【専門看護師】って何?種類と役割、給料や認定試験あれこれ



シンママナースの マリアンナ です。

 

専門看護師の種類、役割、専門看護師になる方法、給料や人気のある専門看護師についてまとめています。

専門看護師


専門看護師とは

専門看護師(本記事では下記の各種の専門看護師を含めて「専門看護師」と表記する。狭い意味で専門看護師を指す場合は「(狭義の)」と付加する。)とは、

複雑多様な看護問題に対して、高水準・効率的な看護ケアを提供する専門看護制度において、認定審査に合格した看護師のことです。特定専門分野の技術・知識を深め、保健福祉や看護学の発展への貢献も期待されています。

 



専門看護師の種類

専門看護師には(狭義の)専門看護師、認定看護師、認定看護管理者、特定行為に係る看護師(特定看護師)の4種類が存在します。 専門看護師、認定看護師の分類は専門とする分野を基準としています。専門看護師はがん看護、精神看護など独立した深さと広がりのある11分野を扱い、認定看護師は救急看護、皮膚・排泄ケアなど高度化、専門分化し熟練した技術知識を要する21分野を扱います。認定看護師管理者は個人、家族、地域に対して質の高いサービスの提供に加え、看護管理者の教育を主な役割とします。教育という面を考慮すると専門看護師、認定看護師とは性質が異なっています。特定行為に係る看護師は、実践的な理解力と高度専門的な技能を要する診療の補助(特定行為)を行う看護師です。特定行為としては経口用機関チューブ又は経鼻用器官チューブの位置の調整や侵襲的陽圧換気の設定の変更など、相当の専門性を有する38行為が認定されています。診療の補助という点で専門看護師、認定看護師とは異なります。

 



専門看護師の役割

(狭義の)専門看護師は、「実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究」の6つの役割の下、専門性の高い問題の解決や看護の質の向上を目指します。具体的には、難しい問題を抱えた患者やその家族の状況を踏まえた必要な看護の種類の決定と実践、他の看護師や医師、訪問看護ステーションなど医療機関へのアドバイス・連携の推進、医療と倫理が衝突し問題が起こりがちな場面での調整、看護師の教育、日々の業務から発見した課題の研究とその成果の還元、が挙げられます。 認定看護師は「実践・指導・相談」を役割としています。

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認定された分野はどれも高度な専門性を有しているため、認定看護師が患者と家族に対して専門知識が専門知識に基づいて判断、実践することが求められています。また持ちあわせた高水準の経験・技能を生かして他の看護師の手本となること、現場での疑問質問の相談に乗り解決することも仕事です。 認定看護管理者は、自分の組織の課題を発見し組織に働きかけて解決に努め、組織全体を見渡しサービス体制の向上と他の組織間との連携を図ります。例えば、保健医療福祉の政策的な分析と経営的な視点からのサービスの検討、教育体制の整備と適材適所の人材配置、王道環境の調整などです。病院の副委員長・看護部長や、訪問看護ステーションの所長など管理者として活動しています。 特定行為に係る看護師の役割は、上記の通り専門的な医療行為の補助です。

 



専門看護師になるには

年1回、日本看護協会が行う専門看護師認定審査に合格し手続きを経て専門看護師になることができます。

①日本の看護師免許を有する

②看護系教育課程基準で必要単位を取得している

③専門看護師に必要な実務研修を経ている

の3つが受験資格となります。

申請はWEBで行い、審査料(50,760円)と書類の提出が必要です。

審査は、書類審査と看護実績報告書・論述式筆記試験の二段階審査で行われます。

 

また、専門看護師の水準を維持するために、5年間の有効期間が設けられており認定されてからは5年毎に更新審査を受けなければなりません。

①日本国の看護師免許を有する

②申請時専門看護師である

③申請時過去5年に、規定された業績等を有している

以上の3つが更新基準になります。30,240円の更新料がかかります。

専門看護師の資格を喪失した場合は再認定審査を受けることができます。更新基準の①③が受験資格となります。こちらも30,240円の審査料がかかります。それぞれの審査に合格した場合、認定料(認定50,760円、更新・再認定30,240円)が必要です。認定看護師についても同様の審査に合格しなければなりません。

認定看護管理者は、教育課程にファースト、セカンド、サードの三つのレベルがあります。それぞれ日本の看護師免許と五年以上の実務経験は共通の受講条件です。これに加えて、ファーストレベルでは管理業務の関心があり周囲からそれを期待されていること、セカンドレベルでは前段階レベルの修了又は看護部長の職位にある又は副看護部長の職位を一年以上務めていることが条件となります。サードレベルではセカンドレベルの修了とセカンドレベル受講と同様の勤務経験が必要になります。特定行為に係る看護師は、区分されている特定行為に研修を行う病院・学校等の施設で研修を行うことで認定されます。研修の内容として、全区分に必須とされる共通科目と各特定行為で異なる区分別科目の二つがあります。



専門看護師大学院

専門看護師制度は日本看護系大学協会と連携しており、各種専門看護師の受験資格にも、大学院での必要科目の単位取得が含まれています。

別表に教育課程の一覧がこちらhttp://nintei.nurse.or.jp/nursing/wp-content/uploads/2016/04/cns-kateiitiran-sannkou20160401.pdf(日本看護協会)に示されています。

どの大学院でも好きな分野を学べるわけではなく、ある分野はある大学院で学べないという場合があるので、自分の関心のある分野を扱う大学院を探さなければなりません。

 



