【看護必要度の定義】A項目B項目C項目全文~2016年度診療報酬改定対応~



シンママナースの マリアンナ です。

以下に2016年度診療報酬改定 看護必要度A項目B項目C項目別の定義を記載しています。

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看護必要度A項目B項目C項目の定義:共通事項

1.評価の対象

評価の対象は、7対1入院基本料、10 対1入院基本料、13対1入院基本料、地域包括ケア病棟入院料(地域包括ケア入院医療管理料を算定する場合も含む。以下「地域包括ケア病棟入院料等」という。)、回復期リハビリテーション病棟入院料1、看護必要度加算、一般病棟看護必要度評価加算、急性期看護補助体制加算、夜間看護職員配置加算、看護補助加算、を届出ている病棟に入院し、7対1入院基本料、10 対1 入院基本料、13対1入院基本料、地域包括ケア病棟入院料等若しくは回復期リハビリテーション病棟入院料1を算定している患者とし、患者に行われたモニタリング及び処置等(A項目)並びに患者の状況等(B項目)について、毎日評価を行うこと。ただし、地域包括ケア病棟入院料等及び回復期リハビリテーション料1については、評価はA 項目の評価のみとし、地域包括ケア病棟入院料等は毎日、回復期リハビリテーション病棟入院料1は入院時に評価を行う。

2.評価票の記入者評価票

評価票の記入者評価票の記入は、院内研修を受けたものが行うこと。院内研修の指導者は、関係機関あるいは評価に習熟したものが行う概ね2年以内の指導者研修を受けていることが望ましい。

3.評価項目の判断

評価の判断は、アセスメント共通事項、B項目共通事項と項目ごとの選択肢の判断基準等に従って実施すること。独自に定めた判断基準により評価してはならない。

4.評価時刻

評価時刻は24時とする。また、退院日については、退院時を評価時刻とする。

5.評価対象時間

評価対象時間は、0時から24時の24時間である。退院日は、評価退院当日の0時から退院時までを評価対象時間とする。重複や空白時間を生じさせない。
外出・外泊や検査・手術等の理由により、全ての評価対象時間の観察が行えない患者の場合であっても、当該病棟に在棟していた時間があった場合は、評価の対象とすること。ただし、評価対象日の0時から24時の間、外泊している患者は、当該外泊日については、評価対象とならない。

6.評価対象場所

当該病棟内を評価の対象場所とする。手術室や透析室、X線撮影室等、当該病棟以外で実施された治療・処置・看護や観察については、評価の対象場所に含めない。ただし、専門的な治療・処置の放射線治療の評価については、当該医療機関内における外部照射のみ、評価の対象場所とする。

7.評価対象の処置・介助等

当該病棟で実施しなければならない処置・介助の実施者、又は医師の補助の実施者は、当該病棟に所属する看護師等でなければならない。ただし、A項目の処置の評価において、薬剤の投与が行われている患者であることを評価する場合は、医師が単独で処置を行った後に、当該病棟の看護師等が当該処置を確認し、実施記録を残すことで評価に含めるものとする。A項目の処置の評価においては、訓練や退院指導等の目的で行った行為は評価の対象に含めないが、B項目の評価においては、患者の訓練を目的とした行為であっても看護師等が実施したものは評価の対象に含めるものとする。A項目の薬剤の評価については、臨床試験であっても評価の対象に含めるものとする。

8.評価の根拠

評価は、観察と記録に基づいて行い、推測は行わないこと。当日の実施記録が無い場合は評価できないため、A項目では「なし」、B項目では自立度の一番高い評価とする。第三者が、後日、監査を行う際に、記録から同一の評価を導く根拠となる記録を残しておく必要がある。しかし、項目ごとの記録を残す必要はなく、経過記録の中にモニタリング及び処置等や患者の状態等が記録されており、第三者が見て分かりやすい簡潔な記録であること。記録は、媒体の如何を問わず、当該医療機関で正式に承認・保管されているものでなければならず、医師の指示記録と当該病棟の看護師等による記録だけが評価の対象となる。



▼A モニタリング及び処置等

1 創傷処置

【項目の定義】
創傷処置は、①創傷の処置(褥瘡処置を除く)、②褥瘡の処置のいずれかの処置について、看護師等が医師の介助をした場合、あるいは看護師等が自ら処置を実施した場合に評価する項目である。

【選択肢の判断基準】
「なし」 創傷処置のいずれも実施しなかった場合をいう。
「あり」 創傷処置のいずれかを実施した場合をいう。

【判断に際しての留意点】
創傷処置に含まれる内容は、各定義及び留意点に基づいて判断すること。

① 創傷の処置(褥瘡処置を除く)

