透析患者の知っておきたい観察ポイント~入院中の透析患者の看護~



シンママナースの マリアンナ です。

病棟勤務ですが、しれっと透析に出棟したりしてますが、

透析って実際どんなことしているの?

透析に関する単語って何なの?

って聞かれてもわからない。

 

新人指導を任せられるようになってきて、

自分の適当な性格に気づく。

 

今まで本当ちゃんと勉強してなかったんだなーとか思う。

いや、その都度してるんだよ、でも忘れるの。←言い訳でしょうか

 

シャント音・スリル良好とか、看護記録には書いてますが、

実際なにをもって良好なのか、いまいちわかっていない。←え

 

こんなことではだめだということで、

透析に関する基礎と知識の振り返りと学びを記載します。

「腎臓 透析」の画像検索結果

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透析って何でするの?何の効果があるの?

透析が腎臓の働きをしているのは有名な話。

じゃあ腎臓の働きって何なのってところから振り返ろう。

(国家試験でやったけど忘れた)

 

腎臓の働き

腎臓の働きは大きくわけて5つある。

 

1.老廃物をろ過して体から追い出す

腎臓内の糸球体っていうところから、血中の老廃物をろ過して尿にする。

 

2.血圧をコントロールする

血圧を検知して、

血圧が高値なら・・・塩分と水分を排出して血圧を下げる

血圧が低値なら・・・塩分と水分の排出を抑えて血圧を上げる

 

3.血液を作る指示を出す

腎臓から分泌されるエリスロポエチンが、
骨髄に赤血球を造るよう働きかけ、赤血球が生成される。

 

4.電解質調整

電解質、つまりイオンバランスを整える。

 

5.骨を強くする

カルシウム吸収に必要なビタミンDを作る。

 

「腎臓  働き」の画像検索結果

photo

 

透析は腎臓が機能しなくなったひとのための人工腎臓

これくらいは知っておこう、新人看護師でも。
透析=人口腎臓
です。

簡単に言いすぎですけど。

 

透析を受けるひとは、腎臓が機能しなくなったひと、
つまり「腎不全」状態のひとです。

 

なんでって、
腎臓の中の血液をろ過する「糸球体」は、
塩分の取りすぎや高血圧等から一度組織が破壊されてしまうと、
もう二度と戻らないから。

 

だから、
腎臓組織が弱っていって、機能低下したら回復しない。

 

でも、腎臓の機能がないと人間って死んでしまうんですよね、
血圧も保てないし、電解質バランスも崩れるし、尿毒症なるし、
生きていけない。

 

腎不全状態になって、生きていこうと思うなら、
透析するしかない。

 

透析は腎機能を失ったひとが生きていくための重要な糧になるわけです。

これを知ると塩分控えめっていうのも、説得力がでる。

 

完全な腎不全になっても、透析を行うことで腎臓機能がある状態に近い環境を作ることができます。

 

 



透析に出棟する前に病棟ナースがチェックしておきたい観察項目

 

内科でも外科でも、
入院患者さんの中には透析患者さんって結構いますよね。

病棟ナースなら、絶対透析の送り迎えは必須です。

透析出棟前に見ておきたい観察項目を根拠とともにまとめます。
(合ってるかどうか自信も保障もないです。あくまで参考までに)

 

バイタルサインはもちろん、血圧は特に重要

体温・脈拍・SPO2はもちろん大切ですが、
透析では血圧をしっかり観察しましょう。

その人の血圧のベースはどれくらいか
いつもより高いか低いか
触診や聴診で血圧にムラがないか
橈骨は触れるか
等さまざまな視点から血圧を評価したい。

 

根拠:
透析では除水をかけるので、血圧が大きく変動する。
(多くは除水をかけるので下がる)
血圧が低いとショックを起こすリスクもあるので。

 

シャント部

透析に出棟する前は、シャント部分をしっかり観察しよう。
病棟看護師なら、透析室に送れば透析室のMEがしっかり見てくれるかもしれないけど、
透析患者さんにとってとても重要な観察項目です。

 

発赤や腫脹、熱感などのトラブルはないか

見て、触ってみて、上記のようなトラブルがないか観察する。

根拠:
もしシャント部に熱感や腫脹・発赤があるとき、感染している可能性がある。

シャントが正常に使えないかもしれない。

 

シャント音は正常か

シャント音(シャント部分に聴診器をあてると聞こえます)が正常なら以下のような音が聞こえます。

シャント音の正常な音


根拠:
この音(スリルともいう)が弱かったり、リズム不整があったりすると、
シャント狭窄等が考えられます。

 

全身状態やその日の状態

浮腫、体重の極端な増減、IN/OUTの変化など、

水分に関することで、いつもと違うことがあれば観察し、

透析担当のMEやナースに報告しましょう。

その日の透析に影響するかもしれないので。

 

 



透析から帰室、見ておきたい観察項目

バイタルサイン(特に血圧)

透析後は一気に除水をかけられ、電解質バランスも変化しているので、患者さんもいつもより倦怠感を感じていることが多い。特に血圧は変動しやすいので、要注意。
また透析患者は感染を起こしやすく、穿刺によりさらに感染リスクが高くなる。
発熱等の感染兆候にも注意する。

 

症状の有無

頭痛や吐き気、腹痛等の不均衡症候群による症状を伴うことがあるため、要注意。

※不均衡症候群とは
不均衡症候群とは、透析により尿毒素が血中から除去されても、尿毒素が取り除かれにくい脳とバランスがとれず、脳浮腫を生じることによっておこる脳圧亢進による随伴症状。

 



透析患者のリスク

腎性貧血

腎機能が低下しているため、腎臓から赤血球生成の基になるエリスロポエチンが分泌されない。
赤血球生成が追い付いていないため、貧血を起こしやすい。

 

心肥大

高血圧・貧血などから心臓が大きくなり、心不全を起こしやすい。
心不全は透析患者の死因第一である。

 

易感染

透析患者は、栄養不足や貧血、不安定な電解質バランス、尿毒素の蓄積や頻回や穿刺などから、易感染状態にあります。
保清を保ち、感染予防に努め、栄養バランス・IN/OUTの管理が重要になります。

 

他にもいっぱいあるけど、
思いつくメジャーなところはこれくらいかしら。