シンママナースの マリアンナ です。
1. 児童扶養手当とは
最近では母子家庭が増加してるのに伴い、社会全体でシングルマザーを支援していこうと多くの支援策が整ってきています。その母子手当の中心となるのが児童扶養手当です。2010年8月からは父子家庭も支給対象になりました。また、父母の離婚や死別に加え、一定の障害がある場合も対象になります。すべてのひとり親家庭に支給される制度ではなく、所得制限があり、養育者の年間所得200万円ほどからとなり、子供などの扶養する人数が多いほど制限はゆるくなっていきます。あくまで、経済的に困難な家庭を支援するためのものなので、一定の年収がある場合、受給することができません。世帯の状況によって年収の上限は異なりますので、申請前に直接窓口で相談しておくなど、確認しておくとよいでしょう。
2. 児童扶養手当が受給できる条件
児童扶養手当の支給対象となるのは、次のいずれかの条件にあてはまる児童(父母以外に養育されている場合も含む)のうち養育者の所得が一定水準以下で、18歳に達して最初の3月31日までの間にある者です。
- 父母が離婚した・父または母が死亡した
- 母が未婚のまま懐胎した児童
- 父または母が生死不明である
- 父または母が一定程度の障害がある
- 父または母に遺棄されている児童 ※「遺棄」とは放置されている状態
※父または母が裁判所からのDV保護命令を受けている児童が特別児童扶養手当を受給できるくらいの障害がある場合、20歳に到達するまで児童扶養手当の対象になります
以前は、児童扶養手当は請求期限(5年)がありましたが、2003年4月認定請求期限の規定廃止を含む法改正が行われました。ただし、2003年3月31日までに上記の要件に該当して5年経過している場合は、正当な理由がある場合を除き、認定の請求が出来ません。
3. 児童扶養手当の手続き
児童扶養手当の手続き方法
- 手続きする場所請求者のの市町村の役所、役場
- 必要なもの・請求者及び児童の戸籍謄本 戸籍謄本は申請をする日から1ヶ月以内に交付されたもの
※離婚の場合、戸籍謄本にこの事実の記載がない場合、離婚したことが記載されている除籍謄本等も必要
外国籍の方は、該当事由のわかる公的書類や婚姻要件具備証明書(現在独身であるという証明)が必要・住民税課税、非課税証明書 請求者の去年の所得・控除・扶養の内容が記載されている区市町村発行の証明書(引っ越し等で去年の住所と区市町村が変わった場合必要)
- 身体障害者手帳、愛の手帳、児童扶養手当障害認定診断書 父または母、児童が障害を有している場合・請求者本人の銀行
- 信用金庫等の普通預金通帳・キャッシュカード等 インターネットバンクや都内に支店がない金融機関は不可。
その他、請求者・児童の状況によって調査書を提出する場合もあります。
4. 児童扶養手当の支給額について
児童扶養手当の自働計算シュミレーションは以下の記事に掲載しています。
【平成29年度対応】児童扶養手当:支給額シュミレーション~自動計算で支給額が計算できます~
シングルマザーが受けられる手当である児童扶養手当、受け取れる支給額の計算ってとても面倒ですよね。この記事では、児童扶養手当を扶養家族人数や所得に応じて、支給額が自動で計算できるシュミレーション |
児童扶養手当の支給額は、請求者の所得や、対象児童の人数により決定されます。
支給額(月額)
- 児童1人のとき
全部支給:42,330円
一部支給:42,320円~9,990円(所得に応じて決定)
- 児童2人目
加算額定額5,000円→全部支給:10,000円
一部支給:9,990円~5,000円(所得に応じて決定されます)
- 児童3人目以降
加算額定額 (1人につき)定額3,000円→全部支給:6,000円
一部支給:5,990円~3,000円(所得に応じて決定されます)
児童扶養手当法により、8月1日から一部改正され加算額等が変更されました。
5. 児童扶養手当の所得制限限度額について
児童扶養手当の所得制限請求者・扶養義務者(同住所に住む親族等)の前年の所得が下記の限度額以上のとき、
手当の全部(一部)は支給されません。
扶養親族数 | 全部支給の限度額 | 一部支給の限度額 | 配偶者・扶養義務者 |
0人 | 190,000円 | 1,920,000円 | 2,360,000円 |