【定義】
創傷の処置(褥瘡処置を除く)は、創傷があり、創傷についての処置を実施した場合に評価する項目である。

【留意点】
ここでいう創傷とは、皮膚・粘膜が破綻をきたした状態であり、その数、深さ、範囲の程度は問わない。縫合創は創傷処置の対象に含めるが、縫合のない穿刺創は含めない。粘膜は、鼻・口腔・膣・肛門の粘膜であって、外部から粘膜が破綻をきたしている状態であることが目視できる場合に限り含める。気管切開口、胃瘻、ストーマ等の造設から抜糸まで、及び、滲出が見られ処置を必要とする場合は含めるが、瘻孔として確立した状態は含めない。ここでいう処置とは、創傷の治癒を促し感染を予防する目的で、洗浄、消毒、止血、薬剤の注入・塗布、ガーゼ・フィルム材等の創傷被覆材の貼付・交換等の処置を実施した場合をいい、診察、観察だけの場合やガーゼを剥がすだけの場合は含めない。また、VAC 療法(陰圧閉鎖療法)、眼科手術後の点眼及び排泄物の処理に関するストーマ処置は含めない。

② 褥瘡の処置

【定義】
褥瘡の処置は、褥瘡があり、褥瘡についての処置を実施した場合に評価する項目である。

【留意点】
ここでいう褥瘡とは、NPUAP 分類Ⅱ度以上又は DESIGN-R 分類 d2 以上の状態をいう。この状態に達していないものは、褥瘡処置の対象に含めない。ここでいう処置とは、褥瘡に対して、洗浄、消毒、止血、薬剤の注入・塗布、ガーゼ・フィルム材等の創傷被覆材の貼付・交換等の処置を実施した場合をいい、診察・観察だけの場合やガーゼを剥がすだけの場合は含めない。また、VAC 療法(陰圧閉鎖療法)は含めない。

【参考】
NPUAP 分類(National Pressure Ulcer of Advisory Panel)Ⅱ度以上 DESIGN-R 分類(日本褥瘡学会によるもの)d2 以上

2 呼吸ケア(喀痰吸引の場合を除く)

【項目の定義】
呼吸ケアは、酸素吸入、痰を出すための体位ドレナージ、スクウィージングのいずれかの処置に対して、看護師等が自ら行うか医師の介助を行った場合、あるいは人工換気が必要な患者に対して、看護師等が装着中の人工呼吸器の管理を行った場合に評価する項目である。

【選択肢の判断基準】
「なし」 呼吸ケアを実施しなかった場合をいう。
「あり」 呼吸ケアを実施した場合をいう。

【判断に際しての留意点】
喀痰の吸引のみの場合は呼吸ケアの対象に含めない。呼吸ケアにおける時間の長さや回数は問わない。酸素吸入の方法は問わない。人工呼吸器の種類や設定内容、あるいは気道確保の方法については問わないが、看護師等が、患者の人工呼吸器の装着状態の確認、換気状況の確認、機器の作動確認等の管理を実施している必要がある。また、人工呼吸器の使用に関する医師の指示が必要である。 NPPV(非侵襲的陽圧換気)の実施は含める。なお、気管切開の患者が喀痰吸引を行っているだけの場合は含めない。また、エアウェイ挿入、ネブライザー吸入は呼吸ケアには含めない。

3 点滴ライン同時3本以上の管理

【項目の定義】
点滴ライン同時3本以上は、持続的に点滴ライン(ボトル、バッグ、シリンジ等から末梢静脈、中心静脈、動静脈シャント、硬膜外、動脈、皮下に対する点滴、持続注入による薬液、輸血・血液製剤の流入経路)を3本以上同時に使用し、看護師等が管理を行った場合に評価する項目である。

【選択肢の判断基準】
「なし」 同時に3本以上の点滴の管理を実施しなかった場合をいう。
「あり」 同時に3本以上の点滴の管理を実施した時間があった場合をいう。

【判断に際しての留意点】
施行の回数や時間の長さ、注射針の刺入個所の数は問わない。2つのボトルを連結管で連結させて1つのルートで滴下した場合は、点滴ラインは1つとして数える。1 カ所に刺入されていても三方活栓等のコネクターで接続された点滴ラインは本数に数える。これら点滴ラインを利用して、側管から持続的に点滴する場合は数えるが、手動で注射を実施した場合は、持続的に使用しているといえないため本数に数えない。スワンガンツカテーテルの加圧バッグについては、薬液の注入が目的ではないため、本数に数えない。PCA(自己調節鎮痛法)による点滴ライン(携帯用を含む)は、看護師等が投与時間と投与量の両方の管理を行い、持続的に注入している場合のみ本数に数える。

