シンママナースの マリアンナ です。
わたし、もしかして梅毒かも。
今の彼氏がまじめなひとでも、
その元カノが遊び人だったり、
その元カノの元カレが遊び人だったり・・
たとえ交際しているひとが信頼できるひとでも、
そのひとが今まで関係を持ったひとが、信頼できる人とは限りません。
セクシャルネットワークってやつですね。
性病はどこから感染するなんて保障がない。
梅毒は、ときに妊娠、出産にも影響することがある性感染症です。
条件が揃えばキスだけでも感染が成立します。
梅の花のような、赤い発疹が特徴的なので、梅毒と呼ばれるようになりました。
もしかしてわたしって梅毒?
思い当たるふしがあるなら、
まず梅毒の特徴的な症状があるかどうかチェックしてみましょう。
現役看護師のマリアンナが梅毒の症状についておはなしします。
梅毒ってなに?
梅毒とは、性感染症の一種。
梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum subspecies pallidum:TP)という細菌の感染で起こります。
生まれる前にお母さんのおなかの中で感染してしまう「先天性梅毒」と、生まれた後に性行為で接触感染する「後天性梅毒」があります。
性感染症で考える梅毒は、性交渉はもちろん、オーラルセックスで感染します。口の中に梅毒の病原巣があったり、条件が揃うならキスだけでも十分感染します。
「コンドームつけてるから性病対策は大丈夫!」ではないんですね。
病院で検査しているひとをみていると、ちらほら梅毒を持っているひとは見かけます。
梅毒に感染した状態で妊娠した場合、おなかの赤ちゃんに感染し「先天梅毒」を起こすことがあり、赤ちゃんの健康にも影響することも。
赤ちゃんへの胎盤感染の可能性は約60~80%、妊娠後期になるにつれ感染リスクは高くなります。
参考サイト:MSD マニュアル プロフェッショナル版 先天梅毒
梅毒はおなかの赤ちゃんにも影響する性病。女性にとって特に知っておきたい性感染症のひとつです。
「わたし、感染してるかも・・」
少しでも思い当たる点があるなら、ぜひ理解を深めておきましょう。
梅毒の感染は、皮膚および粘膜、小さな傷からTPが侵入することで起こります。
血液を介してTPが数時間で全身にまわり感染します。
感染してからの期間と症状によって、
第1期、第2期、第3期、第4期
にわかれます。
梅毒の症状ってどんなの?
梅毒の症状は、感染してからの経過時間によって変わります。
また、必ず症状があるとは限らず、感染しても症状がない無症候性(潜伏)梅毒にあります。
第1期(感染から約 3週間後)
第1期梅毒の特徴は、部分的にできものや腫れがみられること。
感染して3週間くらい経過すると、症状が現れてきます。
第1期梅毒は、細菌が侵入した部分に「アズキ大から指頭大の大きさで暗赤色のしこり(初期硬結)」ができます。
それが時間とともに潰瘍化して、硬性下疳になります。
初期硬結(下唇が少し濃く、硬くなっています)
硬性下疳(初期硬結が潰瘍化した写真)
写真は口周囲の症状ですが、もちろん陰部にも表れることがあります。
それぞれ男女別に好発部位があります。
- 男女共通の好発部位
口唇、舌、扁桃、手指等(発生頻度は2~3% 以下)
- 男性の好発部位
冠状溝、包皮、亀頭部
- 女性の好発部位
大小陰唇、子宮頸部
梅毒でできる口周辺のできもの(初期硬結・硬性下疳)は、
見た目は口内炎や熱の花(口唇ヘルペス)にも似ていますが、軟骨のような硬さで痛みがないことが特徴です。
初期硬結や硬性下疳が出てきてから、やや遅れて鼠蹊部や頸部などのリンパ節が腫れてきます。
リンパ節の腫れも、痛みがなく硬いことが特徴。大きさは親指大くらいで、数個認められることが多い。
これらの症状は、 2~ 3週間で自然に消退します。
※HIV感染者では自然消退せず、1期疹が続することがあります。
第2期(感染から約 3か月前後)
第2期梅毒の特徴は、口周辺、全身の皮膚や粘膜に発疹ができたり、臓器梅毒の症状がでること。
第2期梅毒はTPが全身に拡がっている時期です。
口角炎や口の中、口の周りに紅斑様の発赤ができ、徐々に白くなって粘膜斑になります。
粘膜斑
口角炎
画像引用:日本性感染症学会誌 性感染症 診断・治療 ガイドライン 2016 P4
全身に特徴のあるブツブツ(俗にいう発疹)がみられます。
第2期にあたる時期に、口周辺の症状と、口以外にできる梅毒の特徴的な皮疹がある場合、梅毒の疑いは強いといわれています。
感染から3か月~3年にかけ発疹等、いろんな症状が現れます。
自然に消退して無症候梅毒になりますが、ひとによっては再発を繰り返しながら第3期、4 期に移行していくことも。
皮疹は以下の順番に、よく見られます。
- 1.丘疹性梅毒疹
感染後約12週で出現。小豆大からエンドウ大くらいの大きさ。赤褐色から赤銅色の丘疹、結節。
- 2.梅毒性乾癬
角層の厚い手のひらや足のうらにできる丘疹性梅毒疹。赤褐色から赤銅色の浸潤のある発疹。鱗屑を伴い、乾癬に類似する。第2期梅毒に特徴的な発疹で、梅毒を診断しやすい。
- 3.梅毒性バラ疹
胴体を中心に顔、四肢などにみられる爪甲大までの目立たない淡紅色斑。第2期の最も早い時期にみられる症状。自覚症状もなく数週で消退するため、見過ごされることが多い。
- 4.扁平コンジローマ
肛囲、外陰部などに好発する淡紅色から灰白色のジュクジュクした、扁平隆起性表面顆粒状の腫瘤。丘疹性梅毒疹の一型である。TPが多数存在し、感染源となることが多い。
- 5.梅毒性アンギーナ
びらんや潰瘍を伴い、扁桃を中心として軟口蓋におよぶ発赤、腫脹、浸軟である。
- 6.梅毒性脱毛
びまん性と小斑状脱毛がある。小斑状脱毛は、爪甲大から貨幣大の円形、類円形の不完全な脱毛で、虫喰い状の脱毛と例えられるように、頭髪がまばらな印象を受ける。
- 7.膿疱性梅毒疹
多発した膿疱がみられる場合で、丘疹性梅毒疹から移行することもある。全身状態が不良または免疫低下の場合にみられることが多い。
第3~4期(感染から約 3年以降)
第3期は、口周囲にゴム腫(ゴムのような弾力あるできもの)ができる。
第4期は、梅毒による大動脈炎、大動脈瘤あるいは脊髄癆、進行麻痺など重症症状がみられることも。
ここまでくると梅毒も重篤な状態になりますが、治療方法が発達しているため、第3~4期梅毒は現在ではほとんどみられない。
参考文献・URL
日本性感染症学会誌 性感染症 診断・治療 ガイドライン 2016
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