生活保護者の救急車乱用について考える



シンママナースの マリアンナ です。

「寂しかったから」「ごはんをつくってほしいから」「お酒を飲みすぎて気分が悪いから」。決して緊急の治療が必要ではない救急車の利用のほとんどは、生活保護世帯のひとが多いです。その背景には医療費がほぼ無料であることが、救急車の利用を安易にしているんだと思います。こういったひとたちの救急車利用は、医療を提供する側としても心身の負担が大きい。もちろん税金の負担も大きくなりますし、そういったひとの救急車利用が激しくなるたび、本当に医療が必要なひとに利用サービスの提供が行き届かない現実があります。生活保護は誰のために、何の目的であるべきものなんでしょうか。医療従事者しかなかなか知ることのないむちゃくちゃな救急車利用の現実と、生活保護の見直しの必要性について考えます。

 

看護師の視点から見る生活保護者の医療の問題点

看護師として働いてると本当にいろんな患者さんと出会います。すっごいお金もちのひと、政治家や芸能人もいれば、暴力団のひと、刑務所で収容されているひと、脱獄してこけて骨折したひと、ほぼホームレスみたいなひととか・・。世の中って本当にいろんなひとがいるんだなーって思う毎日。そしてよくお目にかかるのが、生活保護世帯の方です。やっぱり人口の比率からみて生活保護世帯の高齢者の方もたくさんいるし、本当に体調が悪くて来られている方もいるので、別にそれが悪いとか言っているわけじゃないんですけどね。

ただ、救急搬送されてくる生活保護の患者で、一部「救急車、いる!?」って言いたくなる救急車の使い方をする患者さんがいるんです。

生活保護者が救急搬送されるたいがいの理由

わたしがいままで見てきたなかで、なんでそんなことで救急車呼ぶんだよ!って正直思ってしまう患者さんの8割くらいは生活保護世帯なんです。(生活保護を受けている方、気分を害されたらすいません。)

もちろん生活保護世帯の全てのひとが、理不尽な理由で救急車利用をしていると言ってるわけじゃないですよ。ただ、正直病院として「この患者さん、こまったなー・・。」と思う救急車の利用は、生活保護が多いです。その理由にはやはり、医療費が無料っていうのが背景にあるとは思うんですけどね。救急車を呼ぶ理由の多くが「飲みすぎて気分が悪い、飲みすぎで意識消失した」とかのお酒飲みすぎ系か、別に体のどこが悪いわけでもないですが、不安感や焦燥感が原因でおこる不定愁訴(頭がいたいとか、息苦しいとかいろいろな症状が起こること)です。一度だけ「蚊に刺されてかゆいから」という理由で、救急車をよんでいたひともいました。あとは「ひとりでいるのが寂しいから」とか、「入院できたらご飯が毎日でるから」とかそういった理由もあります。それで救急車を呼ぶんです。お酒の飲みすぎで急性アルコール中毒って診断つけますけど、実際中毒とかまでいってなくて、ほんとただの飲みすぎで救急搬送されてくるひとが多いです。おまけにお酒を飲んでいるから、結構たちが悪くて、看護師や医者に殴りかかってくることなんて珍しくありません。もちろん、アルコール中毒とかで救急車が利用されている間、他の方がその救急車を利用したくても利用できません。誰のための救急車なのかわからなくなります。

どう見ても病気ではない、ただ入院したいだけとかの患者の入院を断りたくても、断固帰ってくれないので、その間看護師も医者はごはんも食べれないし、仮眠もとれない。愚痴をいっちゃだけだけど、心身疲弊しまくります。病院に入院したら若い看護師に背中を拭いてもらえるから、といって入院を何度もする40代の生活保護受給者の男性もいました。患者さんに感情を持ってはいけないのは重々承知していても、怒りを覚えてしまう。自分自身、器の小さい看護師だなーとか思いながら、医療という業界にやりがいを感じれないときがあります。



生活保護はあるべき制度だと思うけど・・

生活保護はあるべき制度で、必要なひとが受けるべきものだと思います。生活保護を受けていることは恥ずかしいことじゃありません。誰だって急に自分で生活できなくなるような可能性があるし、それこそ福祉のサポートですから。わたしのお母さんはわたしが子どものとき、病弱だったし生活保護をうけてました。今はわたしが成人してから自立して、だいぶ前から親を扶養にしているので、何十年も前からうけていないですけどね。幼少期に父と母が離婚して一時的に生活が困窮したとき、その生活保護制度があったから生活が守られて、自立することができました。生活保護制度があったことに本当に感謝しています。

国民が安心して暮らせるように福祉を充実させることは大切です。じゃないと貧富の差は格段とひろがって、治安も一気に悪くなる。医療費は高いので、生活保護をうけるひとが適切に治療をうけることができるように配慮することももちろん大切です。でも看護師になって思いました。もはや今の日本の生活保護が、本来あるべき制度として成り立っていない。なぜか?

