【電通新入社員過労死自殺】から「看護師のサービス残業の実態」と「日本の労働環境」を考える



シンママナースの マリアンナ です。

電通新入社員過労死自殺の事件から、改めて労働環境の大切さを考えるようになりました。同時にサービス残業が慢性的な看護師の労働環境と日本全体の労働環境を考えました。本当に、同じ悲劇が繰り返されないよう、厚生労働省が重い腰を本気であげるべきだと思っています。

 



日本の異常な労働環境:サービス残業の実態

日テレのニュースにとても気になる記事ありました。ぜひ以下の内容を一通り読んでほしいと思います

 



「正しく残業時間を申請できてない」約4割

http://www.news24.jp/articles/2016/10/25/07344669.html

 

電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24)の自殺の背景には「サービス残業」の問題があったことが明らかになってきた。

この事件を通して、過労死を防ぐための対策を話し合う厚生労働省の会議が25日開かれた。

「残業時間を正直に申請できない」実態はあるのか、日テレが街で100人に聞いたことが記事に掲載されていました。

以下記事の抜粋です。

 

電通の新入社員だった、高橋まつりさん(当時24)。長時間労働と上司のパワハラもあり、うつ病を発症して、去年12月25日に自殺。9月に労災と認定された。

高橋さんの労災認定では、うつ病発症前のひと月の残業は会社に出入りした記録から、約105時間だったと算定されている。しかし、高橋さんが実際申請していた残業時間は3か月連続で69時間台社内規定のひと月70時間を超えないように指導されていたという。

 

■街で聞いた残業申請の実態
 残業時間の過小申請は電通に限ったことなのか。街で聞いてみた。
医療系事務職「タイムカードと自己申告して上司に許可をとる。それで整合性をみられる
エステ従業員「朝9時から夜12時まで働いたりします」「好きに残業しなさい、こっちは何も言わないからと
看護師「残業している時間よりも少なく申請しています。そういう風潮だから」
■「正しく残業時間を申請できてない」約4割
街で100人に聞いたところ、残業時間をきちんと申請できていないという人が39人もいた。つまり、約4割が、正しく残業時間を申請できていないという結果に。その理由には「暗黙の了解でつけられない(航空会社・20代女性)」「仕事が遅くて、力量不足だと思われてしまう(製造業・30代男性)」「上司に問い詰められるのが怖い(化粧品会社・30代女性)」などの声が聞かれた。

■隠された残業の実態調査を
こうした実態に高橋さんの代理人の川人弁護士は「過大な業務量を課して、なおかつ早く帰れというのは、言っていることが矛盾している。ですので、業務量をどのように適正に調整するか、そのことを抜きにして労働時間の時間だけを考えても問題の解決にならない」
 厚生労働省は、これまでも企業に対し、労働時間を適正に把握するよう求めてきたが、形式的ではなく、隠された残業時間の実態まで調べるべきとの声があがっている。

 



雇われる側と雇う側のルールが守られていない

電通の新入社員、高橋まつりさんが自殺で亡くなられた件で、なんだか他人ごとじゃない気もしました。

私自身看護師に転職してから、すっごく労働環境や福利厚生に不満を感じていたからです。

 

以前は普通の会社でOLをしていて、現在の看護師の仕事よりも残業がとても多い環境でした。50~100時間なんてザラでした。ですが残業代はしっかりついていました。だからまだ頑張れていました。ワンマンな上司はいなかったし。

看護師になってからは、残業時間であれば平均20~30時間はあると思います。以前のOL時代より残業時間は減っています。ですが、看護師になってからの残業はサービス残業なので残業代はほとんどつきません。休日も返上して会議や委員会、勉強会に参加する必要があります。(しなかったら呼び出され、かなり怒られます)

 

世の中には労働者を大切にしている企業もあると思います。でもとてもごく一部に思えます。

日テレが独自で声をかけた100人のうち40%が、残業代を正しく申請できていないと言っています。恐らく国民調査をしっかりすればもっと潜在的にサービス残業を強制されている労働者はいるだろうし、業界や企業によってもその差がすごく出ると思います

 



転職してから感じた労働環境の不満と疑問

わたし自身看護師になってからサービス残業を強いられるようになって、「労働環境」にすごく不満を感じるようになりました。同時に、人が健康的な生活をするためにどれだけ労働環境が大切なのかも考えさせられました。カラ残業が多く休日が少なくなると、スキルアップする意欲が低下するし、物事を前向きに捉えられなくなってしまいます。頑張っても収入はあがらない、頑張るほどもっと求められるけど、対価は増えない。仕事だけ増える。頑張っても無駄だな、と仕事へのモチベーションはほんとさがります。

