シンママナースの マリアンナ です。
【看護技術】「サーフローの手技」のコツを動画つきで紹介します。看護師でも苦手な人が多いサーフロー(留置針)の挿入。うまく入らなくて時間がかかることありますよね。上手くいくサーフローの手技には、ある共通したのコツがあります。どんな血管の細いひとでも、サーフローをうまく入れるひとは、この手技のポイントをおのずと習得してるのです。
うまくはいらなくて時間がかかる「サーフロー挿入」
サーフローってうまくはいらなかったり、たくさんの受け持ち患者にいれないといけないってなると、すごく時間がかかるんですよね。忙しいときにかぎって、留置針が漏れている。わたしにとってサーフロー漏れは予想外に朝からバタバタしてしまう原因です。サーフロー挿入が上手じゃないと、朝のラウンドからスケジュールがめちゃくちゃになってしまいます。
今までサーフロー挿入を失敗しすぎて、すごく時間を要したこと数えきれず。先輩看護師に何度怒られたことやら。おかげで手技も上達し、サーフロー挿入のコツをつかみました。今では早々サーフロー挿入で失敗することはありません。
失敗から得てきた「サーフロー挿入における手技のコツと手順」を紹介しますね。
サーフロー(留置針)挿入の手技~基本的な手順(動画あり)~
まずサーフロー挿入の手技における基本的な手順を紹介します。
サーフロー(留置針)挿入の準備
用意するもの
- 留置針(太さは用途や患者の血管に応じて)
- アルコール綿(アルコールアレルギーのひとにはクロルヘキシジン等の消毒綿花で対応)
- 駆血帯
- 固定に必要な物品
※固定に必要な物品は留置針の使用意図や病院の規定によって違うので、割愛します。
サーフロー(留置針)挿入の手順(動画あり)
サーフロー挿入の基本的な手順は以下の通りです。
基本的な手順
- 患者に留置針を挿入することを説明し同意を得る。
- 穿刺部位を探し、穿刺部位より上位で駆血する。
- 可能であれば患者に親指を中に入れた状態で、手を握ってもらう。
- 穿刺部位をアルコール綿で消毒する。
- 穿刺し、逆血があれば外筒だけを進め内筒を抜針、駆血帯を外す。
- ルート接続し逆血があり、フラッシュにも抵抗なければ固定を行う。
基本的な手技の動画
基本的な手技の流れがわかりやすい動画があったので、掲載します。
シュアシールド サーフローー Ⅱ(フラッシュタイプ)の使い方
サーフロ挿入、採血、点滴etc・・基礎看護技術全般がフォローされた本
看護師なら知らないとマズい「基礎看護技術」全般を、まんべんなく解説してくれている。
写真が多いので、ビジュアルで技術がわかりやすい。
レビュー評価も高く、多くの看護師のベストセラーになったオススメ本です。
もちろん、サーフロー留置の技術やコツについても掲載されている。
サーフロー(留置針)挿入の手技~うまくいくコツ、挿入のポイント~
サーフロー(留置針)挿入の手技より「血管さがし」が重要
サーフロー挿入が上手な看護師さんって、手技そのものがうまいっていうのもあるんですが、それ以上に「血管探しがうまい」んですよ。これ、マジです。
血管探しって、本当サーフロー挿入の7割くらいを占めると思ってもらってもいいくらい。手技の能力なんて3割くらいでいいんです。だから、サーフロー挿入が上手になりたいなら、まず血管探しを極めることが大切なんです。サーフロー挿入にかける時間の割合も、血管探しとサーフロー挿入が7:3くらいでちょうどいいです。
留置針より長い、直線の血管を探せ!
では具体的にどんな血管を探せばいいのか?
それは「留置針より長い、直線の血管」です。
まだ上手にサーフロー挿入できないときは、これが一番大事。もう一回繰り返しますね。
「留置針より長い、直線の血管」!
