【看護必要度】B項目「危険行動」の定義と評価まとめ:かんたん演習問題つき



シンママナースの マリアンナ です。

2016年度、患者の状態を示す看護必要度B項目の「危険行動」の定義、あてはまる条件をかんたんにまとめています。試験対策にもなる演習問題つきです。

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看護必要度B項目「危険行動」の定義

項目の定義
患者の危険行動の有無を評価する項目。
「危険行動」は、
「治療・検査中のチューブ類・点滴ルート等の自己抜去、転倒・転落、自傷行為」
の発生 及び
「そのまま放置すれば危険行動に至ると判断する行動」
を過去1週間以内の評価対象期間に看護職員等が確認した場合をいう。
選択肢の判断基準
ない:過去1週間以内に危険行動がなかった場合をいう。
ある:過去1週間以内に危険行動があった場合をいう。
判断に際しての留意点
危険行動の評価は、適時のアセスメントと適切な対応、日々の危険行動への対策を前提としている。
上記の前提がなされた上で、発生が予測できなかった危険行動の事実とその対応の手間を評価する項目である。
対策をしていない状況で起きた危険行動を評価するものではない。対策された状況下で発生した危険行動が確認でき、評価当日にも当該対策がもたれている場合に評価の対象に含める。認知症等の有無や、日常生活動作能力の低下等の危険行動を起こす疾患・原因等の背景、行動の持続時間等の程度を判断の基準としない。

病室での喫煙や大声を出す・暴力を振るう等の、いわゆる迷惑行為は、この項目での定義における「危険行動」には含めない。他施設からの転院、他病棟からの転棟の際は、看護職員等が記載した記録物により評価対象期間内の「危険行動」が確認できる場合は、評価の対象に含める。

 

「危険行動の評価基準について」日本看護協会から追加説明

看護必要度における危険行動について、看護協会からは以下のように補足されている。

(平成 28 年 3 月 29 日 公益社団法人 日本看護協会 発行「平成 28 年度診療報酬改定に関する Q&A(その 1)」より)

 

「15.危険行動」の評価基準となるものは「危険行動に対する対策をとっていることが前提条件」となる。

 

以下が参考一文。

「14.診療・療養上の指示が通じる」「15.危険行動」の評価基準となるものは何か。記録・看護計画があることが前提条件か。
A.一般病棟用の重症度、医療・看護必要度に係る評価票「評価の手引き」13 ページ参照。危険行動に対する対策をとっていることが前提条件となる。

((2)B 項目についてQ3.より抜粋)

 

要は、危険行動に対する対策をとってないと、そもそも危険行動の患者を看護してるなんて、言わないよ?って言いたいんでしょうね。

危険行動がある患者を看護してるなら、絶対的に危険行動に対する対策をしてることが重要になると・・。

うーん、なんかこれって読み手の捉え方によっちゃぁ、抑制を助長してしまいそうな気もする。余談ですけどね。

 

評価場所

一般病棟 及び 集中治療室

 



看護必要度B項目「危険行動」にあてはまる条件

看護必要度B項目「危険行動」にあてはまるか、あてはまらないかを評価するのは、以下の要点をおさえる必要がある。

 

看護必要度B項目「危険行動」にあてはまる条件

  • 1週間以内に治療に影響する危険行動(点滴ルートや経鼻チューブ、胃瘻チューブの自己抜去、転倒転落や自殺行為などの自傷行為)がある、もしくは考えられる患者。
  • かつその危険行動に対し対策がされ、看護職員等の記録などからその事実が確認できる場合。

 

看護必要度B項目「危険行動」にあてはまらない条件

  • 危険行動を確認したが危険行動に対して対策をしていない場合。
  • 大声を出す、暴力をふるうなどの迷惑行為の範疇である場合。

 

 



看護必要度B項目「危険行動」の定義と評価まとめ

看護必要度B項目「危険行動」にあてはまるか・あてはまらないかの評価ポイントは、

 

  • 危険行動があるか・ないか
  • その危険行動に対し対策がなされているか
  • 危険行動は1週間以内に看護職員等によって確認されているか(証拠となる記録があるか)

 

の3つに焦点を絞れます。

ここでいう危険行動は、治療を妨げるようなものや、自傷行為をさします。

他者に対する暴力や大声を出す等の迷惑行為は含まれません。

 

 



看護必要度B項目「危険行動」の看護記録、書き方と留意点

看護必要度B項目「危険行動」の看護必要度をとるためには、患者の危険行動に対する看護記録が重要になってきます。

それが危険行動の証拠となるわけです。

 

看護必要度B項目「危険行動」の看護記録を残す上で、必ず記載する要点は以下の4つです。

 