 

高橋まつりさんの件をみて、改めて労働環境の改善の必要性を感じました。

不当な残業を強いられ、おまけに対価も評価もされない。鬱状態になるのは当たり前です。

 

でもその過酷な労働環境に対し不満を言ったり、ついていけなかったりすると、「その労働者の精神力・体力が弱いから」「その労働者の能力が低いから」と、雇う側の強い権力でもみ消されていることが多く思います。

どうしても「雇ってもらっている」「お給料をもらっている」という弱い立場である労働者は、なかなかその圧力を跳ね返せないのは実情です。

雇用者に対して立場が弱い労働者を利用した悪質な労働環境としか思えない。

 

こんな世の中で、若い世代が活力を持ち、子どもをたくさん産んだり、人生に対し意欲的になることができるんでしょうか。

わたしはこの今の日本の労働環境が悪くなっていくことに対して、自分の子どもの将来の労働環境が心配でならないです。

 



看護師になってから身をもって知った「ブラック企業の実態」

わたしが実際に、労働環境に不満を感じるようになってから「ブラック企業」という言葉をはじめて意識しました。

上記の日テレのニュースに記載されているような労働環境のようなことはすべて職場で起こっていることです。

 

残業代を申請しても師長が書き換えて消されているし、30分でも残業するとその理由を問い詰められます。

なかなか新人看護師さんが業務時間内に仕事を終えることってできないので付き添って教えるのですが、「新人指導は残業つけないからね」と釘をうたれます。ですが新人看護師をひとりで仕事させるのは医療事故などの観点などからも危険で、仕事が終わるまでプリセプターの付き添いが必要です。

患者の急変があったり、緊急検査や手術で看護記録ができず、残って看護記録をすると「看護記録は残業の理由にならないので」といわれタイムカードをきられます。

わたしだけでなく、病棟の看護師全員です

休日でも会議にでないとかなりいわれます。会議に出れない理由を説明させられます。

有給は捨てて当たり前、消化を希望すると「みんなに迷惑かかるのがわからないの!?」とまるで悪者扱い。

わたしの病院は労働環境が悪い方ですが、よその病院でもこんなことは日常茶飯事です。

 



看護師が増えない原因

確かに看護師とは世間一般の女性の職業のなかでも高給なほうですが、違法なサービス残業の強要が慢性化しているのは、どうなの?ってすごく疑問に思います。

一回一般企業で就職したことがあるから、余計にその「労働環境の差」に不満を感じてしまうのです。

本当に一刻も早く、厚生労働省が厳密な調査をして改善に努めてほしい。

もう、切実。

 

慢性的な看護師不足が懸念されていますが、看護師が不足するのは当たり前です。

体も男性ほどタフではなく、出産や子育てのライフイベントがある女性が、そんな労働環境で長く勤めようとは思わないからです。

潜在看護師が100万人だかなんだかも納得できます。

 

日本だけですよ、先進国でこんなに労働環境がひどいのは。

でもなぜ日本にサービス残業が慢性化しているんでしょうか。

 



雇用者の思うツボ。サービス残業してくれるほど上が儲かるから

基本的に、労働者が残業していないことにして残業代をつけないでいることは、

労働者とその雇用組織にその分利益がでるし、かつ人を雇う組織として「違法な残業はさせていませんよ」っていうふたつのメリットがあります。

 

今回の高橋まつりさんの事件は、タイムカードはきられていたものの、タイムカードに残された時間以外に労働していた証拠がでてきています。雇う側としてはサービス残業は隠せるものなら隠したかったでしょうね。パソコンのログインかオフィスに入った履歴か何かで、実際の記録されていた以上のサービス残業が明らかになったんでしょう。企業としては若い子が安い単価で、しかもサービス残業で会社の利益のために働いてくれることは、非常に助かったことでしょう。その分利益も出るし、人件費削減になるし、タイムカードを切ってくれていれば、労働基準法を一見守っているようにみえるから。

 

お前ができないから、というスタンスで押し付ければ、まじめな子はそう思って、まじめに頑張ります。

自分の能力に見合わない仕事を任せられても、サービス残業してそれを成し遂げようとします。

まじめな若い働き者ほど、餌食になっているような気がします。

 

