看護観とは:例文でわかるレポートの書き方~相手に伝わる看護観を書くコツ~



シンママナースの マリアンナ です。

この記事では、看護学校で必ず書くことになる「看護観」レポートの書き方について説明しています。

 



看護観とはなにか

看護観 とは、「看護はこうあるべきだ!」っていう、「看護の在り方」の考えです。

もし「看護で1番大切なことはなんですか?」と聞かれたら、
何と答えますか?

1番はじめに浮かぶ言葉が、あなたの看護観です。

  • 病気による患者の苦しみを極力取り除くこと
  • 患者が最大限自立できるように支えること
  • 患者と家族が協力しあいながら、生活できるよう支援すること・・・

 

ひとによって、看護はこうあるべきだ!っていう考え方は違います。
でも、看護学生だったり、看護師だったりの立場で患者さんと関わっていると、

看護にこれってすごく大事だよなー。

とか、

こういう看護ってどんな患者さんにも必要な視点だよなー。

って感じているものがあるはずです。

 

それが、いわばあなたの看護観。

 

看護観のレポートは、そのあなたが日々提供する看護のなかで、「看護にこれってすごく大事だよなー」と感じていることを、言語化した小論文です。

難しそうに聞こえるけど、内容はさほど難しいものではありません。

 

 



看護観をレポートを書く前にまとめておきたい4つのポイント

看護観のレポートを書くとき、まず以下の4つのポイントについて、まとめておきましょう。
文章を作成するときに、ぐっと書きやすくなります。

  1. あなたが考える「看護にはこれが大事だ!」と思うことは何?
  2. 1.で「看護にはこれが大事だ!」と考えた理由となるエピソードは?
  3. 2のエピソードから、なぜ 1.の「看護にはこれが大事だ!」という考えになったの?
  4. 「看護にはこれが大事だ!」と思うことをこれからの看護にどう活かしていきますか?

 

この4つをある程度整理しておけば、あとはそれを文章として繋げて肉付けし、添削をかければ、レポートとして出来上がりです。

レポートを書く前に大切なこと、

  1. 自分はなにを言いたいのか
  2. なぜその考えに至ったのか
  3. 最終的にその考えはなににつながっていくのか

の3段階を答えられるような文章にしていきましょう。

 



看護観のレポート例文と書き方

看護観のレポートの書き方を、例文を使って解説していきます。
押さえておきたいレポートの書き方のコツは以下の3つの流れ。

  1. あなたが看護で大切だと思うことを述べる
  2. 1を大切だと思った理由を述べる
  3. 1と2を踏まえて、その看護観を今後の看護にどう活かしていくのかを述べる

 

 

看護観レポートの例文として、「第6回全国看護学生作文コンクール」から、同年最優秀賞をとられた登場看護学生だった反田さんの「人間としての患者さんを見ること」を例文にして、看護観の書き方を説明していきます。

彼女の看護観は、看護学生の率直さと、看護者としての葛藤がよく描かれています。「患者さんを人間として全人的に捉える」という、当たり前なんだけど、難しい看護の原点を考えさせられるようなレポートです。

 

レポートの書き始め

 

人間としての患者さんを見ること

「関係ないでしょう。もう帰ってください。」精神看護実習で受け持ったAさんが私に言った。愕然とすると同時に、何とかしてAさんにとって「関係ある人」になりたいと思った。

どうすれば関係が築けるのかと考え、自分の関わりを振り返ることから始めた。事前情報として得た、妄想による他者への暴力や破壊行為といったAさんの行動の一場面だけに囚われていなかったか。一人の人間としてのAさんを見ることができていたか・・・。反省する中で、一対一の人間関係をやり直そう、疾患ではなくAさんその人を見なければと気づいた。

 

解説

冒頭から、患者を一人の人間として見れていなかったかもしれない反省と、一人の人間として見ることの大切さを述べています。

ここが筆者の1番言いたいところ、タイトルに続く「本題」です。

1.の「あなたが看護で大切だと思うことを述べる」です。

読み手は「この子は看護でこれが大切だと思っているんだな」というのが読み始めでダイレクトに伝わり、次に読み進めやすい。わたしの看護観はこれですよ、って読み手を誘導する部分になります。

 

レポートの中盤

 昼時、Aさんは仲間を集め麻雀を始めようとしていた。Aさんは麻雀が大好きだ。麻雀の準備となる足取りも軽く、思いテーブルも一人で引っ張り出す。私はオンラインゲームでしかやったことがないけれど、入れてもらっちゃおう。Aさんは連勝した。カルテを通してみるAさんと麻雀牌ごしに見るAさんは全く違って見えた。その時からAさんを見る私の視点が変わったように思う。介入する問題を探すのはやめ、大事な趣味を持って楽しみのある生活を送るAさんを少しでもお手伝いさせてもらえたら、という気持ちで病棟へ行くようになると、Aさんとの距離は自然と近づいて行った。

