いじめが起こる原因:いじめは環境・人間心理が相互に働いて起こる



シンママナースの マリアンナ です。

 

大人の世界にも、子どもの世界にもある「いじめ」。

歴史上いじめがなかった時代も文明もなかったんじゃないかと思うくらい、「いじめ」という文化の歴史は深く長いのです。

 

きっとこの記事を読んでいるひとのなかで、いじめられる辛さに苦しんでいるひとがたくさんいると思います。

筆者のマリアンナも、小学校、中学校時代、大人になってからもいろんな場面で「いじめ」にあったことがあるんですよ。

誰も助けてくれない、まるで自分が異物のように扱われる辛さ。辛いですよね。

 

「いじめ」には、それが起こる「原因」があります。

それは、決していじめられっ子だけに特定された原因ではなく、いじめっ子、いじめが起こる組織の状態等によっても、いじめが誘発されるのです。

 

いじめにあう人にはいじめられる「理由」があり、たいていその理由は、「個性」です。

いじめられっ子がいじめられる「個性」は、違う視点から見れば、「魅力」です。

いじめられっ子ならではの隠された魅力があるんです。

 

 

「いじめ」が起こる原因を心理学的な面から考察して、わたしが考えるいじめられっ子のための「解決策」を紹介したいと思います。

 

 



いじめが起こる原因とは

 

そもそも「いじめ」が起こる科学的な理由を考えたことがありますか?

いじめを受けている当人は、まるで自分だけに原因があるように思いがち。

だけど実はいじめが起こるには、深い深い人間関係や社会環境における「心理」が働いているんです。

 

古代から変わらない人間の心理が、いじめを引き起こす原因。

だからどこの国でも、大人の世界にも、子どもの世界にも、どの時代にも、「いじめ」が存在する。

 

 

いじめが起こるメカニズムをひとつずつ理解していきましょう。

 

 

 



いじめが起こる原因:いじめが起こりやすい環境がある?

 

心理学者 レヴィン は研究から、いじめには「起こりやすい環境」があることを突き止めています。

レヴィンの研究では、支配的で自分で決定権が持てないような「自由のない環境」、別名「専制型リーダーシップ」の配下では、いじめが起こりやすい という結果が出ています。

 

 

人間がたくさん集う「組織」にいるとき、必ずリーダーになるような存在が一人います。

学校では先生、友達同士では一番目立つ存在の子、会社では上司、家庭ではお父さんやお母さん等、組織のなかでリーダーになるひとがいる。

 

そのリーダーのやり方によって、いじめがおきやすい環境になる、というのがレヴィンの論じた「専制型リーダーシップ」です。

 

 

いじめが起こりやすい「専制型リーダーシップ」の環境ってどんなの?

 

専制型リーダーシップは、リーダーが支配的に組織の人間に対して働きかけるので、生産性があがるといわれています。すべての作業や行動をリーダーが指示、命令する支配型のリーダーシップで、組織の人間には選択肢や決定権がない状態。決められたレール通りに人を動かしていくので、効率的・生産的なリーダーシップです。

 

専制型リーダーシップの例をあげれば、

  • 支配的な怖いお父さんがいる家庭・・・妻・子どもは父に対して従順になってなんでも言うことを聞くようになるが、家庭で自己表現ができないストレスが溜まる。
  • 支配的で怖い上司がいる職場・・・部下たちの仕事に対する能力が上がるが、部下のストレスが強い。

などがあります。

 

専制型リーダーシップは一見、組織の生産性がうまくいっているように見えて、組織の人間関係がうまくいかなくなることが多い、とされています。

 

レヴィンは研究で、専制型リーダーシップの配下で、10才の子どもを集めて実験してみました。結果、専制型リーダーシップでは子どもたちの間で「いじめ」とみられる行為が続きました。リーダーのやり方に対して募る不満を支配的なリーダーにぶつけられず、弱い立場の人間にぶつけるようになったのです。リーダーシップの種類は、専制型以外にも民主型、放任型などの種類がありますが、いじめ行動が起こるのは専制型のみ、といわれています。

研究ではいじめの対象となった子どもがいなくなっても、また対象となる「いじめられっ子」が現れたとされています。このことから、いじめが起こる原因はいじめっ子だけに存在するのではなく、環境にも依存することが証明されます。

レヴィンの研究からいじめが起こる環境を考えると、いじめられっ子に原因があるのではなく、ストレスのたまりやすい支配的な環境がいじめを生み出す、という結論になります。

 

参考:

 



いじめが起こる原因:組織のなかでは、いじめに対する良心が薄れる心理がある

 