労働者はお給料をもらっているから、残業代を請求したりすることに引け目を感じたりもしますが、労働者が頑張って利益が出れば出るほどもうかるのは上層部のひとだけです。

普通の平社員に帰ってくるお金なんて、すずめの涙のようなもの。

あぁ、なんだか記事を書きながら腹がたってきたよ。

 

これからこの日本の労働環境がよくなるためには、何が必要なんでしょうか。

 



厚生労働省がどれだけ厳密な調査をしてくれるかが分かれ道

高橋まつりさんの過剰なサービス残業は、記録が残っていたから明るみになりました。もしタイムカードを切っている以外の時間に働いていた証拠が残っていなければ、企業は記録されていた時間以外は、働かせていなかったというでしょう。会社自身、組織を守らないといけないですから。

 

わたしは電通が悪いとか、誰が悪いとか、悪者は誰だと言いたいわけでじゃないんです。

こんなあほみたいな労働環境が浸透していて、むしろ普通になっていることが問題じゃないかと思うんです。すぐにでも早急に、正しく改善すべきだと思うんです。

 

厚生労働省かな?去年あたりに労働者のストレスチェックとか一斉にしてましたけど、結局ストレスを感じている従業員が多い組織には、従業員にカウンセリングを受けるよう指導があっただけでした。なぜその組織の従業員がストレスを感じているのか調査すべきだと思いました。根本的なステップが抜けているような気がします。

 

たとえ残業を100時間したって、自分が本当にしたいことなら、苦痛に感じないかもしれない。自分が嫌いなことなら、1時間だって残業をするのは苦痛です。その仕事を苦痛と感じるか、快と感じるかは労働者個人の感性によって変わります。

 

でも普遍的にいえるのは、労働者がやる気があろうがなかろうと、能力があろうとなかろうと、どんな事情があっても、

雇用者は残業代を支払うべきであり、休日を与えるべきであり、適切な対価を支払うべきです。このルールをもっと厳正化すべきです。

なぜか?

働いて社会に貢献した分対価をもらい、がんばった分の休日をもらえることで心身が休息できれば、またあらたな意欲につながるからです。若い人たちが意欲的になってくれないと、日本社会が良い方向に向く力が弱くなってしまいます。働くひとたちがが頑張って会社に貢献してくれるように、給与や休暇でリフレッシュさせること。それはとても労働環境に大切であり、また日本の将来にとっても大切なことなんです。

鬱状態

 



ぜひとも、国民調査をしてほしいという個人的な願い

人間は機械じゃないから、頑張った分十分な休息や待遇がされないと精神状態が悪くなるのは当たり前です。この労働基準法決められているはずのルールが、うやむやになっているからこんな悲劇が起こるんです。

ルールはルール。雇用者も労働者もルールを守らないといけない。

ルールがあいまいになってきたら、権力があるほうが自分の都合のよい方に流れを変えてしまうのは当たり前です。

労働者が働いて会社に貢献してくれたら、対価と休暇で返す。労働者も対価と休暇をくれる会社に貢献する。これが本来あるべき労働のルールだと思います。

規模の大きな雇用者の多くは都合が悪いことは隠すにきまっています。従業員のメンタルが弱かったと、立場が弱い従業員のせいにできれば丸くおさまるから。

一度厚生労働省には、全国の労働環境についてしっかり精査してほしいと思います。近年これだけ過労死がでたり、自殺者がでるのはおかしいよ。一番人生を楽しいと思える若いひとたちが、将来を悲観する環境は変えないといけない。

調査も雇用者を経由すると、書き換えとかする上司もほんとにいるから(うちみたいな)、雇われている労働者に直接国民調査すべきです。じゃなくて、してほしい。

 

こんなことが慢性化していて、若い世代のひとたちは将来のために何か意欲的に取り組めるんでしょうか。

自発的に、自主的に、何かをしたいとか、やり遂げたいとか、目標を持てるでしょうか。いや、もてないよほんと。

 

子どもの将来が心配です。今の世代の子ども達は、将来誇りをもって、働く楽しみや意味を持って生きていてほしい。本当に不満を感じていたのをぶちまけて、ちょっとすっきりした。(自己満足)

 

厚生労働省さん、期待してます。

ぜひとも雇用環境のルール、もっと厳正化してください。