看護必要度における看護記録の書き方~B項目の記録例~【これで監査も大丈夫!】



シンママナースの マリアンナ です。

看護必要度が本格的に始動し始めた次の課題となるのが、看護必要度における看護記録です。記録監査を想定した「看護必要度をふまえた看護記録の書き方」と看護必要度B項目の看護記録例と解説をまとめています。

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記録監査をクリアする「看護必要度に応じた看護記録」とは

看護必要度が本格的に導入され、2016年においては大幅な改定がもたれました。看護必要度の普及により、これまでの看護師業務の重要な責任である「看護記録」の求められる書き方も変わってきました。今までは、患者の看護問題の看護問題にフォーカスした内容や看護目標を中心とした看護記録だったのが、それに加えて看護必要度の内容にフォーカスした看護記録である必要が出てきました。

 

つまり、今までは「患者がどんな状態だったか」「患者がどうかわったか」など、患者を主体とした内容が中心的でしたが、これからは「患者がどんな状態だったか」「患者がどうかわったか」の患者情報に加え、「看護師が何を行ったか」という看護師主体の看護記録も必要になってきたということです。看護師が行った詳細な日常生活の介助が、看護必要度の根拠となる看護記録になります。

 

といっても看護必要度も本格化され始めたばかりで、まだ看護記録については十分な指針がでていないのが現状です。定期的に行われる記録監査では、憶測ですが今後恐らく看護必要度の評価と、看護記録の整合性が問われるようになっていくでしょう。したがって看護必要度に応じた看護記録を残していくに越したことはありません。記録監査で「看護必要度」をありと評価する根拠は?証拠は?と聞かれても、看護記録にそれが明示されていれば、監査でひっかかることはないですからね。

この記事では看護必要度に応じた看護記録について、具体的にこれから看護師がどのような看護記録を書いていけばいいのか、説明しています。

 



そもそも看護必要度とはなにか

そもそも、看護必要度とは何でしょうか。

看護必要度とは、ひとことで言うと「入院患者に提供されるべき看護の必要量」をしめす指標です。看護の手間のかかり具合を、具体的に数値で示していきます。

2016年度診療報酬改定で、看護必要度のデータ提出が義務化され、今現在看護必要度はどの病院にも必然的に導入されている制度でもあります。

 

看護必要度は項目毎にA項目・B項目・C項目に分けられ、各項目毎に患者が対象となるかを毎日評価します。各項目の内容は以下のようになっています。

 

[A項目]

  • 創傷処置(①創傷の処置(褥瘡の処置を除く。),②褥瘡の処置)
  • 呼吸ケア(喀痰吸引のみの場合を除く。)
  • 点滴ライン同時3本以上の管理
  • 心電図モニターの管理
  • シリンジポンプの管理
  • 輸血や血液製剤の管理
  • 専門的な治療・処置

① 抗悪性腫瘍剤の使用(注射剤のみ)
② 抗悪性腫瘍剤の内服の管理
③ 麻薬の使用(注射剤のみ)
④ 麻薬の内服・貼付、坐剤の管理、
⑤ 放射線治療
⑥ 免疫抑制剤の管理
⑦ 昇圧剤の使用(注射剤のみ)
⑧ 抗不整脈剤の使用(注射剤のみ)
⑨ 抗血栓塞栓薬の持続点滴の使用、
⑩ ドレナージの管理
⑪ 無菌治療室での治療

  • 救急搬送後の入院

 

[B項目]

  • 寝返り
  • 移乗
  • 口腔清潔
  • 食事摂取
  • 衣服の着脱
  • 診療・療養上の指示が通じる
  • 危険行動

[C項目]

  • 開頭手術
  • 開胸手術
  • 開腹手術
  • 骨の手術
  • 胸腔鏡・腹腔鏡手術
  • 全身麻酔・脊椎麻酔の手術
  • 救命等に係る内科的治療

① 経皮的血管内治療

② 経皮的心筋焼灼術等の治療

③ 侵襲的な消化器治療

 

看護必要度の中でも、B項目は看護師の独立した業務であり、看護師の評価と判断が主となる項目です。

看護必要度について詳しく記載した記事がありますので、看護必要度がまだあまり理解できない方は、ぜひ一読ください。

看護師 看護必要度カルテ入力 看護必要度とは~概要まとめと定義 + 2016年の改定ポイントがわかる!~ 基礎からわかる看護必要度のまとめです。   看護必要度を学び始めた初心者向けに、「看護必要度ってなに?」って視点からわかりやすく説明しています。 看護必要度の目的や意味、2

 

 



看護必要度に適した看護記録の書き方

これだけの項目を持つ看護必要度が導入されたことで、必要となる看護記録のスタイルもかわってきました。

看護必要度に応じた看護記録に求められることは、「看護必要度の根拠となる」記録であることです。

看護必要度を「あり」と判断した理由がわかる記録内容であり、かつその看護介入を行った事実がわかる看護記録でなければならないのです。

これまでの看護問題や看護目標に沿った看護記録に加えて上記のような看護必要度に関する記録が必須になります。

 

看護必要度における看護記録に必要な要素

 

 

看護必要度のすべての項目において、証拠となる記録は必要ですが、特にB項目は看護師独自の独立した看護業務全般ですから、看護師による看護記録が重要いになってきます。看護必要度に応じた看護記録を書く上で、慣れないうちは看護必要度の表を見ながら漏れがないかチェックしつつ看護記録を書いていったほうがいいかもしれません。

 