  • 該当患者はどのような危険行動を起こしていたか
  • その危険行動に対し行っていた対策は何か
  • その危険行動からアセスメントされる予測はどのようなものか
  • 危険行動に対してどのような対策を行ったか

 

看護必要度B項目「危険行動」看護記録の例

 

症例ケース:

重度認知症の患者。末梢点滴により補液を行っているが、自己抜去してしまう。

点滴抜去しないよう説明するも指示入らず。安全帯の同意は得ている。

点滴刺入部は見えないよう包帯で保護している。

 

看護記録:

S: これ、いらないんです。抜こうと思って。

 

O:  Ns訪床時 上記S

 

点滴刺入部を保護していた包帯をはずし、予測される危険行動に対し行っていた対策①

点滴を引っ張り抜こうとしているところを発見する現在起こっている危険行動②

 

点滴自己抜去しないよう説明するも指示入らず

家族から安全帯の同意は得ている

 

A:  点滴を自己抜去する可能性があり、点滴治療の継続が困難である今後考えられる危険行動の判断③

 

P:  点滴補液中両上肢安全帯着用し様子観察とする上記判断に対し行った危険行動の対策⓸

 

 

看護必要度B項目「危険行動」看護記録の例:解説

 

この看護記録の中には、看護必要度B項目「危険行動」の定義にあてはまる4つのポイントを網羅しています。

 

  • 該当患者はどのような危険行動を起こしていたか = 下線②
  • その危険行動に対し行っていた対策は何か  = 下線①
  • その危険行動からアセスメントされる予測はどのようなものか = 下線③
  • 危険行動に対してどのような対策を行ったか = 下線⓸

 

例となる看護記録はこの4つのポイントをおさえた書き方になるよう、看護記録をまとめています。

看護必要度で看護必要度B項目「危険行動」が「あり」と判断できる証拠として、この4つのポイントをおさえた看護記録が重要になります。

 

看護必要度B項目「危険行動」の定義のうち、「危険行動の評価は、適時のアセスメントと適切な対応、日々の危険行動への対策を前提としている」とあり、日々の経時的な危険行動に対する記録が看護必要度の「あり・なし」を分ける条件になってくるわけです。定義には「過去1週間以内に危険行動があった場合」という期限も定義されており、定期的な危険行動に対するアセスメントとその記録が必要になってきます。

 

看護必要度B項目「危険行動」で「あり」となる看護記録を書くには、必ず

  • 患者が危険行動を起こしていた事実
  • 危険行動を起こさないよう行っていた対策
  • 現状から考えられる危険行動
  • 考えられる危険行動に対する対策

を看護記録に残すようにしましょう。

 

また1週間以上危険行動に対し評価を行わない場合、看護必要度B項目「危険行動」が評価できないこともあるので、危険行動に対するコンスタントなアセスメントと看護記録が必要になります。

 

 

 



看護必要度B項目「危険行動」の演習問題

 

演習問題1.

患者が転倒した。その直後からその患者に対し転倒対策を行った日の、「危険行動」の評価は「あり」か「なし」か。

 

 

演習問題1.解答

なし

 

演習問題1.解説

転倒はB項目「危険行動」の危険行動にあてはまるが、この場合もともと危険行動に対し対策がとられていなかった。

B項目「危険行動」の定義は、危険行動の評価は、適時のアセスメントと適切な対応、日々の危険行動への対策を前提としているため、危険行動対策がされておらず転倒を起こしたこのケースは、「危険行動」は「なし」となる。

 

 

 

演習問題2.

患者が看護職員に対し、暴力行為と大声を出す行動が見られた。この症例の「危険行動」の評価は「あり」か「なし」か。

 

 

演習問題2.解答

なし

 

演習問題2.解説

看護必要度における「危険行動」の評価は、治療を妨げる危険行動と自傷行為であり、病室での喫煙や大声を出す・暴力を振るう等の、いわゆる迷惑行為は、この項目での定義における「危険行動」には含めない、と定義されている。

すなわちこの大声と暴力という迷惑行為の場合、「危険行動」は「なし」と評価される。

 

 

 

演習問題3

過去1週間に危険行動があり、対し対策を行っていた患者。継続的に危険行動に対するアセスメントと対策の記録が残されている。

本日患者が危険行動を起こしたが、たまたま対策が行われていなかった。

この場合「危険行動」の評価は「あり」か「なし」か。

 

演習問題3.解答

なし

 

演習問題3.解説

看護必要度における「危険行動」の判断基準として、対策をしていない状況で起きた危険行動は評価しないと定義の留意点に記載されている。

経時的に危険行動のアセスメントを行い、対策が行われていても、危険行動が発生したときに対策がされていなかった場合、必然的に危険行動の評価は「なし」となる。

 

 

↓看護必要度 B項目のテスト問題は以下記事へ↓

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