4 心電図モニターの管理

【項目の定義】
心電図モニターの管理は、持続的に看護師等が心電図のモニタリングを実施した場合に評価する項目である。

【選択肢の判断基準】
「なし」 持続的な心電図のモニタリングを実施しなかった場合をいう。
「あり」 持続的な心電図のモニタリングを実施した場合をいう。

【判断に際しての留意点】
心電図の誘導の種類や心電図の誘導法の種類は問わない。機器の設置・準備・後片付けは含めない。心電図モニターの装着時間や回数は問わないが、医師の指示、心機能や呼吸機能障害を有する患者等に対して常時観察を行っている場合であって、看護師等による心電図の評価の記録が必要である。心電図の機器による自動的な記録のみの場合は心電図モニターの管理の対象に含めない。心電図検査として一時的に測定を行った場合は含まない。ホルター心電図は定義に従い、看護師等による持続的な評価の記録がある場合に限り含める。

5 シリンジポンプの管理

【項目の定義】
シリンジポンプの管理は、末梢静脈・中心静脈・硬膜外・動脈・皮下に対して、静脈注射・輸液・輸血・血液製剤・薬液の微量持続注入を行うにあたりシリンジポンプを使用し、看護師等が使用状況(投与時間、投与量等)を管理している場合に評価する項目である。

【選択肢の判断基準】
「なし」 末梢静脈・中心静脈・硬膜外・動脈・皮下に対して静脈注射・輸液・輸血・血液製剤・薬液の微量持続注入を行うにあたりシリンジポンプの管理をしなかった場合をいう。
「あり」 末梢静脈・中心静脈・硬膜外・動脈・皮下に対して静脈注射・輸液・輸血・血液製剤・薬液の微量持続注入を行うにあたりシリンジポンプの管理をした場合をいう。

【判断に際しての留意点】
末梢静脈・中心静脈・硬膜外・動脈・皮下に対して、静脈注射・輸液・輸血・血液製剤・薬液の微量持続注入をシリンジポンプにセットしていても、作動させていない場合には使用していないものとする。携帯用であってもシリンジポンプの管理の対象に含めるが、PCA(自己調節鎮痛法)によるシリンジポンプは、看護師等が投与時間と投与量の両方の管理を行い、持続的に注入している場合のみ含める。

6 輸血や血液製剤の管理

【項目の定義】
輸血や血液製剤の管理は、輸血(全血、濃厚赤血球、新鮮凍結血漿等)や血液製剤(アルブミン製剤等)の投与について、血管を通して行った場合、その投与後の状況を看護師等が管理した場合に評価する項目である。

【選択肢の判断基準】
「なし」 輸血や血液製剤を使用状況の管理をしなかった場合をいう。
「あり」 輸血や血液製剤を使用状況の管理をした場合をいう。

【判断に際しての留意点】
輸血、血液製剤の種類及び単位数については問わないが、腹膜透析や血液透析は輸血や血液製剤の管理の対象に含めない。自己血輸血、腹水を濾過して輸血する場合は含める。

7 専門的な治療・処置

【項目の定義】
専門的な治療・処置は、①抗悪性腫瘍剤の使用(注射剤のみ)、②抗悪性腫瘍剤の内服の管理、③麻薬注射薬の使用(注射剤のみ)、④麻薬の内服・貼付・坐剤の管理、⑤放射線治療、⑥免疫抑制剤の使用、⑦昇圧剤の使用(注射剤のみ)、⑧抗不整脈剤の使用(注射剤のみ)、⑨抗血栓塞栓薬の持続点滴の使用、⑩ドレナージの管理のいずれかの処置・治療を実施した場合に評価する項目である。

【選択肢の判断基準】
「なし」 専門的な治療・処置を実施しなかった場合をいう。
「あり」 専門的な治療・処置を一つ以上実施した場合をいう。

【判断に際しての留意点】
専門的な治療・処置に含まれる内容は、各定義及び留意点に基づいて判断すること。

① 抗悪性腫瘍剤の使用(注射剤のみ)

【定義】
抗悪性腫瘍剤の使用(注射剤のみ)は、固形腫瘍、血液系腫瘍を含む悪性腫瘍がある患者に対して、悪性腫瘍細胞の増殖・転移・再発の抑制、縮小、死滅、悪性腫瘍細胞増殖に関わる分子を阻害することを目的として抗悪性腫瘍の注射剤を使用した場合に評価する項目である。

【留意点】
抗悪性腫瘍剤は、殺細胞性抗がん剤、分子標的治療薬、ホルモン療法薬に大別されるが、薬剤の種類は問わない。注射薬の投与方法は、静脈内、動注、皮下注を抗悪性腫瘍剤の使用の対象に含める。抗悪性腫瘍剤を投与した当日のみを対象に含めるが、休薬中は含めない。ただし、これらの薬剤が抗悪性腫瘍剤として用いられる場合に限り含めるが、目的外に使用された場合は含めない。