専門看護師の給料

専門看護師は通常の看護師よりも高度な知識、技能を要求されるので、給料は月額1~3万円高くなると言われています。こちらのサイトhttp://www.kangoshihikaku.com/kyuuryou-nenrei.shtmlの額に1~3万円プラスして計算してみてください。ちなみに特定行為に係る看護師は認定看護師を土台としさらに高度な技能を要するため、もちろん勤務状況にもよりますが、給料もより高くなると言われています。しかし、比較的新しい制度であるため平均額などは未だはっきりしていません。

 



小児看護専門看護師

小児看護は(狭義の)専門看護師が扱う11分野のうちの一つです。子供たちの健やかな成長発達を促す生活を支援し、他の医療機関との連携も行います。子供の病気・怪我は両親の不安が大変強くなり、また子供自身にも独特の問題が存在するためケアの方法が複雑になりがちです。看護師として子供に関わってきた人がさらに小児ケアに携わるために専門看護師になるケースが多いです。お母さんや家族とのコミュニケーションを大切にしながら解決へと向かうよう取り組みます。

 



精神科専門看護師

これも(狭義の)専門看護師が扱う分野の一つです。精神疾患患者の看護を行います。通常の精神疾患のみならず身体的疾患から精神的に不安定になってしまった患者のケアも業務に含みます。また、リエゾン精神看護という役割も担っております。リエゾンは「つなぐ」を意味し、精神看護と身体看護の関係や患者と医療関係者の関係はもちろんのこと、医療関係者内のスタッフ同士の関係が上手くいくように調整しつないでいます。心の働きが治療の核となるので、他の分野に比べてより繊細なケアの技術、コミュニケーションの力が求められます。

 



認知症専門看護師

これは認定看護師の専門分野の一つです。今日認知症患者はますます増加しており、それに対応できる看護師の需要も高まっています。症状の各段階に応じた療養環境やケアの整備、行動心理症状の緩和・予防を業務とします。例えば、認知症にはいくつか種類があります。最もよく知られているのがアルツハイマー型認知症で、認知症患者のうち約60%を占めます。記憶障害や判断能力の低下、見当識障害(日付、今いる場所わからなくなる症状)など症状は多岐に亘り、複数発症するため患者の数だけ療養の環境・ケアの方法が存在することになります。したがってこの分野の専門看護師は特に必要とされています。

 



家族支援専門看護師

これは(狭義の)専門看護師の専門分野の一つです。患者の快復を願っている家族の支援をすることで、患者を精神的にケアし支えていくというものです。家族が治療や問題解決に主体的に関わることができるよう、社会的にも看護を施します。この分野が認定されたのは2008年とかなり新しく、専門とする看護師はかなり少ないです(2016年現在44名)。療養というのは本人のみならず家族の協力が必須となります。しかし協力することがストレスとなってしまっては最善の処置をとることができません。怪我・病気では、その家族というのは患者本人と同等かそれ以上に精神的に負担がかかることが少なくないのです。特に家族の介護が必要な場合は、経済的・身体的な負担がさらに加わります。もちろん家族一体で快復に向かう努力ができれば何よりですが、残念ながら上手くいかない現状があります。この専門看護師はそういった最悪の事態になることを防ぐという重大な責務があると言えます。

 



専門看護師協議会

日本看護協会の認定を受け、専門看護師の質の向上、活動規模の拡大などを目的とする専門看護師で構成されたのが専門看護師協議会です。

専門看護師は手続きをすれば誰でも入会・退会をすることができます。2015年現在、正会員1079名、賛助会員55名です。主な活動は学会の開催とセミナーの開講です。

看護学会は2014年から毎年一回、高度の看護の実践をメインのテーマに開かれています。協議会会員が参加可能で、参加者は演題を持ち寄って討論を交わします。2016年の第三回は約930人が参加し大変有意義な大会でした。看護師の質向上に一役も二役も買っている学会です。セミナーには事例検討会、スキルアップセミナー、政策セミナー、キャリアアップセミナーの4つがあります。事例検討会と政策セミナーはほとんどが無料で誰でも参加可能、スキルアップ・キャリアアップセミナーは参加費が多少高くなるものの非会員も参加可能です。

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事例検討会は、提出された実際の事例を検討し、該当する分野の専門看護師やそれを目指す看護師などが知識を深めます。また、育成に携わる看護師や大学院生も参加者に含まれ、実に多様な面へ成果を発信しています。スキルアップセミナーは病院、大学等から講師を招きより実践的な技能の向上を目指して行われます。専門性の高いテーマであるためピンポイントに自分の分野についてスキルをアップさせることができます。医療の現場にとどまらず社会との関わり合いをも考慮しながら活動する専門看護師にとって有用なのが政策セミナーです。

専門看護師の中でも、上記家族専門看護師のような治療外の部分も専門に含む分野では特に有用性が顕著であると考えられます。ただ治療するだけでなく、治療後のサポートや家族とのコミュニケーションが重要な今日では、医療・看護を別の視点から見ることで活動の幅を広がりさらに深まります。キャリアアップセミナーは専門看護師へとキャリアアップを目指している人に向けて、現役の専門看護師の講演会・トークや参加者によるグループディスカッションが組まれています。現場での生の声を聞けるだけあって、志している人にとっては知識の吸収に加えてモチベーションアップにもつながります。 このようにこの協議会は専門看護師の活動拡大、質向上のために欠かせないものになっており専門看護師の中でも多くの人が所属しています。

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