに高血圧って言っても、この
上の血圧(収縮期血圧)が高いか、
下の血圧(拡張期血圧)が高いかで、
その体に起こっている原因には、全然違う理由があるんです。
そもそも上と下の血圧は、心臓が縮んだり、拡張したりする「動き」に関係した圧力の違いを表しています。
まず、上の血圧(収縮期血圧)と、下の血圧(拡張期血圧)が何を示しているのか説明します。
上の血圧:収縮期血圧は何を測定してるの?
上の血圧、すなわち収縮期血圧とは、
心臓がギュっと縮んで、体中に血液を送るときに起こる血管の圧力です。
最高血圧とも言います。
画像元:サイト
下の血圧:拡張期血圧は何を測定してるの?
下の血圧、すなわち拡張期血圧とは、
ギュっと縮んだ心臓が、またもとの大きさに広がって、心臓内に血液を吸い込むときにかかる血管内の圧力をいいます。
下の図のように、血液を押し出して空になった心臓が、また血液を吸い込んでいます。
そのとき細いやじるしの部分の血管には圧力がかかっています。これが拡張期血圧、いわゆる下の血圧のことです。
この最低血圧の正常値は79~84mmHgといわれています。
ちなみに、拡張期に吸い込む血液は2種類あって、体中を巡った血液と、肺から送られてくる血液が心臓内へ吸い込まれます。
高血圧にも「上の血圧」か「下の血圧」かで考えられる原因が違う
上記で示したように、上の血圧と下の血圧では血管にかかっている圧力の種類が違います。
上の血圧が高くなっている場合、心臓がなんらかの原因で血液を送り出しにくい圧がかかっているということです。
この原因の代表的な病気といえば、血管が硬くなる動脈硬化です。
血管が硬いことで、心臓が圧力をかけて血液を押し出しても、なかなか押し出しきれない状態になるんですね。
かっちんこっちんの硬い分厚い風船をふくらませようと思ったら、空気を押し出す圧力を強くかけますよね。
その原理が心臓にも働いているわけです。
下の血圧が高い場合の原因には以下のような理由が考えられます。
血圧の下が高い原因 ~末梢血管抵抗による血圧の上昇~
拡張期血圧、いわゆる下の血圧だけが高くなるのは、血液の流れへの抵抗を示す「末梢血管抵抗」が主な原因といわれています。
漢字だけ見ると末梢血管抵抗って何?って感じですが、ようは血液の通り道の血管が狭くなっていると思ってください。
下のふたつの図をみてもらえると、少しイメージがわくかもしれません。
ホースからお水をだすとき、水の出口を狭く握ると水が勢いよく出ますよね。
これはホースの中が狭くなって、ホース内の圧力が高くなっているからです。
末梢血管抵抗が高まって下の血圧が高くなる原理もこれと同じです。
下の血圧が高い原因は、末梢血管抵抗が高まっている状態であることが考えられます。
末梢血管に抵抗が加わる原因は、以下のようなものが考えられます。
- タバコ、ストレス、冷え、高脂血症等様さまざまな生活習慣の乱れが原因で血流が悪くなり、血管内に抵抗が起こっている
- 遺伝要素や体質からくるもの
- 腎臓の病気が原因になるもの
- ホルモンに関する病気(クッシング症候群、褐色細胞腫等)が原因になるもの
- 妊娠高血圧症候群
- 薬物摂取によるもの
などなど、
いろいろな病気や妊娠、生活環境などが関係して、最低血圧(拡張期血圧)が高くなります。
血圧の下が高いとき、頭痛がするのはなんで?
下の血圧が高いとき、異様に頭痛がすることがあります。
これは血圧が高い状態、つまり血管の圧が高い状態にあることで、血管が膨らんで脳内に圧力をかけて起こる「血管性頭痛」を起こしている可能性があります。
高血圧による一過性の血管性頭痛であれば、血圧を下げる降圧剤や痛みを抑える鎮痛剤を内服して症状に対する対象療法で良いと思います。
あまりにも頭痛が継続したり、高血圧が続くようなら、高血圧をきたす病気(腎機能低下やクッシング症候群、褐色細胞腫等)や定期的に飲んでいる内服が合っていない可能性もあるので、医師の診察を受けるようにしてください。
妊婦も血圧の下が高くなる?その原因は?
実は妊婦さんも血圧が高くなることがあります。原因は「妊娠高血圧症候群」です。
妊娠中はホルモンバランスの乱れや、腎機能への負担、赤ちゃんが大きくなることにより血管が圧迫され血流が低下したりすることで高血圧になりやすく、全妊婦さんの約5%程度がこの妊娠高血圧症候群を発症するといわれています。
妊娠高血圧を生じると、大切な栄養素である蛋白が尿中に排泄されるようになり、、母体が低蛋白血症を起こします。そうなると、胎児への栄養も減少します。タンパク質は体や組織を形成する重要な栄養素であり、妊娠中に母親が低たんぱく血症になることは、良い状況ではありません。
また、妊娠高血圧症候群が悪化すると、胎盤機能が低下し、臍の緒を経由して酸素や栄養がうまく赤ちゃんへ届かなくなります。
赤ちゃんんい栄養がうまくいかず、赤ちゃんの成長が乏しくなるこの状況を「子宮内胎児発育遅延」といいます。
ときに臍の緒の血流が著しく低下したり、一時的に止まったりします。赤ちゃんに栄養がいかなくなるようになると、最悪の場合流産や死産を起こすこともあります。
これらのことから妊娠中のお母さんの血圧管理は、とても大切であることがわかりますね。
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