② 抗悪性腫瘍剤の内服の管理

【定義】
抗悪性腫瘍剤の内服の管理は、固形腫瘍、血液系腫瘍を含む悪性腫瘍がある患者に対して、悪性腫瘍細胞の増殖・転移・再発の抑制、縮小、死滅、又は悪性腫瘍細胞増殖に関わる分子を阻害することを目的とした薬剤を使用した場合で、看護師等による内服の管理が実施されていることを評価する項目である。

【留意点】
抗悪性腫瘍剤は、殺細胞性抗がん剤、分子標的治療薬、ホルモン療法薬に大別されるが、薬剤の種類は問わない。内服の管理が発生しており、看護師等による特別な内服管理を要する患者に対し、その管理内容に関する計画、実施、評価の記録がある場合のみを抗悪性腫瘍剤の内服の管理の対象に含める。当該病棟の看護師等により、予め薬剤の使用に関する指導を実施した上で、内服確認及び内服後の副作用の観察をしていれば含めるが、看護師等が単に与薬のみを実施した場合は含めない。患者が内服の自己管理をしている場合であっても、計画に基づく内服確認、内服後の副作用の観察を行っていれば含める。抗悪性腫瘍剤を内服した当日のみを含めるが、休薬中は含めない。ただし、これらの薬剤が抗悪性腫瘍剤として用いられた場合に限り含め、目的外に使用された場合は含めない。

③ 麻薬注射薬の使用(注射剤のみ)

【定義】
麻薬注射薬の使用(注射剤のみ)は、痛みのある患者に対して、中枢神経系のオピオイド受容体に作用して鎮痛作用を発現することを目的として、麻薬注射薬を使用した場合に評価する項目である。

【留意点】
ここでいう麻薬とは、「麻薬及び向精神薬取締法」により麻薬として規制されており、麻薬処方箋を発行させなければならない薬剤である。注射薬の投与の方法は、静脈内、皮下、硬膜外、くも膜下を対象に含める。麻薬を投与した当日のみを麻薬注射薬の使用の対象に含めるが、休薬中は含めない。

④麻薬の内服・貼付の管理

【定義】
麻薬の内服・貼付、坐剤の管理は、痛みのある患者に対して、中枢神経系のオピオイド受容体に作用して鎮痛作用を発現する薬剤の内服・貼付、坐剤を使用した場合で、看護師等による内服・貼付、坐剤の管理が実施されていることを評価する項目である。

【留意点】
ここでいう麻薬とは、「麻薬及び向精神薬取締法」により麻薬として規制されており、麻薬処方箋を発行させなければならない薬剤である。看護師等による麻薬の内服、貼付、もしくは坐剤の管理(肛門又は膣への挿入)が発生しており、看護師等による特別な管理を要する患者に対し、その管理内容に関する計画、実施、評価の記録がある場合にのみ、麻薬の内服、貼付、坐剤の管理の対象に含める。当該病棟の看護師等により、予め薬剤の使用に関する指導を実施した上で、内服確認、及び内服後の副作用の確認をしていれば含めるが、看護師等が単に与薬のみを実施した場合は含めない。患者が内服、貼付、坐剤の自己管理をしている場合であっても、計画に基づく内服確認、内服後の副作用の観察をしていれば含める。麻薬の内服・貼付、坐剤を使用した当日のみを含めるが、休薬中は含めない。

⑤ 放射線治療

【定義】
放射線治療は、固形腫瘍、血液系腫瘍を含む悪性腫瘍がある患者に対して、病変部にX線、ガンマ線、電子線等の放射線を照射し、そのDNA分子間の結合破壊(電離作用)により目標病巣を死滅させることを目的とした局所療法を実施した場合に評価する項目である。

【留意点】
照射方法は、外部照射と内部照射(腔内照射、小線源治療)を問わない。放射線治療の対象には、エックス線表在治療、高エネルギー放射線治療、ガンマナイフ、直線加速器(リニアック)による定位放射線治療、全身照射、密封小線源治療、放射性同位元素内用療法を放射線治療に含む。管理入院により、継続して内部照射を行なっている場合は、治療期間を通して評価の対象に含める。外部照射の場合は照射日のみを含めるが、外部照射の場合であっても、院外での実施は含めない。

⑥ 免疫抑制剤の管理

【定義】
免疫抑制剤の管理は、自己免疫疾患の患者に対する治療、又は、臓器移植を実施した患者に対して拒絶反応防止の目的で免疫抑制剤が使用された場合で、看護師等による注射及び内服の管理が実施されていることを評価する項目である。