 

生活保護世帯の薬の転売等、生活保護制度の悪用も

生活保護は医療費が全額ほぼ無料になるんです。そして1日に言い回し次第で病院を何件まわっても大丈夫。つまり、薬とかもらいたい放題なんですね。それを悪用して、生活保護で無料でもらった薬を転売するような事件もでてきました。

生活保護でタダで入手の向精神薬を転売、受給者の31歳女を逮捕 背景に医師の過剰処方

医療費が全額公費で賄われる生活保護をめぐり、無料で処方された向精神薬を違法に販売したとして、兵庫県警生活経済課は30日、麻薬取締法違反(営利目的譲渡)容疑で、京都市伏見区白銀町、飲食店員、小寺恵真(えま)子容疑者(31)を逮捕した。小寺容疑者は生活保護受給者で、薬をインターネットで不特定多数に転売。転売先の別の女が向精神薬を大量に買い集めて売りさばき、荒稼ぎしていたとみられ、県警は受給者が関与した「貧困ビジネス」の実態解明を進める。

こういうのって、氷山の一角でもっともっと潜在的に予備軍がいるんだと思います。また病院で受ける診察についても以下のような記事がありました。

なぜ、生活保護者の医療費は2.6倍なのか

これは、2012年度のわが国の生活保護費のうち医療扶助として支出された金額である。人口約620万の千葉県の総予算が約1兆7000億円で、それに匹敵する額が生活保護受給者の医療費に使われている。わが国で生活保護を受けている実人員は月平均で約213万人。その中の8割が医療扶助を受けており、その費用は、生活保護費全体の46.5%を占めている。医療扶助は、福祉事務所から発行される医療券を持参して医療機関に行けば、自己負担なしで受診できる制度で、いわば「タダ」で医者に診てもらうことができる制度である。ある薬局関係者は、「軽い風邪のときは、市販の風邪薬を飲む人が多いと思いますが、生活保護の人は薬局で市販薬を買うと自腹(生活扶助費から支出)ですが、病院に行けばタダ(医療扶助)で風邪薬をもらえるんですよ」と語る。

約1兆7000億円に匹敵する額が生活保護受給者の医療費に使われているってすごいとおもいませんか?そしてその約1兆7000億円のうち、本当に治療が必要で使われた治療費なんて、本当にごく一部だと思います。

世の中ではあまり生活保護が良いイメージを持たれないのは、一部の悪賢いやつの行動が原因であって、本来生活保護を必要とする人達まで避難されているような気がします。

生活保護は誰のために、何のためにあるのか

生活保護は、本来生活を自分で営みたくても、自分ではどうしてもできないひとが、一時的に生活保護をうけることでよりスムーズに自立することが出来るためにあるもの。誰だって生活保護にお世話になる可能性はあるんです。でも恐らく生活保護を受けている結構の割合のひとが、生活保護を受けるべきじゃないようなひとたちだろうとわたしは思っています。実際に病院で見ていて、病気だから生活保護をうけているといっても、そんな働けないほどの病気じゃないことが医療者側からみて思うからです。(実際に体調が悪いひとも本当にいますけど、若ければ若いほど、その割合は少ない気がします)

生活保護の制度の趣旨は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としている、です。でもその目的も、なんとなく果たせて来ていない気がしますね。

 

思うこと:生活保護世帯の医療費は監査が必要では?

もはや今の日本の生活保護が、本来あるべき制度として成り立っていない。なぜか?やはり管理不足としか言えないと思っています。もっともっと、制度の管理を強化すべきなんじゃないでしょうか。一定上限額以上の医療費を請求する生活保護受給者の診察歴と内容を調べるなり、異様に処方が多くないか調べたり、救急車の利用頻度を調べたり・・。何かしらの管理をもっと強化していけば、医療費の不正利用は減っていくような気がします。本来生活保護を受けるべき家庭が生活保護を受給できず、親子で殺人事件になるなどの悲しい事件もおこっています。

京都認知症母殺害心中未遂事件とは【地裁が泣いた悲しい事件】

9月頃、工場勤めをしながらの介護に限界を感じた康晴は仕事を辞め、自宅で介護しながらできる仕事を探したが見つからなかった。12月には失業保険の給付もストップしている。区役所にもすでに3度相談していた康晴だったが、良いアドバイスは得られなかった。「生活が持ち直せるしばらくの間だけでも生活保護を受給できないか」と相談したこともあったが、「あなたはまだ働けるから」と断られている。(事件後、康晴は唯一この社会福祉事務所の担当者にだけは恨み事を述べた)

 

アルコールの飲みすぎや、寂しいとかごはんをつくってほしいという理由で救急車を呼ぶ生活保護のひとたちを見ていると、生活保護を受けたくても受けられなかったひとたちが浮かばれなく思えます。生活保護は国民の生活を保障するため、また治安を一定に守るためにもとても大切な制度です。ですが、今こそ誰に生活保護が必要で、誰にもはや必要ではないのか、しっかり精査してもらいたいところです