具体的なイメージはこんな感じ。
うん、いけそうですね。
なぜ、留置針より長い、直線の血管がいいのか。
それは、一番抵抗や漏れなく挿入できる血管だからです。
血管が曲がっていたり、短かったりすると、サーフロー針が血管を突き破ったり、血管内で外筒が屈曲したりしてしまうんです。しかも屈曲しているような血管にサーフローを入れられると、外筒が血管内に触れて痛いんですよ。患者さんも痛いし、内出血などの原因にもなってしまいます。
だから一番安定してサーフロー(留置針)が挿入できるのは、留置針より長い、直線の血管になるんです。
穿刺する血管のめぼしがついたら、選んだ血管の形状に合わせた合うサーフロー(留置針)を選びましょう。
長くてまっすぐな血管を見つけたら、どの長さと太さのサーフロー(留置針)なら一番適切かイメージしてください。
慣れない間は、短い血管なのに血管より長いサーフローを選んだり、細い血管なのに太いサーフロー(留置針)を入れて血管が漏れたりすることがよくあります。サーフロー(留置針)の太さ、長さはメーカーによってそれぞれです。挿入する前に、自分が挿入したいサーフローと血管を照らし合わせてスムーズに入りそうかイメージしてください。
弾力ある血管はよりサーフロー(留置針)挿入の成功率がグっと上がる
留置針より長い、直線の血管に加えて、できれば弾力のある血管を選ぶとよりサーフロー(留置針)挿入の成功率があがります。
弾力のある血管選びのコツは、目で見ていなくても指で押してみて、なんだか線のようなものがあるな、って触感だけでわかる血管です。
練習に自分の血管を指で追っていってみてください。見える血管を手で追っていくと、目にはみえないのに指で触れる血管に気づきます。これは触感の問題なので経験あるのみですが、自分の血管を触る習慣を持つとすぐ出来るようになります。尺骨皮静脈とか、肘正中皮静脈とかから指で伝っていくと、わかりやすいですよ。
花子のまとめノートさんより
弾力のある血管は丈夫なので、留置針を入れていても血管が漏れることなくスムーズに入りますし長持ちします。ただ難点なのは、高齢者や全身浮腫、脱水状態のひとだと、血管に弾力がなくなるので、触感だけで血管を探すことが難しくなります。
血管を選ぶときは、血管の長さと形状(直線かどうか)、弾力が非常に重要なんです!これ、覚えておいてください♪役に立つと思います。
サーフロー(留置針)と血管の角度を想定する
サーフロー(留置針)を上手に挿入するコツは、血管選びとともにその血管のに対する針の角度も重要です。
サーフロー(留置針)を挿入するとき、部位によっては角度が付きすぎて突き抜けてしまったり、穿刺したものの外筒を進められないことがあります。サーフロー(留置針)を挿入する前に、ちょうどよい角度で血管とサーフロー(留置針)を挿入できそうか、イメージしてから穿刺しましょう。
角度がつきすぎない血管を選べると、抵抗なく最後までスっと入ります。
血管を固定する
これって、院内研修のときとかも教わると思うんですけど、血管の固定ってすごく大切です。
もう、血管を下にぐいーっとひっぱるなり、患者さんの前腕をもって、ぐいーっと皮を左右に引っ張るなり、やり方は自由。ようは刺すときに皮膚がじゃなせず血管がうごかなければいいんです。
とりあえず血管の上にある脂肪組織と皮がたるまないようにすることが重要です。たるんでいる状態だと、針がすすむのを皮がじゃまして血管が逃げてしまうからです。
血管を固定する手順をふまず、すっと入れれる血管の持ち主ってあんまりいないですね、わたしの経験上。どんなひとでもある程度脂肪があるし、表皮があるので固定は絶対するようにしましょう。
サーフロー(留置針)挿入~知っておきたい留置針のリスク~
サーフロー挿入の際、知っておくべきリスクがあります。
静脈炎
留置針から点滴が漏れたりすることで起こす静脈の炎症です。
機械的静脈炎
炎症を起こす原因に種類があり、物理的な留置針と血管の接触が原因でおこります。機械的静脈炎を起こさないためには、留置針が極力動かない安定した位置に刺入および固定することです。
細菌性静脈園炎