【留意点】
注射及び内服による免疫抑制剤の投与を免疫抑制剤の管理の対象に含める。内服については、看護師等による特別な内服管理を要する患者に対し、内服の管理が発生しており、その管理内容に関する計画、実施、評価の記録がある場合のみを免疫抑制剤の内服の管理の対象に含める。当該病棟の看護師等により予め薬剤の使用に関する指導を実施した上で、内服確認及び内服後の副作用の観察をしていれば含めるが、看護師等が単に与薬のみを実施した場合は含めない。患者が内服の自己管理をしている場合であっても、計画に基づく内服確認、内服後の副作用の観察をしていれば含める。免疫抑制剤を投与した当日のみを含めるが、休薬中は含めない。ただし、これらの薬剤が免疫抑制剤として用いられる場合に限り含め、目的外に使用された場合は含めない。輸血の際に拒絶反応防止の目的で使用された場合や副作用の軽減目的で使用した場合も含めない。

⑦ 昇圧剤の使用(注射剤のみ)

【定義】
昇圧剤の使用は、ショック状態、低血圧状態、循環虚脱の患者に対して、血圧を上昇させる目的で昇圧剤を使用した場合に評価する項目である。

【留意点】
昇圧剤の注射薬を使用している場合に限り、昇圧剤の使用の対象に含める。昇圧剤を使用した当日のみを評価し、休薬中は含めない。ただし、これらの薬剤が昇圧剤として用いられる場合に限り含め、目的外に使用された場合は含めない。

⑧ 抗不整脈剤の使用(注射剤のみ)

【定義】
抗不整脈剤の使用(注射剤のみ)は、不整脈のある患者に対して、不整脈の発生を抑えることを目的として抗不整脈剤の注射薬を使用した場合に評価するものである。

【留意点】
抗不整脈剤の注射薬を使用している場合に限り不整脈剤の使用の対象に含める。抗不整脈剤を使用した当日のみを評価し、休薬中は含めない。ただし、これらの薬剤が抗不整脈剤として用いられる場合に限り含め、目的外に使用された場合は含めない。精神安定剤等を不整脈の抑制目的として使用した場合も含めない。

⑨ 抗血栓塞栓薬の持続点滴の使用

【定義】
抗血栓塞栓薬の持続点滴の使用は、冠動脈疾患、肺血栓塞栓症、脳梗塞、深部静脈血栓症等の静脈・動脈に血栓・塞栓が生じているもしくは生じることが疑われる急性疾患の患者に対して、血栓・塞栓を生じさせないもしくは減少させることを目的として、抗血栓塞栓薬を持続的に点滴した場合に評価する項目である。

【留意点】
手術の有無を問わず、薬剤の種類、量を問わない。持続的に血液凝固阻害薬(ヘパリン、ワルファリン等)、血小板凝固阻害薬(アスピリン等)、血栓溶解薬(アルテプラーゼ、アボキナーゼ〈ウロキナーゼ〉等)等を投与した場合を抗血栓塞栓薬の持続点滴の対象に含める。抗血栓塞栓薬の持続点滴は、持続的に投与していた当日のみを評価し、休薬中は含めない。点滴ラインが設置されていても常時ロックされている場合は含めない。ただし、これらの薬剤が抗血栓塞栓薬として用いられる場合に限り含め、目的外に使用された場合は含めない。

⑩ ドレナージの管理

【定義】
ドレナージの管理とは、排液、減圧の目的として、患者の創部や体腔に誘導管(ドレーン)を継続的に留置し、滲出液や血液等を直接的に体外に誘導し、排液バッグ等に貯留する場合に評価する項目である。

【留意点】
誘導管は、当日の評価対象時間の間、継続的に留置されている場合にドレナージの管理の対象に含める。当日に設置して且つ抜去した場合は含めないが、誘導管を設置した日であって翌日も留置している場合、又は抜去した日であって前日も留置している場合は、当日に 6 時間以上留置されていた場合には含める。胃瘻(PEG)を減圧目的で開放する場合やペンローズドレーン、フィルムドレーン等を使用し誘導する場合であっても定義に従っていれば含める。体外へ直接誘導する場合のみ評価し、体内で側副路を通す場合は含めない。また、腹膜透析や血液透析は含めない。経尿道的な膀胱留置カテーテル(尿道バルンカテーテル)は含めないが、血尿がある場合は、血尿の状況を管理する場合に限り評価できる。VAC 療法(陰圧閉鎖療法)は、創部に誘導管(パッドが連結されている場合を含む)を留置して、定義に従った処置をしている場合は含める。定義に基づき誘導管が目的に従って継続的に留置されている場合に含めるものであるが、抜去や移動等の目的で、一時的であればクランプしていても良いものとする。