具体的な看護記録の書き方は事項の「看護必要度B項目に応じた看護記録例」で説明します。

 



看護必要度B項目に応じた看護記録例

看護必要度B項目における看護記録の例を展開していきます。

 

事例詳細(術後の患者)

  • 術後1日目の患者(朝まで床上安静の指示あり)
  • 先日14時に帰室し、器質直後麻酔によって気分不良認めたため、制吐剤を使用した
  • 夜間腹痛あり、17:30、19:00の2回、硬膜外より鎮痛剤使用
  • 呼吸苦訴えあり、体位変換希望されたため、複数回看護師が体位交換介助を実施した
  • 夜間は疼痛訴えなく経過した
  • 朝ベッド挙上し咳嗽行う。自力で食事摂取
  • 食欲jなく昼食は5割ほど摂取。食後腹部膨満感あり
  • 清拭は全介助。頭がぼーっとすると訴えあり

 

事例を基にした経時的流れ

17:30

腹痛、悪心訴えあり。顔をしかめ苦痛強い。鎮痛剤、制吐剤使用。

面会者こられるも苦痛強く希望せず。マスクは呼吸苦感あるため、経鼻カニューレに変更した。

19:00

腹痛再度増強認める。硬膜外から鎮痛剤を注入する。

20:00

床上緩和しうとうとしている。体位交換希望あり、看護師にて実施する。

0:00

体位交換後、腹部膨満訴えあり。出血はない。

3:00

ウトウトしている。

7:00

表情は落ち着いている。頭痛あるため鎮痛剤を使用する。

8:00

ギャッチアップし、食事摂取するも食欲はない。

9:00

倦怠感強く、体動にて疼痛増強あるため、清拭は看護師により全介助にて行った。

 

事例「術後の患者」の看護必要度

事例での看護必要度B項目の評価は以下のようになります。赤字がこの事例患者の評価です。

B項目 評価
1:寝返り 0:できる 1:何かにつかまればできる ②:できない
2:移乗 0:できる 1:見守り・一部介助が必要 ②:できない
3:口腔清潔 0:できる ①:できない
4:食事摂取 0:介助なし ①:一部介助が必要 2:全介助
5:衣服の着脱 0:介助なし 1:一部介助が必要 ②:全介助
6:診療・療養上の指示が通じる ⓪:はい 1:いいえ
7:危険行動 ⓪:なし 1:あり

 

看護必要度B項目の定義詳細は以下の記事に記載しています。

【看護必要度の定義】A項目B項目C項目全文~2016年度診療報酬改定対応~ 以下に2016年度診療報酬改定 看護必要度A項目B項目C項目別の定義を記載しています。 [ads]kangodo[/ads]   看護必要度A項目B項目C項目の定義:共通事項

 

事例「術後の患者」に応じた看護記録例文

この事例では、看護必要度に応じた看護記録において、以下の一文のような記録方法が必要になります。

 

術後安静の指示、下腹部痛、悪心のため苦痛強く、自立して体動ができない。薬剤を用いて安楽を図り、夜間は体位変換を実施。朝は看護師がベッド挙上して準備を介助し、咳嗽と食事は自立して行った。腹痛と倦怠感、腹部膨満感のため全介助で清拭と寝衣交換を行った。痛みなどにより不眠と考えられるため、休息を確保しつつ離床を促していく。腹部の状態、出血の有無、歩行状態に留意して観察する。

 

看護記録例文

術後の侵襲による体力低下(易疲労性)、下腹部痛、悪心のため苦痛強く、自立して体動ができない。薬剤を用いて安楽に努め、夜間は体位変換を実施1・※2朝は看護師がベッド挙上して準備を介助し、咳嗽と食事は自立して行った※3・※4腹痛と倦怠感、腹部膨満感のため全介助で清拭と寝衣交換を行った※5指示は理解可能で、危険行動はみられない。※6・※7痛みなどにより不眠と考えられるため、休息を確保しつつ離床を促していく。腹部の状態、出血の有無、歩行状態に留意して観察する。※8

 

※1 = 寝返り の根拠と評価の看護記録

※2 = 移乗 の根拠と評価の看護記録

※3 = 口腔清潔 の根拠と評価の看護記録

※4 = 食事摂取 の根拠と評価の看護記録

※5 = 衣服の着脱 の根拠と評価の看護記録

※6 = 診療・療養上の指示が通じる の根拠と評価の看護記録

※7 = 危険行動 の根拠と評価の看護記録

※8 = 看護目標と看護計画についての記録

 

上記の看護記録では、看護必要度の評価の根拠を網羅しており、かつ看護目標と看護計画についての記録も記載されています。

看護必要度を「あり」と判断した理由がわかる記録内容であり、かつその看護介入を行った事実がわかる看護記録である条件をクリアできています。

なおかつこれまでの看護目標や看護問題についての記録も記載されているため、記録監査でも十分クリアできる内容になります。

 

引用参考文献:みてわかる看護記録[第2版]より

 

 



看護必要度における看護記録の書き方まとめ

看護必要度の始動に伴い、看護必要度に適した看護記録の適応も求められるようになるでしょう。

前述でも述べた通り、看護必要度に応じた看護記録に求められることは、「看護必要度の根拠となる」記録であることです。

看護必要度を「あり」と判断した理由がわかる看護記録であり、かつ看護介入を行った事実がわかる看護記録でなければなりません

 

これまでの看護記録に加え、看護必要度の項目で「あり」と評価する、すなわち加点する項目に関しては、その事実と加点する理由を看護記録に残すようにしましょう。

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