シンママナースの マリアンナ です。
- スタンダートな看護計画はほとんどこれで網羅できる。
- 患者によく起こる症状とその看護が根拠とともに書かれていて、わかりやすい。
誤嚥性肺炎とは
現在、日本の死因TOP3になった肺炎(2015年地点)。高齢者社会になり、臨床で見てても肺炎で亡くなる方は非常に多いです。高齢者に特徴的な肺炎のひとつに、「誤嚥性肺炎」があります。
誤嚥性肺炎とは、嚥下障害による嚥下機能低下や胃液の逆流などが原因で起こる肺炎です。本来胃に流れていくはずの食べ物や、胃にあるはずの胃液が肺のほうに流れて行って、肺炎になってしまうんですね。
画像元:カワモト様より
脳梗塞後の片麻痺などで嚥下機能が低下しておこることもあります。誤嚥性肺炎を起こすリスクがある患者さんは、嚥下機能が十分でないことが多いので、窒息のリスクも秘めていたりするので要注意です。本当にのどになんかつまらせて、窒息→急変。なんてシナリオ、結構ありますから。観察やケアをしっかりコンスタントに提供できるよう配慮が必要ですよー。
誤嚥性肺炎の原因となる「嚥下障害」がわかりやすい動画があったので、掲載しておきます。
誤嚥性肺炎の看護問題
誤嚥性肺炎から考えられる看護問題は、大きくわけて以下のようなものが考えられます。
- 呼吸機能低下に伴う呼吸苦
- 誤嚥による窒息のリスク
- 発熱による体力の消耗
誤嚥性肺炎のポイントは、一般的な肺炎とは違い、「誤嚥」によるものであること。
誤嚥で肺炎になるということは、誤嚥するリスクを秘めているので、すなわち痰も多ければ食べ物や飲み物を誤嚥してしまう可能性があるわけです。つまり、急に窒息してしまう可能性もあるってことです。窒息=急変=対応が遅ければ最悪死に至ることもあるので、看護師として嚥下機能をしっかりアセスメントすることがすごく大事になってきます。
また、発熱によってふらつきや体力・筋力の低下があるときは、転倒転落のリスクも高くなります。患者の状態によっては転倒転落の看護計画も必要になります。転倒転落・およびセルフケア不足の看護計画は以下を参照にしてください。
転倒転落による身体損傷リスクの看護計画(OP・TP・EP)
この記事では、病棟でよくある患者の看護問題「転倒転落に関連した身体損傷リスク状態」における看護計画(OP・TP・EP)と転倒転落の原因について、また転倒転落のアセスメントシートの紹 |
セルフケア不足の看護計画(摂食、入浴・清潔、更衣・整容、排泄)
この記事では、セルフケア不足(摂食、入浴・清潔、更衣・整容、排泄)の看護計画についてまとめています。現役ナースが看護計画立案のコツ、書き方、アセスメントのポイント等を解説。
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誤嚥性肺炎の看護目標
誤嚥性肺炎の看護目標は、長期目標と短期目標において以下のような目標があげられます。
長期目標
肺炎から回復することができる
- 短期目標
- 呼吸症状による苦痛がない
- 痰をスムーズに出すことが出来る
- 発熱による体力消耗を最小限にできる
回復過程に応じ食形態を変え、元の食事形態で食事摂取できるようになる
- 短期目標
- 食事する力を維持できる
- 脱水・低栄養にならない
活動と休息のバランスを保ち、活動性を維持できる
- 短期目標
- 負担にならない範囲の活動ができる
- 回復期に積極的なリハビリテーションができる
誤嚥性肺炎の看護計画OP(観察項目)
誤嚥性肺炎の観察項目のポイントは、呼吸状態の変化はどうか、呼吸状態を悪化させる要因はないか、嚥下や食思に関するようなことはないかなどがあげられます。呼吸とは関係のない便秘も、便秘が増悪すれば食思が低下し、食事摂取量が減ったり、咀嚼機能が低下したりします。認知症があったりすると知らない間に酸素チューブを抜いていたりすることもあるので、要注意です。酸素投与しているなら、しっかり酸素が正しく投与されているかも観察するようにしましょう。
- SPO2の変動や発熱の有無等、バイタルサインの変化
- 咽頭部貯留音の有無
- 両肺の呼吸音
- 嚥下障害の有無と程度
- 食事摂取量
- 嚥下障害の原因
- 水分のIN/OUT
- 咳嗽の有無と程度
- 喀痰の色、性状
- (酸素投与中であれば)酸素投与量
- 排便量・頻度
- 血液データ、画像データ等の結果
誤嚥性肺炎の看護計画TP(ケア項目)
誤嚥性肺炎のケアでフォーカスしたいのは、患者本人の安楽と、安全です。窒息しないよう喀痰を促し、食事は見守りや必要に応じて援助を行います。痰がでやすくするために水分摂取や室内の保湿も大切です。
経管栄養患者は、常時経鼻から胃までチューブが入っている状態であるため、不顕性誤嚥を起こす可能性が高くなってしまいます。不顕性誤嚥を予防するためにも、注入中から注入後の体位管理をしっかりおこなってあげましょう。
- 安楽な呼吸の体位がとれるよう援助する
- 喀痰を促すため適切な湿度・室温に調整する
- ティッシュや水分を近くに置くなどの喀痰しやすい環境整備、自己去痰ができない時は定期的な吸引処置
- 口腔ケアの介助
- (患者の状態に応じて)食事介助 及び 見守り
- 日常生活の介助
- 食事時の体位の工夫
- 食べやすい食器の選択
- (認知があるとき)周囲に口に入る物を置かないよう環境整備する
- 体力に応じて気分転換に対する援助を取り入れる
- 発熱があるときは、体力消耗が最小限にできるよう援助する
(経管栄養患者の場合)
- 注入中はセミファーラ位及び起坐位にする
- 注入後セミファーラ位及び起坐位で30分以上経過する
- 注入物品の洗浄・消毒
誤嚥性肺炎の看護計画EP(教育項目)
誤嚥性肺炎の教育は、肺炎の増悪や再発を予防することに着目して、患者と家族の理解力に合わせて指導を行います。
- 嚥下障害の有無や程度、部位について報告できるよう指導する
- 自覚症状・随伴症状の有無・程度
- 患者と家族に、状態によって適切な食事の選択ができるよう指導する
- 嚥下訓練の方法とその必要性について説明する
- 経口摂取の方法とその必要性を説明する
- 経管栄養方法及び経静脈栄養法の必要性を説明する
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