8 救急搬送後の入院

【項目の定義】
救急搬送後の入院は、救急用の自動車(市町村または都道府県の救急業務を行うための救急隊の救急自動車に限る)又は救急医療用ヘリコプターにより当該医療機関に搬送され、入院した場合に評価する項目である。

【判断基準】
「なし」救急用の自動車又は救急医療用ヘリコプター以外により搬送され入院した場合をいう。
「あり」 救急用の自動車又は救急医療用ヘリコプターにより搬送され入院した場合をいう。

【判断に際しての留意点】
救急搬送後の患者が、直接、評価対象病院に入院した場合のみを評価の対象とし、救命救急病棟、ICU等の治療室にいったん入院した場合は、評価の対象に含めない。ただし手術室を経由して評価対象病棟に入院した場合は評価の対象に含める。 誘因当日含め、翌日までを評価の対象とする。

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▼B 患者の状況等

【B項目共通事項】

  1. 義手・義足・コルセット等の装具を使用している場合には、装具を装着した後の状態に基づいて評価を行う。
  2. 評価時間帯のうちに状態が変わった場合には、自立度の低い方の状態をもとに評価を行うこと。
  3. 医師の指示によって、当該動作が制限されている場合には、「できない」又は「全介助」とする。この場合、医師の指示に係る記録があること。
  4. 当該動作が制限されていない場合には、動作を促し、観察した結果を評価すること。動作の確認をしなかった場合には、通常、介助が必要な状態であっても「できる」又は「介助なし」とする。
  5. ただし、動作が禁止されているにもかかわらず、患者が無断で当該動作を行ってしまった場合には「できる」とする。

9 寝返り

【項目の定義】
寝返りが自分でできるかどうか、あるいはベッド柵、ひも、バー、サイドレール等の何かにつかまればできるかどうかを評価する項目である。ここでいう『寝返り』とは、仰臥位から(左右どちらかの)側臥位になる動作である。

【選択肢の判断基準】
「できる」何にもつかまらず、寝返り(片側だけでよい)が1人でできる場合をいう。
「何かにつかまればできる」 ベッド柵、ひも、バー、サイドレール等の何かにつかまれば1人で寝返りができる場合をいう。
「できない」
介助なしでは1人で寝返りができない等、寝返りに何らかの介助が必要な場合をいう。

【判断に際しての留意点】
「何かにつかまればできる」状態とは、看護師等が事前に環境を整えておくことによって患者自身が1人で寝返りができる状態であり、寝返りの際に、ベッド柵に患者の手をつかまらせる等の介助を看護師等が行っている場合は「できない」となる。

10 移乗

【項目の定義】
移乗が自分でできるかどうか、あるいは看護師等が見守りや介助を行っているかどうかを評価する項目である。ここでいう『移乗』とは、「ベッドから車椅子へ」、「ベッドからストレッチャーへ」、「ベッドからポータブルトイレへ」等、乗り移ることである。

【選択肢の判断基準】
「できる」 介助なしで移乗できる場合をいう。這って動いても、移乗が自分でできる場合も含む。
「見守り・一部介助が必要」 直接介助をする必要はないが事故等がないように見守る場合、あるいは自分では移乗ができないため他者が手を添える、体幹を支える等の一部介助が行われている場合をいう。ストレッチャーへの移動の際に、患者が自力で少しずつ移動できる場合、看護師等が危険のないように付き添う場合も「見守り・一部介助が必要」となる。
「できない」 自分では移乗が全くできないために、他者が抱える、運ぶ等の全面的に介助が行われている場合をいう。

【判断に際しての留意点】
患者が自分では動けず、イージースライダー等の移乗用具を使用する場合は「できない」となる。車椅子等への移乗の際に、立つ、向きを変える、数歩動く等に対して、患者自身も行い(力が出せており)、看護師等が介助を行っている場合は、「見守り・一部介助が必要」となる。医師の指示により、自力での移乗を制限されていた場合は「できない」とする。移乗が制限されていないにもかかわらず、看護師等が移乗を行わなかった場合は、「できる」とする。

11 口腔清潔

【項目の定義】
口腔内を清潔にするための一連の行為が自分でできるかどうか、あるいは看護師等が見守りや介助を行っているかどうかを評価する項目である。一連の行為とは、歯ブラシやうがい用の水等を用意する、歯磨き粉を歯ブラシにつける等の準備、歯磨き中の見守りや指示、磨き残しの確認等も含む。口腔清潔に際して、車椅子に移乗する、洗面所まで移動する等の行為は、口腔清潔に関する一連の行為には含まれない。