折しも二週間の実習の真ん中の土曜日、病院で秋祭りがあり、Aさんがそこでカラオケを歌うと耳にはさんだ。休日にまで行ってもいいものだろうか。私服だしいつもと様子が違うからAさんどう思うかな、と少し不安を抱えながら病院に行った。「あっ、看護婦さん!」Aさんは私を見つけると笑顔で近づいてきてくれた。手をつないで出店を回り、お好み焼きやコーヒーを勧めてくれた。カラオケが始まり、Aさんは「学生時代」を熱唱。その姿がとても輝いていて、胸が熱くなった。最後はマイクを片手にガッツポーズで会場は拍手喝采だった。

実習最終日の挨拶に行くとAさんは師長さんと売店へ行くところだった。それまでのお礼を伝えるとAさんは、乾杯しましょう、とドリンクをおごってくれると言った。「学生なので、お気持ちだけ・・・」と言いかけた私を師長さんが笑顔で制した。「Aさんの気持ちだから」。「グイッといって」Aさんがビンを高く上げ、合わせたビンがカチャンと鳴った。その瞬間、紛れもなくAさんと私は一人の人と人同士だった。

 

解説

文章中盤で、1.の「あなたが看護で大切だと思うことを述べる」の、理由となるエピソードが描かれています。

読み手にとって「この子はだからこんな看護を大切だと感じたんだな」と、冒頭で述べた看護観とそのエピソードがひも付きます。

冒頭で私の看護観はこれだ!と読み手に伝えたら、文章の中盤では「なぜそれを看護観だと思ったのか」っていう理由を述べましょう。

筆者がどういったエピソード(経験)があったから、その看護観が大切だと感じた、という筆者の経験と思いが文章のなかでリンクするところです。

レポートの中盤で看護観ができたエピソードを書けば、読み手は筆者の経験と、そこで筆者が感じた思いを理解することができます。

 

レポートの終盤

 先入観なく、というのは思っているより難しい。知らず知らずのうちに病名の陰に隠れた患者さん自身が見えなくなってしまうが、そこにいる一つ一つの人生の主人公こそが看護師が向き合うべき対象なのだとAさんに気づかせてもらったことを私はずっと忘れない。

引用:人間としての患者さんを見ること

解説

文章終盤では、筆者が経験を通して大切だと思った看護観についてのとりまとめが描かれています。読み手に「だからわたしは、この看護観が大切だと思ったんです。」という、その看護観を大切だと思った理由と、その看護観をこれからの看護にどう活かしていくのか、っていうまとめ部分です。

「人間として患者さんを見ること」の終盤では、筆者が「看護師が向き合うべき患者は、一人の人間である」という自身の看護観をまとめられています。

ここでは自分が経験した看護のエピソードと、そこから得た看護観を、これから看護師としてどんな看護に活かしていきたいのか、を伝えられるとキレイにレポートがまとまります。

看護観のレポートで最終的に大切なことは、
どんな看護からどんな看護観を得て、これからその看護観をどう活かしていくのか
ってところ。

それが文章の最後にまとめられていれば、読み手としては
この子は患者とこういう関わりから看護観を得て、これからそういう看護師になりたいと思ってるんだな、ってのが伝わりますから。
レポートを書くときに結構忘れられがちですが、
レポートは最終的に読み手に伝わる文章じゃないといけません。

自分が経験したシチュエーションを、読み手がよりイメージしやすく説明しないといけないし、
自分が感じている看護観を、読み手にも感じてもらえるような文章を書く必要がある。

それができていてば、レポートとしては◎。

 



看護観レポートの書き方まとめ

 

看護観のレポートを書くときに大切なことは、読み手に

  • あなたの看護観はなに
  • あなたの看護観ができたきっかけはなに
  • あなたが持つ看護観を、今後の看護どういかしていくか

 

 

という3つのポイントが伝わるように書くことが大切です。
この3つが基本的な看護観レポートの軸になると思います。

 

あとの細かい言い回しなどの微修正は添削で調整していけばOKです。

 

いろいろ考えていると、難しい言い方で遠回しに書いてしまったり、
読み手に伝わりにくいレポートになってしまうこともあります。

 

そうなると、先生からの指摘も増えて、テンション下がったりするんだけど。

 

看護観のレポートを書くときに大切なことは、上に書いた3つの軸が明確に描かれているか。

 

あとは読み手に立場にたって、読みやすい流れになっているかを、何度も読み直してチェックしていけば、それなりのレポートができてきます。
レポートって大変で、嫌いだったけど、看護観のレポートだけは未だに何を書いたがはっきり覚えているし、わたしの看護の原点になっています。
看護観は自分が経験した看護の集大成みたいなもんだから、真剣に書いて損はないと思いますよ。

 

何年もたって看護師になってから、
「あぁ、わたしそういえばそんなことをレポートに書いてたな」
とか思い出す時があります。

 

その時の患者さんのことも。

 

看護の原点を持つことは、すごく看護師として大切なことだなー、とか思ったり。

 

なんだか話がそれてきたし、看護観のレポートの書き方はこの辺で終わります。