これはサーフロー(留置針)が原因で血管が感染をおこした状態です。予防策は基本的な清潔操作と、定期的な交換を行う必要があります。
化学的静脈炎
点滴の薬剤や浸透圧が原因で起こる静脈炎です。点滴の液体自体の浸透圧を調整したり、炎症を起こしやすい点滴なら中心静脈栄養にするなどの対応を取ります。
血管外漏出
サーフロー(留置針)の先端が物理的に移動し、血管周辺の組織に漏れたとき起こります。
組織の炎症や壊死をもたらすもので、静脈炎とは異なります。抗がん剤等のきつい薬剤など、状態によっては潰瘍や組織壊死なども起こす非常にやっかいなものです。抗がん剤などの組織への影響が大きい薬剤を使用するときは、安静などの血管外漏出を起こさないような予防と確実な血管内へのサーフロー(留置針)の挿入、血管外漏出時の迅速な発見と対応が重要になります。
神経障害
いわずと知れた注射による神経障害。これをしらないならサーフロー(留置針)はいれてはいけません、っていうくらい基本の「き」です。
しっかり神経障害の症状などは把握しておきましょう。ちなみに人間の体は末端にいくほど神経が多いです。サーフロー(留置針)で注意したいのは、手指関節の周囲ですね。特に手は日常的に使う部位なので、神経障害とか出たら、時に裁判ものになることだって、ありうるでしょう。日常的に行うサーフロー(留置針)挿入ですが、極力神経が多い部位や関節周囲などは避けて、安定した血管を探すようにしましょう。
サーフロー(留置針)挿入~逆血があるのに内出血するのはなんで?~
新人看護師さんからよくある質問なんですが、「これって少し青くなってるけど、漏れてますか?腫れてきたりはしてないですけど・・。」っていう内容。うん、漏れてるけど、張れてない。その通り。確かに判断が難しい。
これは穿刺したときに血管が傷ついて血液が血管外に漏れ出たけど、サーフロー(留置針)挿入の外筒はしっかり血管内に入っているような状態。
ごく少量の内出血で、滴下も逆血も良好で、激しく張れたり内出血が広がってこない場合、おそらく少量の出血はあったけど、ほぼ止血しているような状態かと思います。
抗凝固剤を飲んでいるとか、凝固系に異常があるひととかじゃなければ、わたしは様子を見ています。・・・が、絶対何もないよ、っていう保証はないですけどね。
恐らく目に見えないだけで、サーフロー挿入時ってうまくいっているようにみえる手技でも多少なりの出血はあるとは思うんですよ、血管周囲には。
これは各看護師の判断です。入れ替えっていっても、患者さんの負担を大きくするだけだし、サーフロー(留置針)を入れ替えるのが正しいわけでも、そのままにしとくのが絶対的に正しいわけでもないと思います。
あまり状態がわからなくて不安がある新人看護師さんのうちは、先輩看護師さんにひとこと相談するのがベターですね。
サーフロー(留置針)挿入がうまくいくコツとポイントまとめ
サーフロー(留置針)挿入の手技について、いろいろ書いてきましたが、まとめは以下の通りです。
- サーフロー挿入は血管探しが重要
- 留置針より長くて直進の血管を見つける
- サーフロー挿入の手技の割合は7:3(血管さがし:挿入手技)
- 角度がつきすぎない血管を探して!
- 弾力ある血管でサーフロー(留置針)挿入の成功率をあげる
- 皮膚をしっかり引っ張って血管は絶対固定しよう!
これらのポイントをおさえた上で、あとは数をこなすのみです。
相手がいるもんだから、頻繁に練習なんてできないけど、自分の血管をさわって血管の触感を覚えるなど日ごろからでもサーフロー(留置針)を上達させるトレーニングってできますよ。
サーフロー(留置針)なんて最初はみんな苦手です。できなくて当たり前。
3年後に入れられるようになればいいんですよ。あせらないで。
3年目には注射の上手な看護師さんになれるよう、がんばりましょう。
サーフロ挿入、採血、点滴etc・・基礎看護技術全般がフォローされた本
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写真が多いので、ビジュアルで技術がわかりやすい。
レビュー評価も高く、多くの看護師のベストセラーになったオススメ本です。
もちろん、サーフロー留置の技術やコツについても掲載されている。