【選択肢の判断基準】
「できる」 口腔清潔に関する一連の行為すべてが自分でできる場合をいう。
「できない」 口腔清潔に関する一連の行為のうち部分的、あるいはすべてに介助が行われている場合をいう。

【判断に際しての留意点】
口腔内の清潔には、『歯磨き、うがい、口腔内清拭、舌のケア等の介助から義歯の手入れ、挿管中の吸引による口腔洗浄、ポピドンヨード剤等の薬剤による洗浄』も含まれる。舌や口腔内の硼砂グリセリンの塗布、口腔内吸引のみは口腔内清潔に含まない。また、歯がない場合は、うがいや義歯の清潔等、口腔内の清潔に関する類似の行為が行われているかどうかに基づいて判断する。ただし、口腔清潔が制限されていないにも関わらず、看護師等が口腔清潔を行わなかった場合は、「できる」とする。

12  食事摂取

【項目の定義】
食事介助の状況を評価する項目である。ここでいう食事摂取とは、経口栄養、経管栄養を含み、朝食、昼食、夕食、補食等、個々の食事単位で評価を行う。中心静脈栄養は含まれない。食事摂取の介助は、患者が食事を摂るための介助、患者に応じた食事環境を整える食卓上の介助をいう。厨房での調理、配膳、後片付け、食べこぼしの掃除、車椅子に座らせる、エプロンをかける等は含まれない。

【選択肢の判断基準】
「介助なし」介助・見守りなしに自分で食事が摂取できる場合をいう。箸やスプーンのほかに、自助具等を使用する場合も含まれる。食止めや絶食となっている場合は、介助は発生しないので「介助なし」とする。
「一部介助」必要に応じて、食事摂取の行為の一部を介助する場合をいう。また、食卓で食べやすいように配慮する行為(小さく切る、ほぐす、皮をむく、魚の骨をとる、蓋をはずす等)が行われている場合をいう。必要に応じたセッティング(食べやすいように配慮する行為)等、食事中に1つでも介助すれば「一部介助」とする。見守りや指示が必要な場合も含まれる。
「全介助」自分では全く食べることができず全面的に介助されている場合をいい、食事開始から終了までにすべてに介助を要した場合は「全介助」とする。

【判断に際しての留意点】
食事は、種類は問わず、一般(普通)食、プリン等の経口訓練食、水分補給食、経管栄養すべてをさし、摂取量は問わない。経管栄養の評価も、全面的に看護師等が行っている場合は「全介助」となり、患者が自立して1人で行った場合は「介助なし」となる。ただし、経口栄養と経管栄養のいずれも行っている場合は、「自立度の低い方」で評価する。家族が行った行為、食欲の観察は含めない。また、看護師等が行う、パンの袋切り、食事の温め、果物の皮むき、卵の殻むき等は「一部介助」とする。セッティングしても患者が食事摂取を拒否した場合は「介助なし」とする。

13 衣服の着脱

【項目の定義】
衣服の着脱を看護師等が介助する状況を評価する項目である。衣服とは、患者が日常生活上必要とし着用しているものをいう。パジャマの上衣、ズボン、寝衣、パンツ、オムツ等を含む。

【選択肢の判断基準】
「介助なし」 介助なしに自分で衣服を着たり脱いだりしている場合をいう。また、当日、衣服の着脱の介助が発生しなかった場合をいう。自助具等を使って行っている場合も含む。
「一部介助」 衣服の着脱に一部介助が行われている場合をいう。例えば、途中までは自分で行っているが、最後に看護師等がズボン・パンツ等を上げている場合等は、「一部介助」に含む。看護師等が手を出して介助はしていないが、転倒の防止等のために、見守りや指示が行われている場合等も「一部介助」とする。
「全介助」 衣服の着脱の行為すべてに介助が行われている場合をいう。患者自身が、介助を容易にするために腕を上げる、足を上げる、腰を上げる等の行為を行っても、着脱行為そのものを患者が行わず、看護師等がすべて介助した場合も「全介助」とする。

【判断に際しての留意点】
衣服の着脱に要する時間の長さは判断には関係しない。通常は自分で衣服の着脱をしているが、点滴が入っているために介助を要している場合は、その介助の状況で評価する。

14  診療・療養上の指示が通じる

【項目の定義】
指示内容や背景疾患は問わず、診療・療養上の指示に対して、理解でき実行できるかどうかを評価する項目である

【選択肢の判断基準】
「はい」 診療・療養上の指示に対して、適切な行動が常に行われている場合、あるいは指示通りでない行動の記録がない場合をいう。
「いいえ」診療・療養上の指示に対して、指示通りでない行動が1回でもみられた場合、かつ指示通りでない行動の記録がある場合をいう。