1人 | 570,000円 | 2,300,000円 | 2,740,000円 |
2人 | 950,000円 | 2,680,000円 | 3,120,000円 |
3人 | 1,330,000円 | 3,060,000円 | 3,500,000円 |
以降1人増 | 380,000円の加算 | 380,000円の加算 | 380,000円の加算 |
6. 所得額の計算方法
児童扶養手当の自働計算シュミレーションは以下の記事に掲載しています。
【平成29年度対応】児童扶養手当:支給額シュミレーション~自動計算で支給額が計算できます~
シングルマザーが受けられる手当である児童扶養手当、受け取れる支給額の計算ってとても面倒ですよね。この記事では、児童扶養手当を扶養家族人数や所得に応じて、支給額が自動で計算できるシュミレーション |
一部支給の計算方法
税法上の扶養親族が1人の場合10円未満は四捨五入
手当月額
42,320-(所得額-570,000)×0.0186879
第2子の加算額
9,990-(所得額-570,000)×0.0028844
第3子以降
5,990-(所得額-570,000)×0.0017283
児童の父(母)から養育費を受け取っている場合、その80%を所得に含める
控除項目及び控除額
- 一律加算(社会保険料相当分) 80,000円
- 雑損
- 医療費控除・配偶者特別控除 課税上実控除額
- 小規模企業共済等掛金控除
- 特別障害者控除
- 特別障害者扶養控除 400,000円
- 障害者・勤労学生
- 障害者扶養控除 270,000円
- 老人扶養控除(扶養義務者) 100,000円(60,000円)
- 特定扶養親族等(扶養義務者) 150,000円(0円)
- 寡婦(夫)控除、寡婦控除特別加算 270,000円/350,000円
7. 児童扶養手当(母子手当)の支給日
児童扶養手当(母子手当)の支給日は認定請求のあった翌月から、支給要件に該当しなくなった月まで支給されます。
手当の支給日は毎年、次の月の11日(銀行定休日の場合その前営業日)に指定の口座へ振り込まれます。
4月(12、1,2,3月分)、8月(4・5・6・7月分)、12月(8,9,10,11月分)と4ヶ月分を3期に分かれて11日に支給されます。
児童扶養手当は申請しないと支給されませんので、例えば未婚のだったり、生後間もない場合、認定請求後、結果のお知らせが届くまで1、2ヶ月かかるので、予め、申請しておくこともできます。
8. 児童扶養手当の現況届について
児童扶養手当を申請したら、毎年8月に現況届を提出しなければなりません。児童手当や児童育成手当は郵送でも可能ですが、児童扶養手当の場合、役所、役場に直接提出しなければいけません。現況届は受給資格を確認するためのもので、前年中の所得、家族状況や養育費の裁判の調停をしている場合、いくらもらっているか等を確認します。
- 受給者である父(または母)が結婚したとき(事実婚も含みます)
- 受給者・対象児童が海外に移住した場合等、日本国内に住所を有さなくなった場合
- 対象児童が児童福祉施設等に入所したとき等受給資格に該当しなくなった場合
すぐに届出なければなりません。
受給資格がなくなったにもかかわらず、手当を受けていると返還しなければいけなくなります。また、住所や振込先銀行口座等に変更がある場合はすぐに届出しましょう。
9. 児童扶養手当と養育費
児童扶養手当と養育費について児童扶養手当を受給してから5年経過すると、就労等の自立を図るため活動している場合や、障害、病気、介護等で就労困難な事情がある場合を除き、5年経過した翌月分以降から支給額が2分の1に減額されます。また、ひとり親家庭には医療費の助成もあります。児童扶養手当以外にも、児童手当や、児童育成手当などもあるので、それらも併用して申請することもできます。子どもが成人するまでにかかる費用は平均3,000万円ほどといわれています。最低限の養育費はあったとしても、ひとり親家庭だからこそ、なるべく人並みの生活を送れるようにと頑張るシングルマザー、シングルファザーの方は多いことでしょう。子どもが大きくなってくると何かとお金が必要になってきますが、これらの制度をうまく活用して子育てを頑張ってください。