せん妄と認知症の違い:症状は似ているけど、せん妄には特徴がある



シンママナースの マリアンナ です。

この記事ではせん妄のポイントと、認知症の違いについて解説しています。せん妄と認知症の違いとそのポイントを知ることが出来ます。

 



認知症とせん妄の違いに戸惑う

最近よくうちの病院で、認知症に対する勉強会が増えてきたんですよ。認知症患者が多くなったからかもしれないけど。

せん妄って言葉は知っていたけど、その症状が認知症とか精神疾患とかと重なるところがあって、イマイチ術後とかじゃない限り、ベースに認知症があるひとのせん妄っていうのがわかりにくい。だけど最近、患者さんをよくよく見てると、これがせん妄?って思うことが多くなりました。

こないだ高齢のおばあさんが肺炎で入院してきたんですけど、えらく興奮状態で。看護師に暴言暴力、点滴事故抜去とか病棟についてそうそう暴れるから、結果安全帯着用することになったんです。だけど3日ほど休みをもらってから出勤したら、えらくおばあちゃんが落ち着いていた。あれだけ暴言や暴力、興奮が見られたのに、入院期間が長くなると、次第に落ち着いていきました。入院当初は看護師の顔をみるなり、「このあほがぁ!」って怒鳴ってたのに、久しぶりに顔を見にいったら超エレガントに「おはよう♪」っていってくれました。

 

この違いは何なんだ???

 

入院してきてすぐ、まだ患者さんのことをあまり知らないので、暴力行為とかあっても「もともとこういうひとなのかな?」とかいう視点で見てしまっていて。

でも時間の経過とともにその患者さんの精神状態が安定していったってことは、今思い返せば入院当初当初興奮状態にあったこと、あれが環境に変化に適応しきれず起こしていたせん妄状態だったのかなーなんて思いました。



認知症があっても「これがせん妄かも」って思う特徴

認知症がベースにあると、せん妄との区別がつきにくい。

でも以下のような症状があるときは、認知症がベースにあっても、せん妄を起こしている状態って言えるかもしれない。

入院や転院直後に起こる不穏

→環境の変化にまだ適応しきれず、精神状態に影響しているパターン。認知症がベースにあるとこのときの判断が難しい。でも環境変化で急激に興奮状態になったりするなら、たいていはせん妄を起こしていることが多いでしょう。

手術や検査直後

→麻酔による影響や痛みなどの不快感から、不穏状態になる。これは比較的若年層や認知症じゃないひとでもせん妄がおこりうる状態です。

急激に不穏状態になったけど、すぐおさまった

→せん妄には急激に発症し、一過性に症状が出る特徴がある。継続的に徐々に症状がでるのは認知症だけど、急激な一過性の不穏ならせん妄かもしれない。

時間帯によって起こる

夕方になったら怒り出したり、興奮したり。せん妄には時間帯によって症状が悪化する特徴がある。

 

 

その他せん妄に関しての詳しい概要と看護は

せん妄の看護と看護計画~アセスメントから看護のポイントまで~ この記事ではせん妄の評価からせん妄の看護、看護計画まで解説しています。せん妄は一般外科病棟で10~15%、内科病棟で15 ~25%いるといわれている、一過性の精神症状です。認知症や精神疾患と症状の区別

の記事に記載しているので、参考にしてみてください。



せん妄はケアのやり方次第で結構乗り切れる

もし患者さんが起こしている興奮や暴力行為などが、認知症によるものではなく、せん妄なら早い対処で症状を悪化させることなく過ごせることがあります。そもそもせん妄って早期発見してすぐ対応することがすごい大切ですから。

せん妄かもって思ったら、せん妄がなぜ起こっているのかをアセスメントして、極力せん妄の原因を取り除いてあげるような関わりをしてあげると、患者さんって結構落ち着いてきたりします。

せん妄の具体的なケアと看護計画については、せん妄の看護計画にまとめているので、参照しててください。

せん妄って見極めるポイントみたいなのさえ抑えてくれば、ある程度アセスメントできるだろうし、せん妄って判断ができたら、ケアが介入できるから、増悪を予防できる。看護師ってやっぱり判断力がすごく大事だなーって考えさせられました。