いじめられる子は、「どうしてみんな自分だけをいじめるんだろう?」「どうして誰もこのいじめを止めてくれないんだろう」と悩むことがあります。

みんながいじめを止めない、みんながいじめに加担することは心理学的にも根拠があります。

 

心理学者 ミルグラムは、研究から「ひとは非倫理的な行動(いじめや暴力等)であると頭で理解していても、組織全体で行われていることであれば、良心的な思考がストップしてしまう」ことを突き止めています。

 

ミルグラムは、「学生に電気ショックを与えて反応を見る」という実験を先生たちにやらせて、その反応を研究しました。研究の目的は、組織下で先生の良心がどこまで保てるか、です。

実験前に先生たちから得たアンケートでは、強い電気ショックである120ボルトまでの電流で止める、という意見がほとんどでした。良心から学生にそんな痛い思いをさせたくない、と考える先生がほとんどだったのです。

ですが実験中、もっと強い電気ショックを与えるように実験の管理者から冷静に言われ続けると、ほぼ全員の先生が120ボルトをはるかに超える450ボルトまで電気ショックをあげたことがわかっています。

ひとを傷つけることはよくない、と頭で理解していても、いじめ行動が黙認される組織下では理性がストップしてしまう、さらにそのいじめ加担してしまうこともある事実が判明しています。

 

つまり、良心を持つひとであっても、いじめがおこるような組織環境にいると、カンタンに「いじめっ子」側になることが証明されているのです。

 

 



いじめが起こる原因:いじめられっ子に特別な個性がある

 

これまで話したレヴィンの専制型リーダーシップやミルグラムの電気ショックの実験を見てみると、いじめはいじめっ子だけに原因があるのではなく、いじめっ子の環境、立場、集団の人間関係等、さまざまな条件が相まって起こるものであることがわかります。

 

いじめられっ子の要素だけが原因でいじめが起こるわけではないのです。

だから、いじめを受けるのはわたしだけが悪いからだ、という考えは違います。

 

もちろん、いじめられっ子にもいじめられる条件があるから、いじめにあうわけです。

 

攻撃的ないじめっ子がストレスを感じれば、反撃してこなさそうな優しい子をあえてターゲットにします。

見た目にコンプレックスを持つ女の子が、かわいくて人気がある女の子に嫉妬心を持てば、いじめのきっかけになることがあります。

上司に圧力をかけられ、無理難題な成果を求めらる部下は、その怒りのフラストレーションを上司にぶつけることが出来ず、同じように言い返してこない自分の部下にも圧力をかけるようになります。

ここでいじめられっ子に知ってほしいことは、多くの場合、悪いことをしていないのにいじめにあうは、

たまたまいじめっ子がいじめる動機と、いじめられっ子であるあなたの個性が、いじめを起こす相互作用として働いたからです。

 

あなたの個性や存在に悪い点があるからではありません。

人を傷つけたり、騙したり、なにかを盗んだり、誰かにしてはならないことをしたのなら、ひとから批判されても仕方ないですが、

そんな極端なことをしたわけでないのなら、本来いじめにあう必要はないのです。

 

いじめは条件が揃えばどこでも起こり、誰でもターゲットになるし、加害者になる。

自分が悪いからいじめられる、という考えはやめるべきです。

 

確かにあなたがいじめられることには、あなたにもなにか理由があります。

また、他のひとにはなかった「あなたがいじめられる理由」は、視点を変えてみるとあなたの個性でもあります。

 



いじめられる理由になった「個性」をあえて活かした成功者はたくさんいる

 

いじめにあう、ということは、いじめられっ子から何かしら目をつけられた、ということ。

だけど、見方を変えると、組織内のたくさんいる人たちのなかから、あなたがいじめのターゲットにされた「個性」があったからです。

 

それは、

優しそうで怒らなそうだったから、とか

美人で嫉妬される立場だったから、とか、

暴力をふるっても勝てそうだったから、とか

いろんな理由がありますが、

少なからず他の人にはない個性があったから、です。

 

もしもあなたが理不尽ないじめにあっていて、辛い思いをしているなら、この事実に目を向けてみてください。

もしあなたの個性をバカにされ、傷つくような言葉を投げられて落ち込んでいても、違う視点からみれば違う場所で活かせる「個性」です。

違う視点から見れば、個性は魅力でもあり、そのひとが持つ才能でもあります。

 

 

子ども時代に地黒な肌でからかわれていた、トップシンガー安室奈美恵

 

一時は「ガングロ」という流行を生み出し、アムラーという社会現象まで作り出した安室奈美恵さん。

安室奈美恵さんの健康的な地黒の肌も、みんなが憧れ真似をして日サロに通った女性もたくさんいたくらいですが、安室奈美恵さんが子ども時代にはその地黒でよく周囲の友達からからかわれていたそうです。

 

