シンママナースの マリアンナ です。
心室期外収縮(pvc)とは、心室からの電気信号によって予定より早く心臓が収縮することです。この記事では、心室期外収縮とはなにか、その心電図波形の特徴と重症度について説明しています。
3分くらいで読めます。
心室期外収縮(pvc)って何だ?
心室期外収縮(premature ventricular contraction:pvc)とは、予定の心拍リズムより早く心室が収縮すること。
本来興奮が起こらないはずの心室から、突然異所性で電気刺激が起きて収縮します。
所見的には、
- 結滞が起こる(脈が飛ぶ)
- PVCが起こっている時に血圧が生じにくくなることがある
- ドキっとする
などなど。
なかには何の症状もないひともいます。
健康なひとでも起こることがあるので、心室期外収縮を認める時は、
それが異常か正常範囲かを判断できるようにしていたい。
心室期外収縮には特徴と重症度があります。
まずは心室期外収縮の特徴から紹介。
心室期外収縮(pvc)の特徴
心室期外収縮の波形には以下の5つの特徴があります。
- 予定より早くQRS波形が出る
- P波がない
- QRS幅が広い(3mm以上)
- QRS波と逆向きのT波
- (大抵)本来のPP間隔は保たれている
いきなり突き上がって、急激に谷間ができるような感じ。
ジェットコースターのような形です。
心室期外収縮(pvc)にはいろんなパターンがある
心室期外収縮って、その出現様式によっていろんな種類があります。
その種類によって、その心室期外収縮の重症度を分類することもできます。( Lownによる心室期外収縮の分類 参照)
PVCを観察するときは、その出現様式に注意してください。その出現様式によって、重症度がかわるからです。
PVCの出現洋式を解説していきます。
散発性
1分間に1回未満 または 1時間に30回未満
多発性
1分間に1回以上 または 1時間に30回以上
単形性(単源性)
異所性心室興奮の発生場所が同じ場合(健康な人のPVCに多い)
多形性(多源性)
異所性心室興奮の発生場所が異なる場合
異所性の心室興奮が原因で、2つ以上かたちが違うPVC波形がでてますね。
二段脈
通常収縮1拍 と PVC が交互に現れる
三段脈
通常収縮2拍 と PVC が交互に現れる
二連発
心室期外収縮が二回連続する波形
三連発
心室期外収縮が三回連続する波形
ショートラン
心室期外収縮が三回以上連続する波形
R on T
PVCが直前のT波に重なっている波形。PVC波形の始まりが、直前のT波に重なって盛り上がっている。これは危険。
R on T は心室頻拍や心室細動に変化することもあり、急変する可能性がある。
すぐにバイタルサインと状態の観察が必要。
心室期外収縮が一度出てくると、1つおきに繰り返して現れやすくなり二段脈になる。長いRR波のあとに心室期外収縮は出やすい。
Lownによる心室期外収縮の分類
Lownによる心室期外収縮の分類は、心室期外収縮の重症度を評価するためのスケール。グレードが上がるほど重症度が高い。
グレード0 | 心室期外収縮なし |
グレード1 | 散発性(1分に1回未満 または 1時間に 30回未満) |
グレード2 | 多発性(1分に1回以上 または 1時間に 30回以上) |
グレード3 | 多形性 |
グレード4a | 二連発 |
グレード4b | 三連発以上(ショートラン) |
グレード5 | 短い連結期(R on T) |
Lownによる心室期外収縮の分類は、分類が簡単なので、心筋梗塞以外でも心室期外収縮を評価する際に使われることがある。
心室期外収縮(pvc)のまとめ
心室期外収縮は、健康なひとでも起こる異所性興奮と心室の収縮。
特徴は
- 予定より早くQRS波形が出る
- P波がない
- QRS幅が広い(3mm以上)
- QRS波と逆向きのT波
- (大抵)本来のPP間隔は保たれている
の5つ。
そんな細かいこと覚えてられるかい。って方。
わたしは臨床で並ぶ心電図モニターで、心室期外収縮を判断するとき、
波形がいきなりノッポになって、急激に凹んでいる
のがあったら、
「お?PVC?」
って感じで波形記録を見直すようにしています。で、その患者の波形の履歴を確認して、どれくらいの頻度でPVCが出ているのか、観察するようにしてます。
普通に入院位している方だと、心電図波形ってトイレや食事などの日常生活動作で乱れるから、判断が難しい。
心室期外収縮の種類や現れ方によってその重症度は異なる。
まずどんな心室期外収縮だと重症になるのか、はLownの分類等を参考にして、知識を深めていくのがいいかもしれない。
参考URL:
より臨床の波形をイメージした心電図を学ぶなら
教科書的な波形と、実際に臨床で出る心電図波形っていうのは、なかなか頭のなかでリンクしにくい。
今回この記事を作成するにあたり、参考にさせてもらった「心電図の読み方 パーフェクトマニュアル」は、心電図の波形を基礎からひとつずつ理解できるので、心電図を1から学びたいひとにオススメ。異常波形毎に胸部誘導別の実際の波形図が掲載されていたり、異常波形毎に知識レベルを確認する練習問題が付いててわかりやすい。一般的な心電図波形を「波形」からしっかり理解したいなら、一冊持っておきたい教材です。