【判断に際しての留意点】
精神科領域、意識障害等の有無等、背景疾患は問わない。指示の内容は問わないが、あくまでも診療・療養上で必要な指示であること、及びその指示が適切な時刻に行われた状態で評価されることを前提とする。医師の話を理解したように見えても、意識障害等により指示を理解できない場合や、自分なりの解釈を行い結果的に、療養上の指示から外れた行動をした場合は「いいえ」とする。少しでも反応があやふやであったり、何回も同様のことを言ってきたり、看護師等の指示と違う行動をするようであれば、「いいえ」と判断する。

15  危険行動

【項目の定義】
患者の危険行動の有無を評価する項目である。ここでいう「危険行動」は、「治療・検査中のチューブ類・点滴ルート等の自己抜去、転倒・転落、自傷行為」及び看護師等が「そのまま放置すれば危険行動に至ると判断する行動」が確認された場合をいう。

【選択肢の判断基準】
「ない」 過去1週間以内に危険行動がなかった場合をいう。
「ある」過去1週間以内に危険行動があった場合をいう。

【判断に際しての留意点】
患者の危険行動にあたっては、適時のアセスメントと適切な対応、並びに日々の評価を前提としている。この項目は、その上で、なお発生が予測できなかった危険行動の事実とその対応の手間を評価する項目であり、対策をもたない状況下で発生している危険行動の有無を評価するものではない。認知症等の有無や、日常生活動作能力の低下等の危険行動を起こす疾患・原因等の背景や、行動の持続時間等の程度を判断の基準としない。なお、病室での喫煙や大声を出す・暴力を振るう等の、いわゆる迷惑行為は、この項目での定義における「危険行動」には含めない。

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▼C項目:手術等の医学的状況

【C項目共通事項の概要】

  1. 検査のみを実施した場合には評価の対象とはならない
  2. 同一疾患に起因した一連の再手術の場合は初回の手術のみ評価の対象とする
  3. 判断基準に示された術当日からの期間については術当日を含む日数である

開頭手術(7日間)

  • 開頭により頭蓋内に達する方法による手術
  • 穿頭及び内視鏡下に行われた手術は含めない

開胸手術(7日間)

  • 胸壁を切開し胸腔に達する方法による手術(胸骨正中切開により縦隔に達するものも含む)
  • 胸腔鏡下に行われた手術は含めない

開腹手術(5日間)

  • 腹壁を切開し腹腔・骨盤腔内の臓器に達する方法による手術(腹膜を切開せず後腹膜腔の臓器に達する場合を含む)
  • 腹腔鏡下に行われた手術は含めない

骨の手術(5日間)

  • 骨切り又は骨の切除・移植を要する手術(指(手、足)の手術は除く)
  • 関節置換・骨頭挿入に係る手術
  • 下肢・骨盤の骨接合に係る手術(指(足)は除く)
  • 脊椎固定に係る手術又は骨悪性腫瘍に係る手術

胸腔鏡・腹腔鏡手術(3日間)

  • 胸腔鏡下に胸腔に達する手術(縦隔に達するものも含む)
  • 腹腔鏡下に腹腔・骨盤腔内の臓器に達する手術(後腹膜腔の臓器に達する場合も含む)

全身麻酔・脊椎麻酔の手術(2日間)

  • 上記5項目に該当しないもので全身麻酔下、脊椎麻酔下に行われた手術

救命等に係る内科的治療

①経皮的血管内治療(2日間)
  • 経皮的な脳血管内治療
  • t-PA療法
  • 冠動脈カテーテル治療
  • 胸部又は腹部のステントグラフト挿入術
  • 選択的血管塞栓による止血術
  • 検査のみの場合は含めない
②経皮的心筋焼灼術等の治療(2日間)
  • 経皮的心筋焼灼術
  • 体外ペースメーキング術
  • ペースメーカー移植術
  • 除細動器移植術
  • ペースメーカー交換術及び除細動器交換術は含めない
  • 体外ペースメーキング術は、1入院中に初回に実施した日から2日間までに限り評価を行う
③侵襲的な消化器治療(2日間)
  • 内視鏡による胆道・膵管に係る治療
  • 内視鏡的早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術
  • 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法
  • 緊急時の内視鏡による消化管止血術
  • 検査のみの場合は含めない
  • 内視鏡的早期悪性腫瘍粘膜切除術又は内視鏡的ポリープ切除術を実施した場合は含めない
  • 緊急時の内視鏡による消化管止血術は、慢性疾患に対して予定された止血術や硬化療法を行う場合、同一病変について1入院中に再止血を行う場合、内視鏡治療に起因する 出血に対して行った場合等は含めない
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