安室奈美恵のお母さんが書いた書籍「約束―わが娘・安室奈美恵へ」のなかでは、安室奈美恵さんが生まれつきの地黒を、コンプレックスに思われていたことが記録されています。安室さんは蛍光灯の光だけでも肌が焼けてしまうことを、すごく気にしていたそうです。

安室奈美恵さんの幼少期といえば、流行は「色白」。

世間の女性がみんな色白を意識しているときに、ぽつりと地黒な子がいるとその個性は目立ちます。

ですが、彼女はそのコンプレックスに感じていた個性も、逆に流行に変えてしまいました。

 

一見コンプレックスにも思える個性は、みんなと違う魅力として証明してくれた女性でもあります。

 

 

奇抜な個性で壮絶ないじめをバネにした世界的アーティストのレディガガ

 

レディガガといえば、いわずとしれた個性的な世界的トップアーティスト。

その他に類ない奇抜なファッションや個性で、一気にファンをあつめ、人気者になりました。

 

彼女はその群を抜いた個性から、今では考えられないようないじめにあったことを告白しています。

ときにはゴミ箱に投げ入れられたりもしたとのこと。

 

ですがその個性を活かし、今では歴史上にもないくらい、個性的なシンガーとして活躍しています。

また、数少ない同性愛者であることを公表した有名人でもあり、同性愛者の方たちの支持者もたくさんいます。

 

いじめにあった経験をバネにして、ボクシング世界チャンピオンになった内藤大助

 

内藤大助さんといえば、WBC世界フライ級王者、日本フライ級王者、OPBF東洋太平洋フライ級王者を取得した、有名な日本のプロボクサー。

今やボクシング界でチャンピオンとなった彼も、ボクシングを始めたきっかけは「いじめられた経験」だそう。

 

生まれた家が貧しく、服もボロボロで理不尽ないじめにあった。強くなりたい一心でボクシングを始めたそう。

生まれ持った逆境や、弱くて強くなりたかった自分を前向きにいかした結果、世界チャンピオンになれたんですね。

参考:《いじめられている君へ》内藤大助さん

 

 

 



いじめはずっと続かない。みにくいあひるの子の原理

 

醜いアヒルの子の昔話を知っていますか?

アヒルの赤ちゃんのなかに紛れた、一人だけ違う色の赤ちゃん。みんなと違う色だから、醜いアヒルの子とバカにされます。

その個性的な肌の色で、醜いアヒルの子はいじめにあい、唯一味方でいてくれたはずのお母さんも、かばってくれないように・・。

 

 

自分だけが違う個性が認められず、独りぼっちで、悲しみにくれる醜いアヒルの子。居場所がない。

自分はどこへいって、なにをすればいいんだろう?

自分探しをしている間に、自分と同じような仲間を見つけます。そして自分の仲間となるひとたちと幸せに暮らせるように。

醜いアヒルの子でいじめられたその赤ちゃんは、成長したときにはあひるよりもっと美しく、強い白鳥へ成長します。

 

 

いじめにあうひとは、大人であれ、子どもであれ、

醜いアヒルの子と同じ原理にあると思います。

 

本当は素敵な個性があるのに、それがいかせない組織と人間関係のなかにある。

だけど、探せば醜いアヒルの子のように、自分と合う仲間がいたり、自分の個性をいかせる場所があるんです。

 

もしいじめにあって、辛い環境にあるなら、その自分らしく過ごせる「環境」にまだ出会ってないのかもしれません。

まだそれが探せていないだけなので。だから、これから探せばよいのです。

 

 



住み慣れた場所・環境を変える勇気、今までの考えを変える柔軟性を

 

悲しい事に、日本の青年の死亡原因の1位は「自殺」です。

子どもから大人になり始める思春期や、社会の責任を負い始める青年期は辛いことがたくさんあります。

いじめ、将来への悲観、コンプレックスに心が押しつぶされ、先が不安で生きていくことさえいやになります。

 

若い、ということは、まだ世の中のいろんな世界を知らない、経験していないということでもあります。

まだ世の中のほんの一部を見ただけで、人生を自ら終わるのは早すぎます。

 

たまたま今体験している小さな組織が、世の中のすべてではありません。

あなたが今いる環境で、あなたが持つ個性を誰かにバカにされても、違う環境から見ればあなたの個性は「才能・魅力」に変わります。

 

個性をコンプレックスとしてではなく、自分の魅力として受け入れて、自分の個性をいかせる「環境」や「役割」をまず考えてみましょう。

 

確かに、自分の個性をいかせる新しい「環境」や「役割」を見つけるまで、辛い日々は続きます。

でも醜いアヒルの子が新しい生きる世界を見つけたみたいに、探し続けることが大事です。